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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Parau Paraiso : 召されるパラオ

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パラオは永遠に

 周一郎さんは部屋で私を待っていてくれた。

 多分パラオの事件から一睡もしていないが、疲れた様子は微塵も無かった。

 この人はいつもそうだ。

 また闇絵さんも一緒だった。


 「冴姫、戻ったか」

 「はい」

 「《ボルーチ・バロータ》まで来たな。御苦労だった」

 「PK(念動力)能力者でした。車が一瞬で潰されましたよ」

 「お前への攻撃は?」

 「距離のせいか何もありませんでした。まあ、ココロちゃんがマーキングしてくれてたので、始末にそれほどの苦労は」

 「そうか。CIAのパラミリは全滅したようだ。何人かはお前の攻撃の巻き添えだけどな」

 「文句を言って来ますかね?」

 「証拠は何も残ってないよ。それにパラオは多分日本が占有する。もう外国人は一切入国出来ない」

 「宗ちゃんのお陰ですね」

 

 闇絵さんがコーヒーを淹れて来た。

 また一応中身を確認したが「安全」だ。

 細長い虫が一匹入っていたが、私の体調を安定させるものだろう。

 口に入れて呑み込んだ。


 「そうだ。伊刈社長はすぐに悟ったようだ。《トリポッド》に通じている社員を何人か残し、《裏鬼》も協力して防衛任務と救助作業に入った。パラオ政府はほとんどの政治家を喪い、残った連中をすぐに掌握するはずだ。国民も7割が喪われた。もう国家運営は無理だろう」

 「そうですか。じゃあこれから戦争ですかね?」

 「そうはならんよ。そのための日本の救援だ。これから復興も進めていく。いずれ立ち上がる新たな政府から日本は正式に宗主国となるように誘導する」

 「なるほど」

 「《賢人会議》でも今回の一連の状況から日本がパラオを掌握することは認められるだろう。何しろロシアが強引に侵攻して来たのだからな」

 「はい。しかも《能力者》を使いましたからね」

 「それを撃退し、僅かながらにもパラオを残したのは日本の力だ。しかも迅速に救援部隊と復興部隊を派遣したのだ。パラオの生き残った国民の総意を経てだが、間違いなく日本が占有することになる。もちろんパラオ共和国は形ばかり存続するがね。でも日本の援助なしには何も出来なくなる」

 「そうですね。ところで未確認ですが中国の《虎部隊》も来ていた可能性があります」

 「なんだと!」


 周一郎さんが叫んだ。

 この人が冷静さを欠くなどは珍しい。


 「宗ちゃんが出会った可能性が」

 「宗三がか!」

 「はい。ホテルの廊下で。間違いなく宗ちゃんに接触して来たのだと思います」


 私はその時の状況を周一郎さんに話した。

 コンタクトレンズを落としたという女性と、それを探すのを宗ちゃんが手伝ったのだと。


 「女性は「謝謝シェイシェイ」と言ったそうなので、宗ちゃんも中国人と気付いたようです」

 「……」

 「そしてその女性は「虎蘭フーラン」と名乗ったそうです」

 「!」


 《虎部隊》の上層幹部は全員「虎」の付く名を持っていると言う。

 今の時代の中国で「虎」を女性に付けることは無い。


 「《虎部隊》の痕跡を探すように連城たちに命じよう」

 「ああ、そう言えば連城隊長が宗ちゃんに挨拶してましたよ」

 「そうなのか!」

 「もちろんそんなに不自然ではないように。でも名前を名乗ってました」

 「あいつ、また勝手なことを。まあいい。とにかくご苦労だった」

 「あー、初めての海外旅行だったにー」

 「まあ、そう言うな」

 「ココロちゃんはどうしてます?」

 「向こうで救援活動を続けているよ。ある程度したら一人だけ残して戻すけどな」

 「一杯いたらおかしいですもんね」

 「他の国は日本の《能力者》がいると考えて、無茶な攻撃はして来ないだろうがな。でも一応は那智を派遣することに決まった。まだ数日後だが」

 「そうですか、なら安心ですね」


 那智がいれば何が来ても大丈夫だろう。


 「周一郎さん、これは関係無いかもしれませんが一応報告しておきますね?」

 「なんだ?」

 「宗ちゃんがパラオの海岸を見て言ったんです。「こういう場所に住んだら幸せだろうな」って」

 「宗三がそう言ったのか」

 「はい。それに伊刈さんからも報告が挙がっていると思いますが、宗ちゃんが「レアアース鉱床はどうなるのか」と言ったんです。周囲が全部破壊されて大変な中でですよ。だから伊狩さんは何人か社員を残して僅かに残ったパラオ政府に喰い込ませました。《裏鬼》も彼らの護衛と共に避難民の救助に動きましたし、日本からも自衛隊の救援部隊と復興部隊をどこよりも早く派遣する準備を整えました」

 「そうだな。他の国が状況を把握する前に、我々が動くことが出来た。伊刈の提言があったからだが、それは宗三から発したのだな」

 「そういうことだと思います。宗ちゃんの《特異点》の能力が飛躍的に拡大しているような気がします」

 「分かった。こちらでも考えておこう」

 「はい」


 とにかくパラオのことは片付いた。

 私は部屋を出た。

 周一郎さんはまだまだ忙しく動き回るのだろう。

 まあ、闇絵さんが付いていれば何の心配もないが。


 宗ちゃんは美しいパラオが大好きだったようだ。

 もうちょっと綺麗な景色なども見せてあげれば良かった。

 それにしても思い出したが、あの状況で土産物をちゃんと買ってた宗ちゃんはスゴイ!

 他には誰も土産物など買ってはいないだろう。

 みんなゆっくりと街を見てから、最終日に選ぶつもりだったに違いない。

 まあ、本当に凄いのは宗ちゃんの一言でパラオが日本のものになったことだ。

 南鳥島沖と今回のパラオでの海底鉱床を握ったことで、日本は世界最大のレアアースとレアメタルの保有国となった。

 幾つかの不安材料もあるが、私は宗ちゃんを守って行けばそれで良い。




 マンションに戻ると来栖が全裸で宗ちゃんの部屋に忍び込む所だった。

 踏捕まえてボコってから窓から放り出した。

 宗ちゃんはあどけない寝顔でグッスリ眠っていた。

 ちょっと宗ちゃんの隣に横になった。

 時々そうやっているが、宗ちゃんに気付かれたことはない。


 「宗ちゃん、お疲れ様」


 宗ちゃんの唇に軽くキスをした。

 宗ちゃんは眠ったら滅多なことでは目を覚まさない。

 

 ダイニングに戻って初めてテーブルのメモに気付いた。

 宗ちゃんが私のために夕飯を残しておいてくれた。

 宗ちゃんの優しさにまた泣きそうになった。

 お鍋を温め直して食べた。

 いつものように、本当に美味しかった。

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