連休前
連休前の一週間は、ジェットコースターのような日経平均株価の動きだった。
2024年3月期本決算発表がこれから本格化する。各企業の今期見通しを見定めたい思惑があるはずなので、ここで株価がどう動こうと、バタバタするのはどうかと思う。
「PERが低い株を狙うべきなんですよね?」
陰気な下級生男子が聞く。
「なぜ?」
「だって割安なんでしょう?」
「そうとも限らない」
「え、そうなんですか」
「PERが低いとは人気がないこと。人気がないのにはないなりの理由がある」
「どういうことですか?」
「業績が伸びないと思われているから人気が低い。業績が伸びない会社の株式を欲しがる奇特な人はまずいない。そんな株式の株価は上がりにくい」
「PERが高いってことはあ、人気があるってことならあ、人気のあるPERの高い株を狙ったほうがいいってことお、ですう?」
しょうゆ顔したのっぽの女の子が聞く。
「そうとも限らない」
「なんでえ? 人気あるほうに、なんか便乗? したほうがよくないですかあ?」
「実力の伴う人気ならともかく、実力もないのに人気だけある株式の株価は下落リスクが高い。下落しないまでも、さらに株価上昇の可能性が高いとは考えにくい」
じゃあ、結局、なにが狙い目?
という顔をする後輩二人に、PERだけで投資判断はできないと告げようとしたが、そう伝えても意味はないと思い直した。PERが判断材料のひとつである以上、判断材料としてのPERの意味を伝える必要があるだろう。
「PERはEPSとの関係で考えるもの。EPSがこの先3年から5年に渡って増え続けると見込まれることが、大前提になる」
EPSは企業の実力を表す。EPSが増え続けるとは、企業の実力が増し続けることと同義である。力をつけてゆく会社の株価は上がる。ただ、いつ上がるかはわからない。そこで見るのがPER。EPSが増えると見込まれる株式のPERが高ければ、すでに多くの人々はその企業の成長に注目していると考えられる。低ければ、まだ多くの人々はその企業の成長に懐疑的もしくは気づいていないと考えられる。仮に今後同じだけEPSの増加が期待できる株式がふたつあると仮定する。片方のPERが高く、もう片方のPERが低いとすれば、高い方はすでに株価が上がっているので、今後の株価上昇は限られると想定される。低い方はまだ株価が上がっていないので、今後の株価上昇余地は大きいと考えられる。
「PERの高低は、かような条件下で論じて初めて意味がある」
「あのお」
のっぽが探るような目をした。
「ひと言で言うとどうなりますか?」
ひと言で? そんな単純な話ではないとはじめに伝えたつもりだが
と思ったが、敢えて言えば
「今後5年はEPSが伸び続けると思われる企業の中から、PERの低い株が狙い目になる」
のっぽの女の子は、なあるほど、というかおをした。陰気な銀縁眼鏡の男の子は律儀にメモった。
その日、後輩と別れてから、思った。
世の中は複雑ゆえに、いろいろあるにせよ、ものごとを単純に考えることは重要かもしれないと。
人に教える、というほど大層な話ではなくとも、なにかを人に伝えるには、伝わるためのわかりやすさが必須と言えるかもしれない。
高校に入って、授業を受けていると、教師にもいろいろいることがわかる。教え方に個性があると同時に、優劣がある。下手な教師は何を言っているのか理解に苦しむ。難解は己の頭脳の稚拙さの証左であると理解していたが、案外、教える側の教え方にも一因があるのかもしれない。
中にはあからさまに人を馬鹿扱いする教師もいる。この高校は、ありふれたといえばありふれた、何の特徴もないといえば何の特徴もない普通科高校にすぎない。学業成績で言えば、中学時代に株価偏差値50を少々上回る程度の者の集まりだから、お勉強ができるというには程遠い生徒の集まりと言える。なので、こんなこともわからないのかと軽侮したくなる感情が湧くこともあるのであろう。しかしながら、理解させることが教師の務めであるのなら、軽侮は教師の自尊心を満足させるかもしれないが、責務を果たしていないとも言える。
と考えたとき、複雑を単純化することこそ、伝える側の責務と認識すべきことかもしれない。
もうひとつ、発見があった。
人に伝えるため、単純化すると、己の理解も深まった。
「今後5年はEPSが伸び続けると思われる企業の中から、PERの低い株が狙い目になる」
自身の投資先の選定に、これは役に立つに違いない。
2024年4月26日現在 わたしのポートフォリオ
・1678 NEXT FUNDS インド株式指数 Nifty50 連動型上場投信 1,400株 買値300円 株価355.4円 時価511,560円 含み益91,560円
・2579 コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス 200株 買値1,530円 株価2,193円 時価438,600円 含み益132,600円
・5888 DAIWA CYCLE 200株 買値1,800円 株価1,974円 時価394,800円 含み益34,800円
・6623 愛知電機 100株 買値3,615円 株価4,050円 時価405,000円 含み益43,500円
・8306 三菱UFJフィナンシャルグループ 400株 買値1,067円 株価1,553円 時価621,000円 含み益194,200円
現金 1,146,903円
時価総額 3,517,863円 含み益517,863円 含み益率17%
仮想運用分
・6758 ソニーグループ 買値14,540円 時価12,770円




