空舞う炎 序
番外編。フェニックスが地上界に向かう
いつかの日、フェニックスとサラマンダーが話していたのを覚えているだろうか…。
そう、今からあなた方が見るのは番外編である。
空舞う炎
「お帰りなさいませ、フェニックス殿」
「あっ、副長兼補佐!さっきは勝手に逃げ出しやがってよぉ、テメエは俺の特別な部下なんだから帰らなくて良いっつってんだろ!?」
「フェニックス殿、私の名前はジーム。副長兼補佐ではなく、ジームとお呼び下さい。それと、『っつってんだろ』というのは過去にもその様な内容を言ったのに、相手がそれを実行しなかった時に利用する言葉です。七万の長たる者、言語くらいしっかりしましょう」
「ケッ、解ってますよ、ジーム副長兼補佐!」
「フェニックス殿、『解ってます』とは、既に解っているモノに対して言う言葉。解っていない事にその様な言葉を使えば部下の誤解を招きます。それと、『ジーム副長兼補佐』では、進歩が半分しかなく、向上心溢れる部下への示しがつきません」
「黙れッ!℃¥$¢…………。」
この口喧嘩、傍観者の話では二時間続いたとか、続かなかったとか。
「落ち着け、二人とも」
サンガーが間に入った。
送り主は、フェニックスをサンガーに送った水神である。
だが、小学生の時に円周率を自力で百万桁求めたあなた方ならもうお分かりだろう。
そう、フェニックス、サラマンダー、クラーケン、ペガサス、サンガー、バジリスクは、水神とツルギを連れて帰ってきていないのだ。
では、二人はどうやって帰ってきたか。
この際だから水神の使える力を紹介しよう。
さすがは神、使える力は一つではない。
未来予知
瞬間移動etc…。
そう、瞬間移動で彼女らは来たのだ。
「喧嘩は終わりにしろ」
サンガーが二人を止めた。
すると、ジームが、
「では、フェニックス殿。地上界に出発する時が来ました」
「遂にか」
「はい」
フェニックスが七人を見て、
「行くぜ、お前ら」
「ああ」「はい」「よっしゃ」「ああ」「おう」「ええ」「はい」
だが。
「地上界にはフェニックス殿と私だけが参ります」
「…ジーム?」
「はい」
フェニックスが疑問の顔を見せる。
「我々二人だけで参ります。まずは、地上界とのコネクションを作らなくてはなりませんので」
「…………。」
フェニックスが残念そうに七人を見る。
すると、
「フェニックス君」
「…サラマンダー」
「行ってきなよ。僕達待ってるから」
「…解ったよ。またな」
今、フェニックスは、ジームが運転する小型飛行機に乗っている。
少し寂しそうな顔をして。




