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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Resonance : 響き合う者たち

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友情を……

 「ああ、今日は本当に美味かった。カグラザカ、礼を言わせて欲しい」

 「いいえ、とんでもない! お口に合えば良かったのですが」

 「私も是非お礼を。何よりもソウザさんの御造りになられた手料理ということで、感激いたしました。大満足でございます」

 「いや、とんでもない!」


 最後にまた虎蘭さんがブレッツさんを出し抜いた。


 「カグラザカ、今後も個人的に親しく付き合って欲しい。今度は私が何か誘おう」

 「そんな、お気になさらず。私こそブレッツさんと今後もお付き合い出来ればと思っているだけですから」

 「それは約束しよう。アメリカの総意とは言えないが、私個人としてはソウザ・カグラザカの友人となったことを誓おう。私とて立場のある人間だ。今後何か困ったことがあれば、何でも言って欲しい」

 「いや、ただの友人でお願いします」

 「ワハハハハハハ!」


 ブレッツさんが大笑いした。


 「私も友人として感謝します。《虎部隊》は今後ソウザさんに寄り添って行くことをお約束します」

 「「!」」


 冴姫とブレッツさんが同時に驚いた。

 またしても虎蘭さんはブレッツさんの上を行ったが、それはとんでもない約束だった。

 中国の《能力者》の集団が俺に寄り添うと言ったのだ。


 「虎蘭、それはどういうつもりだ!」


 冴姫が立ち上がった。


 「今口にした通りです。《虎部隊》がソウザさんの味方になるということですが?」

 「それは中国が従うということか!」

 「国としてはブレッツさんと同じで立場が異なります。ですが《虎部隊》は今言った通りです。これは部隊長の《虎王フーワン》の意志であり、部隊全体の総意でもあります」

 「信用出来ない!」

 「結構です。ただ私はお約束を口にし、今後は必ずその通りに行動します」


 その時、あまり会話に加わらなかった冴姫が虎蘭さんに聞いた。

 食事会が終わるにあたり、どうしても聞いておきたかったのだろう。


 「ならば問う! 《虎部隊》はどうして誰にも感知されないのだ! 先日私のマシンにメモを置いたのはどうやった!」

 「それはお話し出来ません。互いの能力についてはおいそれと明かすことは出来ないことは御理解いただけると思います」

 「……」


 冴姫が黙った。

 今はブレッツさんもいるのだから、当然と言えば当然だろう。

 もちろん俺たちだけになったとしても、恐らくは話してくれないのだろうが。

 虎蘭さんがブレッツさんに聞いた。


 「《セイント》、あなたはどうなのですか?」

 「私もお前と同じだ。カグラザカ、いや友人なのだから私もソウザと呼ぼう。ソウザのために私自身は全力で動くことを約束する。国益に反しない範囲だとも言っておくがな。でも私が言うのだから、《ヴァーミリオン》も概ね同じ方向で動くだろう」

 「そうですか。ならば我々も《ヴァーミリオン》とはなるべく敵対しないようにしましょう」

 「それは信用出来ない。だが、今はそう願うとだけ言っておこうか」

 「はい、それで結構です」


 俺は堪らずに言った。


 「あのー、出来ればお二人には仲良くして欲しいかなって思ってます」

 「「!」」


 ブレッツさんと虎蘭さんが驚いた顔で俺を見た。

 しまった、またやってしまった!


 「いえ、あの、お二人はとても地位が高いのは分かりました。でも、その……」

 「ソウザさん、私は出来るだけ努力するとお約束します」

 「ソウザ、私もだ。今日のこの食事会のことは決して忘れない。虎蘭とも出来るだけ友好的な関係を築くよう努力する」

 「《セイント》、無理はなさらなくて良いのですよ? あなたご自身のことは多少は信用いたしますが、どうやら御国はなかなかに荒れていらっしゃるようですから」

 「なんだと!」


 突然ブレッツさんが驚いていた。

 見た目にも顔色が蒼ざめた。

 その直後にすぐに戻ったが。


 「いや、済まなかった。あなたの言う通りだ。私はこれからアメリカを正常な方針にまとめなければならない。明日にでも帰国するつもりだ」

 「え、そうなんですか。残念ですが、また是非日本へいらして下さい」

 「ソウザ、そう言ってくれるか。分かった、必ずそのようにしよう」

 「はい!」


 お二人は帰って行った。

 俺と冴姫で玄関までお見送りした。


 「ふー、何とかなったな」

 「宗ちゃん、お疲れ!」

 「なんかさ、俺から言い出したことなんだけど、あの二人ってとんでもない人物だったんだろ?」

 「そうだけど、宗ちゃん平気だったじゃん」

 「そんなことないよ! ずっとドキドキしてたって!」

 「そうかなー。でも世界中で《虎部隊》と《ヴァーミリオン》の最高幹部を相手に普通に話せる人はいないよ?」

 「そうじゃないんだよー!」

 「おまけに「手料理をどうぞ」って、誰も出来ないって」

 「俺も後から後悔したんだよー!」

 「アハハハハハハハ!」


 冴姫が大笑いした。

 ふと、冴姫はどうだったのかと思った。

 エレベーターの中で聞いてみた。


 「え、あたし? もちろん何かしようとしたら速攻で殺すつもりだった」

 「ゲェッ!」

 「ワハハハハハハハ!」





 その数日後。

 ブレッツさんから俺宛に「ロジェ・デュブイ エクスカリバー/ダブルトゥールビヨン RDDBEX0822」が会社に届いた。

 

 〈日本での様々な厚情に感謝を 親愛なる友へ〉


 そうカードに書いてあった。

 俺は慌てて美濃坂部長に報告した。

 会社の人間としてブレッツさんとは関係していただけなので、こんな豪華な贈り物は受け取れない。


 「神楽坂、相当気に入られたなぁ」

 「いや、こんな高価なものは困りますって!」

 「そうだなぁ、一応上に計ってみるよ」

 「お願いします! 絶対に返品を!」

 「アハハハハハハハ!」


 その後榊常務に呼ばれた。


 「受け取っておきたまえ。《聖女》からの気持ちだ」

 「いや、とんでもないですぅ」

 「宗ちゃん、貰っとけって」

 「冴姫、何言ってんだよ!」


 二人が笑っているが、冗談じゃない。

 だが、冴姫が言った。


 「《聖女》がさ、あたしに宗ちゃんに礼をしたいって言って来たの」

 「え?」

 「だからロジェ・デュブイの「ドラゴン」が欲しいらしいって言っといた」

 「お前、何やらかしてんだよぉ!」

 「「ドラゴン」じゃなかったんだね」

 「そうだよ!」

 「あいつもダメだねぇ」

 「そうじゃないってぇ!」


 こっちは限定8本だ。

 しかもダイヤモンドでケースが覆われている。

 こっちは「ドラゴン」の上を行く、5000万円超えだぁ!


 「アメリカは大分魅力的な条件を示して来た。最悪の事態も回避したしな。その時計もその足掛かりを作った神楽坂君への感謝なのだ」

 「でも!」

 「何しろパラオを核攻撃しようとして来たのだからな。交渉決裂どころか全面戦争になってもおかしくなかったのだよ」

 「はい?」

 

 え、なになに?


 「宗ちゃん、那智が守ったんだよ。今度会ったら褒めたげて」

 「え、あ、うん」


 俺が事態を把握しないので、二人がまた爆笑した。

 しばらく笑われて、やっと頭に染み込んで来て俺は気絶しそうになった。





 核攻撃ってナニ?

 俺の知らないとこで何が…… 

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