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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
Parau Paraiso : 召されるパラオ

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《ボルーチ・バロータ》

 夕食会は随分と豪華らしいので楽しみにしてた。

 さっきも外の屋台で散々喰ったけど、もちろん夕食もまだまだ入る。

 「学園」の仲間はみんなそれぞれ趣味を持っているけど、私の場合はとにかく美味いものを喰うことだ。

 闇絵さんと一緒だった二年間は、闇絵さんがいろいろと美味しいものを作ってくれた。

 時々死にたくなるくらいにスゴイものもあったが、それも一応美味かった。


 ホテルには日本人向けに大浴場が備えてあったので、夕食会前にそっちに入った。

 初めての海外「旅行」を満喫したかった。

 最上階の眺めのいい場所に大浴場があり、気分はアゲアゲだった。

 日中歩き回ったのと屋台の煙などが髪に付いているのが気になった。

 宗ちゃんは部屋に戻っている。

 風呂から上がると脱衣所にココロちゃんが来た。

 表情が硬い。

 どうやら新たな敵が来たようだ。


 「冴姫ちゃん、大変なの!」

 「どした!」

 「ロシアなの! 《ボルーチ・バロータ(狼門)》の連中なの!」

 「なんだと!」


 《ボルーチ・バロータ》はロシアの《能力者》たちのことだ。

 パラオに《能力者》を送り込んで来たということは、大変なことだ。


 「数は!」

 「5人なの。さっき入国して、まっすぐコロールの街に向かった。CIAの連中も気付いてるの」

 「そう、私も念のために準備しておくね。ココロちゃんは宗ちゃんのガードをよろ」

 「うん、分かったの。でももう一つ」

 「なに?」

 「和田商事がパラオのレアアースの採掘権を狙ってるとCIAは考えてるらしいの」

 「なんで、社員旅行だよ?」

 「タイミングが良すぎたの。ちゃんとあいつらに社員旅行なんだって伝えてるけど、警戒してるの」

 「そうなんだ、ちょっと面倒だね」

 「冴姫ちゃん、社員さんたちも守らなきゃいけないかもなの」

 「分かったよ。ココロちゃん「たち」も動いてくれるんでしょ?」

 「うんなの」


 マズイことになった。

 《ボルーチ・バロータ》は強敵だ。

 私もある程度は力を出さなきゃならない。


 「あ、ココロちゃん、中国の連中は見掛けた?」

 「ううんなの。でも《虎部隊》だったら私では見つけられないの」

 「そう」


 中国の《虎部隊》は非常に隠密性が高い連中だ。

 これまでもはっきりと捉えたためしが無い。

 だからそっちは考えても仕方が無い。

 とにかく私たちは宗ちゃんを守らなければ。

 私はココロちゃんが用意した部屋で待機することにした。

 今はまだ状況が曖昧なので、出来るだけ宗ちゃんの傍にいながらいつでも出撃出来るようにしておく。

 ココロちゃん「たち」が街で既に動きながら状況を集めて行く。 

 もう夕食会は終わり、二次会で宗ちゃんは先輩社員とホテルのバーラウンジに行ったことをホテル内のココロちゃんが知らせてくれる。

 そしてそれも解散し、宗ちゃんは自室へ一人で戻ったらしい。

 街の状況は次第に緊迫していく。

 ついにCIAのパラミリと《ボルーチ・バロータ》が戦闘を開始しやがった!

