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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Parau Paraiso : 召されるパラオ

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54/82

帰宅

 社員旅行は当然終わり、俺たちは羽田で解散した。

 みんな自衛隊の方々にお礼を言っていた。

 自衛隊の方々は給油後にまたパラオに行くそうだ。

 大変なお仕事だと思った。

 でも、もっと大変なことになったパラオの人たちを何とか救って欲しい。

 お願いします。


 俺はと言えば社員旅行の日程だった16日まで会社は休業で、17日からは土日であり思わぬ長い休暇となった。

 マンションに戻ると来栖君が待っていて、冴姫はすぐに出掛けて行った。

 恐らく周一郎兄貴の所だろう。

 あれだけ大変なことがあったんだ。

 冴姫も疲れているだろうが、まだ休めないらしい。

 何時に戻るとも言っていなかった。

 来栖君が心配そうに話し掛けてくれる。


 「宗三さん、大変だったっすね!」

 「うん、びっくりしたよー」

 「まあ、冴姫が一緒だったんで自分も安心でしたっす」

 「ココロちゃんもいたんだよ。でも一緒の飛行機じゃなくて」

 「大丈夫っすよ。ココロ「たち」はさっき第二便に乗ったって連絡が入りましたっす」

 「そうなのか! ああ、よかったぁ!」


 ココロちゃんも無事だ。


 「海上自衛隊の人たちが救援活動に入るって聞いたけど」

 「ああ、よく御存知っすね。もう現地で空自たちが始めてますし、大規模な海自の復興部隊が明日か明後日には到着するっす」

 「じゃあ、パラオの人たちや外国の観光客の人たちも大丈夫かな?」

 「そうっすね。結構大掛かりな準備で行くって聞いてるっす。ああ、和田商事の人らも何人か残ってるらしいっすね」

 「え?」

 「現地で自衛隊の人たちと一緒に災害救助を始めたらしいっす。そっちは合わせて20名くらいらしいっすけど、取り敢えずの救援物資や食料を配るようですっす」

 「そうだったの!」


 帰りの輸送機では顔も知らない人も多く、俺は気付かなかった。

 伊刈社長が手配したのだろうか。

 大変な作業になるだろうから申し訳ない。

 でも新人の俺たちでは足手まといになるだろう。


 「パラオの人たちは大分亡くなったようですが、ココロが懸命に避難させましたし、自衛隊がもうあちこちで救援活動を始めてるっす。小さな島の人たちは無事ですので、海上自衛隊が到着してから順次保護すると思いますっす」

 「みんな不安だろうね」

 「そうっすね。コロールとかで生き残った人たちは、宗三さんたちがいたホテルに収容する予定みたいっす」

 「そうなんだ。大きなホテルだからね」

 「はいっす。多分、全員収容出来るっす」

 「そっか」


 数千人で廊下などを使っても一杯だろう。

 でも、多分それだけしか生き残っていないのだ……





 来栖君が食事を作ると言ったので、断って俺が作った。

 会社の人たちが頑張ってると聞いて、俺も何かをしたかった。


 「そんな、宗三さんはお疲れでしょう!」

 「いや、帰りの輸送機の中でも眠れたし。俺、どこでもぐっすり寝るんだよ、アハハハハハ」

 「そんな!」


 旅行の予定だったので食材は少ないが、冷凍していた魚や野菜があったので鍋を作った。

 来栖君が手伝うと言って一緒にキッチンに入って来た。

 レンジでどんどん解凍し、終わったものから切って行った。

 来栖君は料理に手慣れているようで、手際よく作って行く。

 冴姫がお腹を空かせた時にすぐに出せるようにと冷凍しておいたものだが、また買い出しに行けばいい。

 今日は来栖君のためにどんどん使おう。

 カリフラワーやセロリなど普段は鍋に使わないものや魚介類もバラバラだが、まあ鍋は何でも受け入れるものだ。

 今日は醤油ベースにしてどんどん鍋に放り込んだ。

 タラ、車エビ、鮭、鳥肉団子、ハンバーグまで突っ込んだ。

 闇鍋ではないが、見たことも無い面白い鍋になった。

 この少し後で闇絵さんの「鍋」を体験するが、もっと壮絶なものがあったことを知る。


 「冴姫の分も残しておいてね」

 「了解っす」


 冴姫はまだ戻りそうもなかったので、先に二人で食べた。

 来栖君が嬉しそうに「美味しいっす」と繰り返していた。


 「そうだ!」


 俺は思い出して部屋に置いた荷物を開いて、来栖君に買ったお土産を渡した。


 「はい、来栖君これ」

 「はい?」

 「お土産だよ」


 小さな包みを来栖君が開けて、コウモリのペンダントを見た。

 

 「最初に綺麗な雑貨屋さんがあってさ。来栖君にと思って買って置いたんだ」

 「これ、自分にすか……」

 「そうだよ。冴姫にさ、友達少ないねって言われちゃった。それに着いてすぐにお土産買うのかって笑われたしね。でもお陰でちゃんと来栖君に……」

 「宗三さん!」


 来栖君がいきなり大泣きしてびっくりした。


 「来栖君、どうしたの!」

 「$%&())’(’&$%$%$!」


 来栖君が言葉にならない叫びを挙げた。

 そして駆け寄って俺に抱き着いた。


 「ちょ、ちょっとぉ!」

 「そうざさぁーん!」

 「来栖君!」

 「大好きですぅー!」

 「いや、分かったから!」


 しょうがないんで来栖君の頭を撫でた。

 来栖君はしばらく抱き着いていたが、少しずつ落ち着いて俺から離れてくれた。


 「これ、一生大事にしますっす!」

 「いや、普通に使ってね。そんなに高価なものじゃないんだから」

 「いいえ! これは宝物っす! ダイヤモンドっす!」

 「だからそんなんじゃないって」

 「これから自分は「バットマン」って名乗るっす!」

 「いや、そういうものじゃないから!」


 俺は笑って来栖君の頭をまた撫でた。

 なんだか可愛らしい。


 「あの、お疲れでしょう。後で風呂でお背中流しますよ」

 「なんかコワイからいい」

 「エェェーー!」

 「アハハハハハハ!」


 冴姫はまだ戻らない。

 食事を終え、俺は風呂に入って寝ることにした。

 来栖君はダイニングにいると言った。

 申し訳ないが、もう眠くて仕方が無い。

 先ほどまではまだ気が張っていたのだろうか、ようやく緩んだか途端に眠気に襲われた。

 先に休ませてもらうことにする。

 まだ出掛けて戻らない冴姫には申し訳なかったが、もう限界だった。


 眠りに落ちる寸前、冴姫の顔が思い浮かんだ。

 冴姫は微笑んでいた。

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