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カブトムシとゴキブリと文化祭準備

「えー、カブトムシいるの?」

「ふつーにいますよお」

 かわいい先輩がのっぽの後輩と盛り上がっている。

 のっぽのエルムが暮らす古い団地の森には、カブトムシが棲んでいるという。

「先月も散歩してたとき、道をなんか歩いてましたもん」

「えー」


「カブトムシって、飼ったことある?」

「子どもの頃はあ、なんか飼ってました」

「あれって夜なったら、飼育箱ぬけだしてブンプン飛ばない?」

「あー、飛びます飛びます」

 でもさあ

 かわいい人はぜんぜん違う話をはじめた。

「虫って飼うとき、つがいにするじゃん?」

「つがい? ああ、オスとメス一緒にってことですよね。小鳥とかでもしますよね」

「あれってさあ、虫の立場からしたらさあ、ペアになったのが好みだったらいいけど、ぜんぜん合わないのと一緒にさせられたら、悲劇だよね」

 どーする? キモいオカマみたいなのが一緒だったり、すぐ暴れだすようなのが一緒だったりしたら?

「えー、それ、ぜったいやだあ!」

 あんな狭いとこ閉じ込められたら、逃げ場ないじゃん。

「ぞわぞわあ」

「あれこそ運命の出会いだよね。合う合わないカンケー無く、死ぬまで一緒に暮らさなきゃいけない。あれ見てるとさあ、運命の出会いって、必ずしも自分に合うのばっかりじゃないんだろうなって思う」

「えー、こわーい!」

「そんなんの子どもまで産まされたら、もうわたし、なんのために生まれてきたのかって、運命呪うよ」

「あー、やめてやめてくださあい、ちょっとムリムリムリ!」


 大騒ぎしたあと、後輩は言った。

「でも、ひろこさんって、なんかおもしろい見方、しますよねえ」

「おもしろい?」

「カブトムシ飼うのに、オスメスの相性をムシの視点で考える人って、なかなかいないと思いますう」

 かわいい先輩は、ふうっと嘆息すると、

「だよねー。なんだろ、こんなふうに考えるよーになったのは、やっぱ、ここの部活からなんだよね」

 にゃんがさあ、あの子、軍事オタクだったりするのよ。

「にゃん? ああ、部長ですね」

 そうそう。んでさあ、最近、多いじゃん、戦争が。でね、なんであんな残酷なことできるんだろねとかって話になるじゃん。子どもも女もなにもあったもんじゃないでしょ。そしたら、あの子は言うわけよ。


「ゴキブリが出てきたら、おまえ、どうする?」

「ゴキブリ? シューする」

「ほら、無条件に殺そうとするだろ」

「当たり前でしょう。誰だってそうするに決まってる」

「だよな。でもさ、ゴキブリはそこにいただけだろ? べつにおまえを殺しにきたわけじゃない」

「だってキモチ悪いじゃん。ばっちいし」

「そんなことで命まで取られなきゃいけないのかって、オレがゴキブリなら思う」

「もう、なんの話してんの? ゴキブリなんてどーでもいいじゃん」

「って思ってんだよ。攻撃してる連中は」

「はあ?」

「なんであんな残酷なことできるのって、おまえ言ったろ? 連中はべつに残酷なことやってるって思ってないんだって。ゴキブリ殺すのに罪悪感ねえだろ」

「ゴキブリと人は違うでしょ」

「だからあ、人と思ってないんだって」

「! ・・・でも、だからって子どもまで」

「おまえ、子どものゴキブリなら殺さないのか?」

「それは・・・」

「だろ? 子どもだろーが、女だろーがいっしょじゃん。それにさ、子どもはいずれ大人になる。子どもの頃の恨みはぜったい忘れない。そんな危ねーこと、そのままにしてられっか? やるんだったら、皆殺しが一番いいんだよ。ゴキブリだって、皆殺しできるとかって殺虫剤の宣伝やってんじゃん。綺麗さっぱりいなくなってくれたら、問題解決なんだよ。ってゆーふーに考えてるとしたら、おまえが言うあんな残酷なことだって、罪悪感なくできるんじゃないか?」


