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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
《虎部隊》

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110/113

虎蘭の焼きそば

 虎王さんが席を立ち、コーヒーを淹れて来た。

 タピオカミルクが最後ではなかったのだ。


 「中華料理の最後にこのようなものは余計なのですが」

 「いえ、ありがとうございます」

 「宗三さんはコーヒーがお好きですよね?」

 「そんなことまで知ってるんですね」

 

 俺ももう諦めてる。

 みんな陰で俺のことを一生懸命見張ってるのか。


 「すいません。そういう世界の人間ですので。でも宗三さんを利用したいつもりは無いのです。ただ喜んで欲しくてしろいろ調べました」

 

 虎蘭さんも言った。


 「ソウザさんが望むなら大抵のことは致しますが、ソウザさんは決して欲望に溺れる方ではないことを知っています」

 「そ、そうですか……」

 「はい」

 「よく分かりましたね!」

 「ええ」


 欲望はあるんだけどなー。

 冴姫とココロちゃんには「エッチな人間」って言われてるし。

 その通りだし。


 「お金や地位、それにハニートラップにも乗らない方だと」

 「いえ、俺はそんなに真面目な人間じゃないですよ」

 「ああ、言い方ですよね。ソウザさんは人間として持つべきものは持っていらっしゃる。でも、あまりにもお優しいので、欲望は常にその後ろに回っています」


 また虎王さんが話した。


 「先日、あのラーメン店で、会ったばかりの私のことまで気に掛けて下さっていた。券売機で私が困ってないか、お店の作法は大丈夫だろうかと。私が大きいので大丈夫かとも気にして下さっていた」

 「いや、それは別に……」

 「私たちの見込んだ通りの方でした。本当に嬉しかった」

 「あそこのラーメンも美味しかったですか?」

 「アハハハハハ! もちろん、宗三さんと一緒に食べられて、一層美味しく感じました」

 「良かった!」


 あそこの美味しさはちゃんと味わってほしかった。


 「一緒にいた女性はココロちゃんって言うんです。俺の大事な友達なんです!」

 「そうですか。では我々も大切にいたしましょう」

 「お願いします!」


 虎王さんと虎蘭さんが笑っていた。


 「本当に宗三さんはいつでも他人のことですね」

 「あ、いえ、そんなことは!」


 冴姫も含めて三人が笑った。


 「さて、お料理はこれで終わりですが、何か食べたいものはありますか?」

 「いえ、十分満足しました。な、冴姫?」

 「焼きそば喰いたい」

 「おい!」


 こいつ、何考えてやがる!

 コースの料理だったんだから、シメのコーヒーまで出て何か注文すんなよ!


 「虎蘭、作れる?」

 「はい」


 虎蘭さんがいきなり冴姫に言われ、躊躇せずにうなずいたので驚いた。


 「あなたの料理も食べてみたい」

 「かしこまりました」


 虎蘭さんが微笑んで席を立った。

 虎王さんは座ったままで、またお話しした。


 「虎王さん、あなた方は我々のことをどこまで知ってます?」

 「冴姫さん、那智さんが途轍もない能力を持っていることは。冴姫さんと那智さんは異次元空間に超兵器を収納し、自在に取り出せるということも。来栖さんは超能力でしょうか。ロシアの《ボルーチ・バロータ》にも劣らないものではないかと考えています。ココロさんは隠密行動がお得意なようですが、それが本質ではない。あの方も異次元空間の能力があるのかとも思いましたが、まだよく分からない状態です。その他にも日本にはとんでもない《能力者》がいると思いますが、我々には分かりません」


 多分、中国にとっては本当に貴重な情報なのだろう。

 日本にとっても、中国にどこまで調べられていつのかは非常に興味深い話だったに違いない。

 でも虎王さんは冴姫に問われて何も隠さずに話したように見えた。

 しかし冴姫の能力について、そこまで知られていようとは。

 那智君のことは俺も知らないが。

 それにココロちゃんの本当の能力って?

 でも今ここで俺が聞くわけには行かない。


 「《裏鬼》のことは?」

 「あの方々は本当の《能力者》を隠すために表に出ていますね。兵士としては超一流ですが、連城大佐の他数人が異能力を使えると思っています」

 「仁桜さんは?」

 「あの方は冴姫さんたちと同じくとんでもない戦闘力をお持ちです。今はどこにいらっしゃるのかは知りませんが、どこかでまた鍛錬を積んでいらっしゃるのでしょうか?」

 「どうしてそう思います?」

 「銀座で冴姫さんの圧倒的な戦力を見せたせいです。宗三さんを誘拐しようとしていましたね?」

 「そこまで分かっているか……」

 「はい。《ヴァーミリオン》が来たので我々も一時は介入しようかと思いましたが、冴姫さんが来られましたので静観していました」

 「宗ちゃんが危険とは思わなかった?」

 「ありませんよ。仁桜さんがいらっしゃったのですから、何者が来ようとも宗三さんが傷つけられることは無いでしょう」

 「なるほどね!」


 俺にも虎王さんと冴姫の会話は大体理解出来た。

 冴姫は虎王さんに本当に協調してやって行けるのかどうかを確認しているのだ。

 そして虎王さんは冴姫の期待以上に正直に応えてくれている。

 二人が信頼関係を結んだことが俺には分かった。

 俺には感じられるのだ。


 「逆にお聞きしたいのですが、冴姫さんは我々のことをどうして聞かないのですか?」

 「前に虎蘭に聞いたから。能力を教えろと言ったら断られちゃった」

 「ハハハ、そうですか」

 「今聞いたら答えてくれますか?」

 「そうですね。理解頂けるかは分かりませんが、あなた方の異次元に移行できる能力とは違います」

 「ミルザム・トンネル」

 「なんと!」


 虎王さんが驚いていた。


 「あなた方はそこまでご存じなのですね!」

 「宗ちゃんがねぇー、こないだ気付いちゃったー」

 「宗三さんが! 流石です!」

 「違いますよ! 俺はただ……」


 冴姫に口を押えられた。

 まずった、「ドラゴン」さんの名前を出すところだった。


 「でも、まだ全然。今後は《虎部隊》の観測も出来る予定ですけど」

 「そうですか。日本の技術力は本当に凄い」

 「日本からの技術供与を望みますか?」

 「それは有難いことで是非お願いしたい。ですが、我々は宗三さんに寄り添うことが目的ですので、日本から無理に何かを頂く必要はありません。我々がそれに見合うものを提供できる場合はご検討下さい」

 「なるほど、分かりました」


 全然分からん。

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