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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Resonance : 響き合う者たち

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極秘会談

 《聖女》ナオミ・ブレッツは《裏鬼》と会談した。

 《裏鬼》の連城十三隊長がブレッツとスレイマンと対面し、ブレッツたちの意向を聞いた。

 互いに《ヴァーミリオン》と《裏鬼》と名乗り合った。

 連城隊長も日本の代表としての立場で臨んだ。

 《裏鬼》は日本の《能力者》として海外では目されていたので、ブレッツたちも疑うことは無かったそうだ。

 最初に連城隊長へUSBメモリーを渡して来た。


 「現在日本は南鳥島沖とパラオの2カ所の海底鉱床により膨大な埋蔵量を手にしました」

 「そうですね」

 「アメリカはそれらから十二分の供給を受けられることを望んでいます」

 「それは今後の採掘が本格的に始まってからのこととなると思います」

 「承知しております。我が国はそのために必要な援助と協力を提供する用意があります」

 「大変に有難い申し出と思います」


 会談はそのように始まったと聞いていた。

 そしてアメリカの具体的な援助と協力の内容を聞き、それらについて詳細に話し合って行った。

 主にアメリカで算出する石油やウランなどの資源と採掘プラントの建設に関する提案だった。

 そしてブレッツはその上にとんでもないことを話し始めた。


 「これまでは中国がレアアースを世界的に独占して来ました」

 「そうですね」


 中国は実に世界の80%もの埋蔵量を誇っていたのだ。


 「それがここに来て全く事情が変わった。これからは日本が最大の埋蔵量を有することになった。中国はこの事態を打開するために行動すると我々は考えております」

 「その可能性は十分にあり得ることです」


 ブレッツはアメリカが手にした中国の動きを提示し、更に話を進めた。


 「中国の《虎部隊》が動きます。彼らは動きが見えないため、これまではその存在を確信した時、既に全ては彼らの手中に落ちていた。《虎部隊》の実績は全てそうです」

 「驚異的な集団と我々も見据えています」

 「その通りです。《虎部隊》は一国が相手にするにはあまりにも強大です。ですから我々で協力して《虎部隊》を全滅させませんか?」

 「なんですと?」

 

 ブレッツが微笑んだ。

 実戦で途轍もない戦力を有し、尚且つ非常に美しい女の微笑みは威力がある。


 「あの日のパラオでの戦闘は、一部我々も把握しています。《ボルーチ・バロータ》はパラオで大虐殺を行なうつもりだったようですが、日本の《能力者》がそれを阻止し、殲滅した。しかも驚くべき短時間でです」

 「それについてはお答え出来ません」

 「結構です。でもCIAの戦闘チームもただ一方的に殺されていたわけではありません。可能な限りの情報を最後に送り、そこから凡その展開を把握しました。もちろん具体的な戦闘データは入手出来ませんでしたが」

 「何もお答え出来ません」

 「はい。それではお渡しした資料でご検討下さい」

 「ありがとうございます」 


 ブレッツとスレイマンは立ち上がって握手を求めた。

 連城隊長も立ち上がり手を差し出した。


 「ところで、ワダ・トレイディング・カンパニーのカグラザカという青年を大変気に入りました。彼は「特別な」人間と感じました」

 「カグラザカですか?」

 「はい。彼はまるで私が狙撃されることを予知していたかのような話をしました。そして明らかに一般人なのに、私の前に立って銃弾の楯になろうとしたのです」

 「実に勇敢な青年ですね」

 「はい。尊敬に値すると共に、非常に彼に興味を持ちました」

 「ブレッツさんが褒めていたと彼に伝えておきましょう」


 ブレッツは満面の笑みでそう言った。


 「今日はこれで失礼します。良い御返事をお待ちしております」

 「はい。私共も検討の上で誠意を以てお応えいたしますことをお約束します」


 会談は終わった。





 私はその後で周一郎さんに呼ばれ、周一郎さんと連城隊長、それに闇絵さんとで話し合った。

 連城隊長から《聖女》との会談の全てを聞いた。


 「ブレッツが渡したUSBメモリーには、アメリカの所有するウラン鉱脈からの定期的な輸出の提供が約束されていました。それに《虎部隊》に関しての掴んだ限りの情報です。もちろん全てを信用するわけには行きませんが、なかなかに詳細なものでした」


