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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Resonance : 響き合う者たち

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虎蘭との再会

 冴姫と一緒に出社しようとすると、散歩に出ようとしていた吉原さんと大五郎に玄関で会った。


 「「おはようございます!」」

 「あら、お二人とも、おはよう」


 大五郎が嬉しそうに俺たちに寄って来た。

 二人で大五郎を撫でてやる。

 大五郎が短い尾を猛然と振って喜んでいた。


 「今から御出勤?」

 「はい」

 「いってらっしゃい。またうちに遊びに来てね?」

 「はい、もちろん! 行ってきます」

 「行ってきます」


 大五郎も一生懸命に吠えて見送ってくれた。


 「今日はいいことありそうだな!」

 「そうだね!」


 四谷駅の改札前で俺たちを待っていたユカリちゃんと一緒になった。

 毎日ユカリちゃんは改札前に立っている。

 ユカリちゃんはいつもの紺の制服で、丸い帽子が可愛らしい。

 俺たちを見つけて手を振って来た。


 「宗三さーん! 冴姫さーん!」」

 「ユカリちゃん、おはよう」

 「おはよう」

 「おはようございます!」

 

 ユカリちゃんが嬉しそうに俺の手を引いて改札へ向かう。

 切符の自販機の前で女性が困っているのが見えた。

 中国語のパンフレットと券売機を何度も見ている。

 俺は気になって英語で話し掛けた。


 「どうされました?」

 「あ、すいません。チケットの買い方が分からなくて」


 女性は綺麗な日本語で応えた。 

 声を掛けた俺を振り向いた女性を見て驚いた。


 「虎蘭さんじゃないですか!」

 「あ、パラオで! ソウザさん!」


 パラオのホテルにいた虎蘭さんだった!

 あの後で姿が見えなかったので心配していたのだ。


 「どうしてここに! いや、御無事だったんですね!」

 「はい、間一髪でした。あの後ですぐに空港へ向かったんですが、あと少し遅れていたら助からなかったかもしれません。突然のテロ事件で、空港の飛行機はすぐに飛び立ったのです。危うく間に合わない所でした」

 「そうですか、良かった!」

 「ソウザさんのお陰です。あなたが一緒にコンタクトレンズを見つけてくれなければどうなっていたことか」

 「そんな俺なんて何も。でも本当に御無事で良かった。あの後も心配してたんです。ホテルで助かった外国人の方々の中でも見かけなかったんで」

 「御心配して下さっていたんですね。本当にお礼を申し上げます。私の方でもあの後の災害を知り、ソウザさんのことを心配してもいたんです。私も空港に着いた後だったから良かったものの、その前であればあの戦争に巻き込まれていたでしょう」

 「そうですか、本当に良かった!」


 俺は冴姫に前に話していた虎蘭さんだと言った。

 冴姫も自分を俺の婚約者として笑顔で挨拶した。


 「まあ、お綺麗な方ですね」

 「いやいや」


 俺は虎蘭さんに切符の買い方を説明し、一緒に新宿まで行った。

 虎蘭さんが名刺を差し出し、俺も交換した。

 虎蘭さんは政府の資源開発の仕事をしているそうだ。

 だからあの時もパラオに来ていたのか。

 ユカリちゃんのことも紹介し、ヴァイオリンの世界大会で入賞したのだと言うと褒められた。


 「それは凄いですね!」

 「エヘヘヘヘヘ」


 ユカリちゃんは素直な子で、人見知りをしない。

 優しそうな虎蘭さんと楽しく会話する。

 四人で楽しく話し、新宿三丁目でユカリちゃんは嬉しそうに俺たちに手を振って別れた。

 見送った後で虎蘭さんが是非お礼がしたいと言って来た。


 「そんなことはいいですよ」

 「そうは行きません。私はソウザさんのお陰で命が助かったのですから」

 「いや、困ったな」

 「是非お願いします。本当にお礼がしたいのです。あの後でずっと思っていました。もうお会い出来ないかと考えていましたが、こうして再会出来たからには」

 「そうですか。じゃあお互いに無事だったことをお祝いしましょうか」

 「はい、ありがとうございます!」


 俺たちは連絡先を交換し、新宿駅で別れた。

 先ほどまで笑顔でいた冴姫の顔が真剣なものになった。


 「宗ちゃん、気を付けて」

 「え?」

 「あの人も普通の人じゃない」

 「なんだって!」

 

 俺が驚くと冴姫が微笑んで言った。


 「まー、最近はブレッツとかアブナイ連中が多いからなー」

 「なんだよ!」

 「でも気を付けること!」

 「大丈夫だよ!」

 「そういうとこだぞ!」

 「なんだよー!」


 冴姫は笑っていたが、すぐに俺に言った。


 「宗ちゃん、ちょっと用事が出来た」

 「そうなの?」


 俺が戸惑っているとココロちゃんが来た。


 「影野志信なの」

 「ココロちゃん!」

 「だから違うの!」

 

 冴姫が笑ってココロちゃんと一緒に会社に行くように言った。

 俺はココロちゃんと手を繋いで会社へ向かった。

 本社ビルに着くと、ココロちゃんは自分のIDパスを持っていて、普通に入館した。


 「流石、影野志信!」

 「ワハハなの!」


 ココロちゃんとそのままエレベーターホールへ向かった。


 「宗ちゃん、冴姫ちゃんが戻らなかったらお昼を一緒に食べるの!」

 「うん、分かった。でも戻って来ても一緒に食べようよ」

 「うんなの!」


 ココロちゃんは手を振って、俺とは別なエレベーターに乗った。

 お昼はどこで食べようか。

 ちょっと楽しくなった。

 何よりも心配していた虎蘭さんが生きていたことが嬉しかった。


 虎蘭林フーラン・リン


 中国の資源調査公司の開発調査部門の課長さんらしい。

 きっと世界中を飛び回っているんだろう。

 連絡先も交換したし、またお会いできるのを楽しみになった。

 冴姫はちょっと物騒なことを言っていたが、虎蘭さんは間違いなく優しい方だ。

 あの人とは友達になりたい。

 そう思った。

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