 ココロちゃんが離れた位置で観測していたが、CIAのパラミリたちは一方的にやられているらしい。

 相手が悪いぜぇ。

 もう《ボルーチ・バロータ》も隠密活動を辞めて、本格的に誰彼構わず一掃する展開に移行したようだ。

 もう私が出るしかない。

 ココロちゃんも外出している和田商事の社員たちの避難誘導を始める。

 私は宗ちゃんの部屋の内線を鳴らした。

 宗ちゃんが不安そうな声で言った。


 「どした? さっきから見えなかったけど」


 私のことを心配してくれているのが分かる。

 宗ちゃん……

 出来るだけ平静を装って言った。


 「まずいよ、ちょっとカチ合った」

 「はい?」


 宗ちゃんが何のことか分からずに当惑してる。

 街は既に酷い虐殺が始まっているが、宗ちゃんは知らないでいい。


 「じゃあ行って来るね。すぐに終わらせっからさ」

 「おいおい、なんですかぁー?」

 「あんたは一応部屋にいてね。大丈夫、私が絶対に敵を近づけないから」

 「おい!」


 内線を切った。

 空中で様々な兵器に接続出来る「龍鎧りゅうがい」を装着し、すぐに殲滅兵装バハムートを出した。

 「龍鎧」が瞬時に接続し、《バハムート》が起動する。

 《バハムート》は縦15メートル、横9メートル、厚さ5メートルの大きさで、様々な超兵器を搭載している。

 普通はここまでの装備は出さないのだが、相手は《ボルーチ・バロータ》だ。

 ロシアの《能力者》にはサイキックが多い。

 来栖に匹敵する連中らしいので、念のためにここまで現出した。

 CIAの連中はもう生き残れないだろうし、《ボルーチ・バロータ》を殲滅すれば情報が漏れることは無い。

 さっきココロちゃんに中国の《虎部隊》のことを聞いたのは、万一潜入していると厄介だからだ。

 ココロちゃんがCIAはもちろん各国のエージェントや今さっきの《ボルーチ・バロータ》の連中まで監視衛星とリンクしてマーキングしてくれているので、それぞれの位置は把握している。

 問題の《ボルーチ・バロータ》は固まってバベルダオブ島と繋がる橋に向かっていた。

 そこに、CIAのパラミリの生き残りが襲撃を仕掛けた。

 こちらにとってはまたとない流れだ。

 《ボルーチ・バロータ》がCIAを全滅させてくれる。

 パラミリが脱出に向かえば面倒くさい。

 

 パラミリはランクルに乗って銃撃するが、一瞬で車両ごと「潰され」た。

 あれはPKサイコキネシスか。

 それにしても破壊力が大きい。

 PKは物体を精神力で動かす力だが、20世紀の頃はせいぜいがボールを転がしたり、スプーンを曲げたりの程度だった。

 アメリカも研究していたが、PKの分野はどうも実効性が低いと判断し、テレパシーやクリアボヤンス(透視)、リモートビューイング(遠視)などの能力者を研究するようになった。

 一定の成果は上がり、アメリカの軍や警察には情報収集のサイキック部隊がある。

 一方アメリカに常に対抗意識を向けていた旧ソ連ではサイキックの分野でも大いに研究を進めていた。

 アメリカとの違いは研究のための被験者をどんどん集められた点にある。

 政府の力が強大で、多くの人間を有無を言わせずに集め、またどんな非人道的な実験も施して行った。

 ソ連の支配地域も多く、それらの国々からも強制的に集めた来たのだ。

 その研究成果はもちろんロシアにも引き継がれ、ついに大きな成果を挙げてサイキックを戦闘で運用できるようになった。

 そういうことからロシアの《能力者》の多くは強力なサイキックだと言われている。

 私は直接戦闘したことは無かったが、その能力については一部知っている。

 私が見たのは人体が四散する映像だった。

 超能力で言えば、うちの来栖が凄まじい。

 あいつの《サンタクルス》は何でも十字に斬り裂く能力だ。

 精神感応で空間に干渉する能力で、次元に十字の構造の亀裂を入れ、全てのものを斬り裂くことが出来る。

 確認はされていないが、ロシアの《ボルーチ・バロータ》にも同レベルの能力者がいると考えられている。

 私が映像で見た能力はまだ来栖の《サンタクルス》には劣るが強烈な力だ。

 並の軍隊では太刀打ちできないだろう。

 CIAのパラミリたちは通常の戦力しか持っていないようだ。

 恐らく戦闘はすぐに終わると思われた。






 ココロちゃんから通信が来た。

 また戦闘の局面が変わった。

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