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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Resonance : 響き合う者たち

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狙撃

 俺は予約していた『由ら』に案内した。

 銀座で有名な高級寿司店だ。

 ココロちゃんが異常に喜んでる。

 楽しみにしてたらしい。

 俺自身は『由ら』には以前に周一郎兄貴に何度も連れて来てもらったことがある。


 「私ははじめてなの!」

 「そうなの? 一杯食べてね」

 「うんなの!」


 ココロちゃんが明るく笑うとみんなの心が和む。

 ブレッツさんたちも笑顔になっていた。

 四人で並んで広いカウンターに座り、大将に直接注文する。


 「ブレッツさん、お寿司を食べたことは?」

 「もちろんあります、大好きです」

 「何かお好きなものは?」

 「ここは素晴らしいお店です。「おまかせ」でお願いします」

 「かしこまりました」


 外国人も多く対応する大将は、その短かい遣り取りで全てを把握したようだ。

 四人にヒラメの握りが出て来る。

 癖が無く食べ始めには丁度いい淡白なものだ。

 シャリがギリギリで繋がっているかのような柔らかさで、口の中でヒラメと一緒に蕩けるようだった。

 他に客は無く(多分トリポッドがコントロールしている)、俺たち四人にどんどん大将が握ってくれる。

 間にウニとイクラの器が来て、みんながその美味さに唸った。

 ココロちゃんは目を丸くして、一生懸命に食べるのがカワイイ。

 大将がブレッツさんの食べ方を見て寿司に通じている人だと悟り、いいネタを提供してくれる。

 全部おまかせでは味気ないと思い、俺が注文した。


 「大将、貝でいいものはありますか?」

 「へい、お待ちを!」


 アワビが出た。

 アワビはとんでもなく高級だが、ブレッツさんの高級そうな服装を見て判断してくれたのだろう。

 それから幾つか赤貝、トリガイなどを握ってくれる。


 「美味しいです!」


 思わずブレッツさんが喜んで声に出した。


 「カグラザカ、これ最高です!」

 「そうですか」


 ブレッツさんは、どうやら貝を気に入ったようだった。

 大将も礼を言われて喜んだ。

 穴子が他の厨房で焼かれて来て、それを大将が握った。

 またブレッツさんが声を挙げて喜んだ。

 大トロの握りが出て、大将が俺たちに聞いた。


 「何かお好きなものがありましたらお造りしますよ」


 ブレッツさんはトリガイと穴子、大トロを注文し、ココロちゃんの大トロ10巻をお願いした。

 俺とスレイマンさんがもういらないと言うと、鱧の椀が出て来た。

 大将が二人に握り終わると、二人にも椀が置かれる。

 これで終わりということだ。

 最後に淹れ立ての茶が出て来た。


 「ご満足頂けましたか?」

 「カグラザカ、大変に満足です!」

 「それは良かった」


 ココロちゃんもニコニコしていた。

 まあ、カワイイこと。


 店を出て銀座松屋、銀座三越を回った。

 ブレッツさんは大体分かったと言い、今度は街を散策し始めた。

 大通りを外れて狭い道を選んで歩いて行く。

 俺は隣を歩く。

 ブレッツさんが通りの向こうを微笑みながら見て言った。


 「カグラザカ、日本は平和ですね」

 「そうですね」

 「メインストリートだけではなく、路地裏にも全く危険がありません。本当に素晴らしい国だと思います」

 「アメリカでは違いますか」

 「危険です、特にこのような都会では。悪い連中が常にたむろし、歩き回っています。彼らの気分次第で路地裏を歩く人間が襲われます」

 「それは怖いですね」

 「ええ、でも要は考え方です」

 「はい?」

 「危険な場所なのだから、路地裏は歩かないというように考えれば良いのです」

 「なるほどですね」


 自由とそれに伴う自己責任という、非常にアメリカらしい考え方だと思った。

 俺たちの三原橋を回り、数寄屋橋交差点に何となく向かって行った。

 ブレッツさんの足の向くままに歩いて来たのだ。

 やがて、あの俺たちが襲われたブランドのビルが見えてくる。

 ブレッツさんはそこで立ち止まり、中を見ていた。