 立場変われば、考えも変わる。

「当たり前ちゃあ、当たり前なんだけど、それまであんまり考えたことなかったのね。だけど、なんでそーするのかなあとか、そうなったらどーなるのかなあとかって、ついつい意識するよーになってさあ」

「へー、おもしろいですね。なんか発想が広がりそうだし」

 そんな二人の会話を聞きながら、なにかやだれかの立場になって考えることが、投資の世界にも活かされるのだろうと、漠然と思った。


 二学期がはじまり、文化祭の準備に慌ただしい日々だった。

 今年の株式投資部は昨年度と同じ趣向で進めることとした。あまりウケを狙っても外すだげだろうと部長が言ったこと、進学校でもない高校の文化祭で、マジメ路線を通したほうが、意外性があっていいのではとかわいい人が言ったことが全てだった。


 今年は新NISAがはじまって、世の中も投資に対する関心が高いはず。

 想定問答を考える。


「ついこの間も大暴落したけど、結局、うまい話なんてないんじゃないの?」

 大暴落しても、また元に戻ります。あわてて売らないことです。


「なにを買ったらいいのかわからない」

 個別株はなかなかむずかしいので、市場の動きに連動するインデックスファンドの積立投資が簡単です。


「一度に投資したらダメなの?」

 ダメではありません。ただ、未来のことは誰にもわからない。全額投資して、先日のような大暴落があると、しばらく含み損を抱えることになる。逆に、投資したときが大暴落のタイミングなら、安値で仕入れることができたことになる。すべてはタイミングの問題ですが、うまくやるのはむずかしいでしょう。


「日本株よりアメリカ株がいいんだよね?」

 いちがいには言えません。アメリカ株は高値を更新し続けていますが、見方によれば、上がりすぎかもしれない。日本株は今年になってようやく何十年ぶりに最高値を更新しました。何十年分の株価上昇圧力が貯まっているとすれば、今年の最高値更新は、今後の株価高騰の序章の序章かもしれない。日本はダメだと言う人多いですが、投資にとって悲観は友とバフェットが言うように、これから投資するなら、日本株はアメリカ株を凌駕するかもしれません。


「PBR1倍未満の株が狙い目なんだろ?」

 狙い目のひとつであることは、間違いないでしょう。でも、なんでもいいわけじゃないので、それだけで選ぶのはどうかと思います。成長が見込めない企業はPBRが1倍未満だろうと、株価が伸びる可能性も小さいと思われます。


「自社株を買う会社がいいんだよね?」

 これもなんでもいいわけではないでしょう。自社株購入で全体の株数が減るので、そこだけ見れば、株価にはプラス要因です。でも、資本効率を上げるために自社株買い一辺倒なら、実は将来の発展につながる投資先を見出だせていないだけなのかもしれない。仮にそうなら、そんな会社はいずれジリ貧になると危惧されます。


 などなど。文化祭は来週の土日。当日はどうなるか。


 2024年8月30日現在 わたしのポートフォリオ

 ・1678 NEXT FUNDS インド株式指数 Nifty50 連動型上場投信 2,000株 買値319.8円 株価368.4円 時価736,800円 含み益97,200円

 ・2579 コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス 200株 買値1,530円 株価2,063円 時価412,600円 含み益106,600円

 ・3445 RS Technologies 200株 買値3,200円 株価3,520円 時価704,000円 含み益64,000円

 ・5888 DAIWA CYCLE 200株 買値1,800円 株価2,997円 時価599,400円 含み益239,400円

 ・7134 アップガレージグループ 800株 買値835円 株価1,024円 時価819,200円 含み益151,200円

 ・8306 三菱UFJフィナンシャルグループ 400株 買値1,067円 株価1,528円 時価611,200円 含み益184,400円

 現金 28,699円

 時価総額 3,972,699円 含み益972,699円 含み益率32%

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