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五人の覇者  作者: コウモリ
短編8
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五神大業記

短編。五神の話

五人の人間が机を囲んで座っている。

だが、五人がいる場所は部屋ではない。

荒れ地だ。

乾いた土地の真ん中にぽつんと机椅子が置いてある。

「そろそろこの世界も開拓すべきか」

「そうですね。我々五人が手を加えれば命などすぐに作られる」

「火、水、草、雷、土。全てを上手く配分しよう」






ある場所は真っ赤に燃え盛る。

ある場所は滝が轟音をたてている。

ある場所は草花のある場所となる。

ある場所は永く雷鳴の鳴る嵐の海となる。

ある場所は岩石のみがある砂漠となる。






こうして五人はその世界を開拓していった。

何故そんな事が出来るか。

それは、五人が神だからだ。

火神、水神、草神、雷神、土神。

それぞれがその力を操る。

それによって命が育まれる。

火の有る所に龍が、

水の有る所に魚が、

草の有る所に虫が、

雷の有る所に鳥が、

土の有る所に獣が、

生まれた。

「我々が関与するのはここまでといった所かな」

「ええ、これ以上の関わりは逆に悪影響を与えます」

その後、数万年の間天上界に手を加えることはなかった。






その間、地下界が生まれた。

死ぬことのない五神にとってその誕生は想定外であったが、特に影響は無いだろうと放置していた。






人が知能が持った。

それを見計らって五神は彼らに力と技を与えた。

絶対に悪用するな、と警告して。

だが、知能を持てば悪事もする。

当然悪用する人が現れた。

五神は、彼らを人々の目の前で処刑した。

無論、殺害だ。

五神は、崇められ、恐れられた。






「人々が我々を見ると異様な対応をしています。地に伏せる者、逃げる者、子供を隠す者…。」

水神はある時言った。

「それで良いのではないか?」

草神が答えるが、

「しかし、人々が、我々が処刑する理由を勘違いしている可能性もあります」

火神がなだめる。

「どう受け止めるかは、彼ら次第だ」






次に、五神は地上界の開拓を始めた。

同じように。

だが、一つだけ決定的に違うものがあった。

「四人とも聞いてほしい。地上界に生まれた人間には力を与えない方が良いと思う」

そう言ったのは雷神だった。

「天上界とは違う世界を創る、ということか」

土神が解釈を言うと、

「わしは賛成だ」

「誰も異論はないか?」

手を挙げる者はいなかった。






その後に、地上界には力の事だけではなく、本当に手を加えない、と取り決めた。

五神は天上界に住み、天上界をより良いものにしようとした。

「天上界とて、あまり手を加える訳ではない。これからこの五人が集まる必要も少なかろう。」

そう火神が言うと、五人は別れた。

その後、五人全員が再び集まったのは長く後だった。






その後天上界は彼らの工夫はなく成長していった。

王政を築き、紛争の無い平和な世界となった。暗黒街などの反乱分子はあったが、それが集まり王に反発する事は無い。






だが、極界戦争が起きた。






最初に異変を察知したのは雷神だった。

普段から空にいるため、情勢が良く解る。

地下界から一人の男が現れ、腕の立つ者を次々と殺していく。

いつも通り何も手を加えなかった。

それが、仇となってしまった。

地下界まで監視していなかった五神は殺された者が地下界精鋭部隊となったなど全く知らず、その時が来た。

火神は現場をしっかりと目撃した。

死者から別の男が現れた。

神とあってもその時は恐怖しか抱かなかった。

五神は集まった。

「地下界が暴走しているようだ」

「あそこは手を加えませんでしたから、天上界の厳しい規則から解放された人々が倫理を失ったのでしょう」

「地下界を制裁しよう」

「我々がやったのでは意味がない。天上界の人々が今後もこのような事があった時のために彼らが自分で道を開くべきだ」

草神の案に皆が賛成した。

だが、思いとは違う方向に物事は進んだ。

天上界軍の形成と地下界との応戦。

水神は天上界王の元に向かった。

「天上界王」

「水神様」

「この状況を説明してください」

「…地下界が攻撃してきました。我々も応戦する外ありません」

「それがあなた方が出した答えですか」

水神は帰ろうとしたが、

「お待ちください!是非五神の皆様にも戦っていただきたい。そうして頂ければそれほど心強いことはない」

水神は怒りを感じた。

「水神…様?」

「…他の四人にそう言っておきましょう。ですが、私は戦いません。」

結局、水神以外は戦うことを選んだ。

作り出した世界を壊させる訳にはいかない、として。

「どこへ行く水神」

「地上へ向かいます。争いは好みません」

水神が出ていくのを誰も止めなかった。






その後、水神は地上界の森に住むことにした。

その森は水神が地上界にいる唯一の恩恵だが、あまり近づく人はいなかった。

地上界の人々は、力は持っていないながら、巨大な力を感じていたのだ。






残った四人の神は天上界に攻めてくる地下界の人々を退治した。王の狙い通り天上界の人々は心強さを感じた。

だが、地上界はとんでもない事をした。

「火神!」

「どうした、土神」

「地下界が二界道を作った!」

「なんだと!?」

「本当だ、どこから漏れたかは知らないが奴ら二界道の作り方を知っていたよ…。」

「どこまでやる気なんだ…。」

だが、逆に二界道が仇となって地下界は極界戦争に負けた。






数日後。四人の神は天上界王の元を訪れた。

「天上界王」

「あっ…!何の用でございましょうか…?」

「これから姿を見せることがあまり無くなるだろうから挨拶にな」

「それは…どうして?」

「地下界が暴走したのは我々にも責任があるからだ」

「…………。」

天上界王が黙った。

「それで、二界道を通って地下界を壊滅させたという者に会いたいのだが」

「ははっ!」






四人の神はどんぶりうなぎと会った。

「ど…どうも」

「二界道のこと、ご苦労であった。礼を言いに来た」

どんぶりうなぎが何か考える節を見せた。

「どうした、何かあったか」

「いえ…水神様がいないような…」

「ああ…彼女は極界戦争に呆れて平和な地上界に降りたよ」

「そうですか…。」

「地上界の事で何かあれば水神を頼ると良い。」

「…解りました」






四人が集まるのはあれが最後だろう、と思っていた。

だが、あの日。極界戦争から千二百年ほど経った頃。

四人が集まった。

「何か懐かしい気配を感じたな」

「ああ…水神が戻ってきたようだ」

「あれほど天上界を嫌っていた彼女が帰ってきたという事は相当の事があったのだろうな」

そう、四人が集まったのは、あの日だ。


五神大業記、終了。

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