 ウインドウの多くが破壊されたビルはまだそのままで封鎖されており、周囲には立ち入り禁止を示す規制線の黄色いテープで囲まれ、警官が数人敷地内に立っている。

 面した歩道には幾つもの花束が置いてある。


 「日本も決して安全ではないということですね」

 「はぁ」


 ブレッツさんが俺を見て言った。


 「カグラザカ、もう結構です。今日はありがとうございました」

 「いいえ。それではホテルまでお送りしましょう」

 「お願いします」


 ココロちゃんが車を取りに行き、俺たちはそのまま事故現場の前に立っていた。

 内部はまだ鑑識などの調査中なのか、什器や壁などが破壊されたままで痛々しい。


 「ここで激しい戦闘があったのですね」

 「その通りです。何人も犠牲になったと報道を聞きました」

 「テロリスト同士の戦闘だったと聞いているのですが」

 「私もあまり詳しくは無くて、すみません。会社を通して情報を集めてみましょうか?」

 「いいえ、それには及びません。ちょっとした興味で聞いてみただけです」


 なんで俺に聞くんだよー。


 「お役に立てませんで。でもブレッツさんも気を付けて下さいね」

 「なんですか、カグラザカ?」

 「いえ、あの時ここにいた人たちも、まさかあんな事件に自分が巻き込まれるなんて思ってもいなかったでしょうから」

 「ああ、なるほど」

 「いつどこでどんなことに巻き込まれるのかはわかりませんからね」

 「そうですね。注意しましょう」


 そう言ってブレッツさんは笑顔で周囲を見渡した。 

 その時、ブレッツさんが僅かに身体を移動させ、寸前までブレッツさんがいた先の地面が破裂した。

 そして遠くで小さな破裂音が聞こえた。



 ドン



 なんだ!

 俺は考え無しにブレッツさんの前に立ち移動させようとしたが、ブレッツさんは微動だにしなかった。


 「ブレッツさん! 隠れて!」


 ブレッツさんが俺を左手で軽々と脇に寄せて右手を開き、手のひらから大きな弾丸(※50BMG弾:12.7×99ミリ)が零れた。

 続いて何度も破裂音が聞こえる。

 ブレッツさんは横から抱き着く俺を意に介さずに手だけを動かし、その度にブレッツさんが手で何かを払って行くかのように見える。

 5回そういうことがあり、ブレッツさんの手から同じように弾丸が地面に落ちた。

 あんな大きな弾丸を手で掴んでいるってことか!

 周囲を歩いている人たちは誰一人として何も気付いていない。

 ほんの数人が音がする方向を一瞬見る程度だった。

 花火か何かだと思っているのだろうか。

 護衛だと言っていたスレイマンさんは全く動かずに遠くを見ていた。


 「Fm It's not bad at all ! (ふん、悪くない腕だな)」

 「Abaout 2km ?(凡そ2キロというところですかね)」 


 ブレッツさんとスレイマンさんが英語で話していた。


 「大丈夫ですか!」

 「ああ、カグラザカ、もちろんです。あなたのアドバイスのお陰で一瞬の差で助かりました。礼を言います」

 「なに言ってるんですか!」

 「あなたは私が襲われたことを分かっていたのでしょう? それで私の前に立って楯になろうとしてくれた」

 「あなたが大切な人間だからですよ! でも随分と……」

 「ありがとう。あなたは勇気があるのですね」

 「い、いえ、そんな……」


 スレイマンさんが少しも慌てずに言った。


 「セイント、追いますか?」

 「放っておけ。どうせもうとっくに逃げているだろう」

 「そうですね」


 ブレッツさんとスレイマンさんが硬直している俺を見て笑っていた。


 「何があったんですか!」

 「狙撃されたのです。対物ライフル、ああ、この弾頭を見たところではバレットM82でしょう」

 「なんですって!」

 「私はいろいろな人間に狙われているのですよ、カグラザカ。さて、それではスレイマン、フェイズを進めるか」

 「アイサー!」

 「カグラザカ、会社に戻ってください。上の人間と話がしたい」

 「え、警察に連絡を!」

 「必要ありません。とにかく急いで会社の方と話したい」

 「は、はい!」


 丁度ココロちゃんが車で迎えに来てくれた。

 俺はココロちゃんに狙撃されたことを伝え、会社に行くように頼んだ。

 ココロちゃんは驚いた顔を作り、そのまま発進した。





 えーと、ナニナニ?

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