 連城隊長が話し、周一郎さんが言った。


 「《虎部隊》についての情報はあるか?」

 

 闇絵さんが問われた。


 「いいえ。でも彼らは決して姿を捉えられません。相手から接触して来ない限りは非常に困難と言えます」

 「《ドラゴン・システム》を使うか」

 「今はまだその段階ではないと思われます。中国が具体的に日本を攻めて来るという兆候を得てからでも宜しいかと」

 「誰かその可能性について意見はあるか?」

 

 連城隊長が言った。


 「可能性は薄いと思われます。ただ、気になる点が一つ」

 「私もです」

 「なんだ?」

 「宗三さんがパラオで接触したという中国人の女性です。「虎蘭フーラン」と名乗った女性は高い確率で《虎部隊》の人間と思われます」

 「私もそう思います。でも、どうして宗ちゃんに接触したのかが分かりません」

 「宗三が《特異点》だと考えていると思うか?」

 「あり得ませんね」

 「同じくです」

 「そうだな。表向き、宗三が何かをやったという実績は無い。我々が宗三が幼い頃から気付いていたからこそ、その影響力を演繹的に確信しているだけだ。宗三のことは最高機密になっているから、絶対に漏れることは無い」

 「ではどうして《虎部隊》が?」


 「宗ちゃんの能力じゃないでしょうか?」


 「「「……」」」


 私が言うと、みんなが黙り込んだ。

 もうそれしかないのだ。

 宗ちゃんが虎蘭を引き寄せた。

 いや、宗ちゃんの言葉を借りれば、運命が互いに魅かれ合ったのだ。


 「それでは《ヴァーミリオン》の呈示した《虎部隊》の情報は考慮すべきだな」

 「そう思います。《虎部隊》を潰すために宗三さんが引き寄せたのか、あるいは逆に《虎部隊》こそが共闘すべき相手なのかが現段階では不明瞭です。しばらくは静観すべきかと」

 「そうだな。私は《トリポッド》の上と話して来る。では解散」


 大変なことになった。

 また宗ちゃんの周囲でヤバい陰謀が渦巻いている。


 マンションへ帰ると、宗ちゃんがココロちゃんと夕飯を食べていた。

 つみれ鍋だった。

 もう暑くなったのでお鍋はしばらくやらないと言っていたのだが、きっとお鍋が大好きなココロちゃんがせがんだのだろう。


 「あー、もう食べてるー!」

 「悪い悪い、冴姫がいつ戻るか分からなかったからさ」

 「冴姫ちゃん、お鍋おいしーのー!」

 「もう!」


 すぐに着替えて一緒に食べる。

 宗ちゃんが私にご飯をよそってくれた。


 「いただきまーす!」


 お鍋も宗ちゃんが入れてくれる。


 「おいひー!」

 「そっか!」

 「おいしいね!」

 「うんなの!」


 ココロちゃんが嬉しそうだ。

 この子も宗ちゃんと一緒にいたい人間の一人だ。

 昔から宗ちゃんが大好きなのだ、私たちは。

 来栖も呼んでやりたいが、あまり宗ちゃんの周囲で私たちが出入りするのは不味い。

 他のみんなも闇絵さんのお陰で宗ちゃんに会えて嬉しそうだった。

 あの後で那智がパラオに行ったが、「宗三さんが手に入れた場所を絶対に守る」と言ってはりきっていた。

 実際第七艦隊や国籍不明の原潜が攻撃してきたが、那智が《機神》で簡単に撃退した。

 そのことで、もうパラオを襲おうとする奴はいなくなった。

 宗ちゃんは何も知らない。

 宗ちゃんには私たちの血腥い世界には関わって欲しくはない。

 もちろんどうしても触れさせてしまうこともあるが、なるべく遠ざけておきたい。


 でも、何度か戦闘に巻き込んでいるが宗ちゃんは然程のショックは受けていないようだ。

 私には不思議だったが、周一郎さんに話すとそれも宗ちゃんの《特異点》の能力かもしれないと言っていた。

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