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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
人類最強

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35/82

石神家

 いつもは地下鉄で出勤するのだが、今朝はいろいろあったので冴姫の運転でヴォタンテに乗り込んだ。

 今日はユカリちゃんとは会えないか。

 一人で大丈夫だろうか。

 冴姫が車を走らせながら言った。


 「仁桜さんはヤバいよ」

 「え?」


 伊勢丹通りの信号待ちだ。

 この道はやたらと信号が多い。


 「あの人が本気になったら私でも危ない」

 「冴姫は仁桜姉のことを知っているのか?」

 「ええ、最初に会ったのは以前にモザンビークでちょっとね。もう4年前か。私でも仁桜さんは油断できないと思った」

 「そうなのかよ!」


 冴姫は超兵器を持っているはずだ。

 銃器はもちろん、それ以上の兵器があると聞いている。

 軍隊が大隊規模で来ても即座に殲滅出来るのだと。

 だからこその《殲滅者》なのだ。

 俺は実際の冴姫の戦闘をほとんど見たことはないが、前に伊勢丹の地下駐車場では本当に一瞬で3人の男たちが潰されていた。

 それに俺は冴姫の言葉を疑ったことは無い。

 冴姫が出来ると言ったことは本当にその通りなのだ。

 だから今冴姫が言っている姉貴のことも……


 「姉貴は基本刀だし、冴姫の武器なら幾らでも対応出来るんじゃないか? 実際さっきも姉貴の日本刀を粉砕してただろう」

 「あれは普通の刀だったから。仁桜さんも本気じゃなかったしね」

 「ふーん」

 「宗三、仁桜さんは刀一本で戦場で戦ってるんだよ?」

 「まあ、何となく知ってる」


 姉貴が設立した『仁王会PMC』という傭兵派遣会社で、オーナーの姉貴自身が先陣を切って戦場で戦うらしい。

 それがどういうことかは知らないが。


 「仁桜さんは日本刀で戦車も破壊するし、航空機も撃破する」

 「え?」

 「本当なの。私も両断された戦車や吹き飛ばされた戦闘機や爆撃機を「学園」の映像で見てる。F18がマッハ2で飛行中に鳴んなく墜とされたの。凄まじいわよ」

 「……」


 俺も前に姉貴が離れた場所のトラックを両断するのを見せてもらっている。

 あれは姉貴が『仁王会』を設立すると決めて、家を出て行く時に見せてもらったのだ。

 姉貴は「お前を絶対に守る」と言っていたが、俺にはそれがどういうことかはさっぱり分からなかったが。

 今思えば、姉貴は俺が《特異点》である可能性を聞かされていたのだろう。

 本気で今も俺を守ろうとしてくれているのが、今日分かった。


 「刀は届かない場所は破壊出来ない。でも仁桜さんは違うの。日本の特別な流派で修行して身に付けた剣技。離れた場所まで斬撃を飛ばせるの。しかも強烈無比なものをね」

 「そんなことが……」


 でも確かに俺も姉貴の凄まじい剣技を見ている。


 「さっきは普通の日本刀だった。剣技も使ってない。それにもしもあれが仁桜さんの愛刀《夜刀神やとのかみ》だったらとんでもなかった」

 「冴姫でも危ないのか?」

 「危ない。本気を出さなければならない」

 「でも勝てるんだな?」

 「本気で遣り合えばね。でも周辺に与える影響も大きい。さっきは宗ちゃんが傍にいたから、私も本気を出せなかったでしょうね」

 「え、じゃあどうすんだ?」


 冴姫は微笑んで答えなかった。


 「仁桜さんは好きよ。出来れば戦いたくはない。でもあの人は宗ちゃんのことが世界で一番大事だから」

 「え?」

 「あの人は宗ちゃんを守るために自分を極限まで鍛え上げたのよ。あの人は本物の天才であり、その上に努力を積み上げて来た人なの」


 冴姫が姉貴のことを手放しで褒め称えているのが、なんだか俺には嬉しかった。


 「仁桜さんも宗ちゃんと同じく神楽坂家の養子じゃない」

 「まあ、そうだな」

 「あの人は東北の《石神家》の血筋なの」

 「石神家?」

 「そう。平安時代以前から剣技だけを極めて来た一族。世界中でもあんな狂信的な血統はないわ」

 「そうなのか」


 全然実感が湧かない。


 「それで《石神家》では、とんでもない剣技が幾つも編み出されたの。離れた場所のものを斬る、破壊する超絶の剣技」

 「それは、えーと……」

 「仁桜さんは正統血統の人で、一族の中でも並外れた才能だったはず。だから《夜刀神》も任されたのよ」

 「《夜刀神》って何か特別なのか?」

 「もちろんよ。刀剣の中でも異質で最強。私でも詳しいことは知らないわ。でも仁桜さんが《夜刀神》を振るえば、私だってどうなるのか分からない」

 「そんなにかよ!」

 「《殲滅者》の称号は仁桜さんも候補に挙がっていたの。本当に凄まじい人。だから《人類最強》とも言われているのよ」


 言った冴姫は焦ってはいない。

 きっと何か自信があるのだろう。

 そう思いたい。


 「でも冴姫が世界で一番強いんだろ?」

 「私なんて、たまたま因子が適合して改造されただけの存在。本物の天才とは違うわ」

 「でも冴姫が一番強いんだろう!」


 思わす俺は叫んでしまった。

 冴姫が驚いて俺を向いてから、微笑んだ。


 「ありがとう、そうだわね、私が最強」

 「仁桜姉のことは大好きだけど、俺は冴姫と一緒にいたいんだ」

 「うん、私もそう。でもこれから厳しいことになるわ。仁桜さんは本当に恐ろしい人だから」

 「頑張るよ」


 冴姫がそれほどに評価する人間がいるとは思えなかった。

 来栖君も物凄く強かったけど、冴姫には圧倒されるのだ。

 仁桜姉がそれ以上の存在だというのか。

 姉貴は普通の人間のはずだが。

 ちょっと過剰だが昔から俺のことを可愛がってくれる優しい人だ。





 俺はこの後でとんでもない事件に巻き込まれることをまだ知らなかった。

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