二百年大修行 バジリスク編(二)
一回戦:山南対場時理巣区。
「山南、アンタは確か北辰一刀流、天然理心流だったな」
「ああ」
「行くぜ。岩石弓矢!」
「斬波!」
山南がブンと刀を振ると波動が現れた。
弓で相殺する。
「もう一丁!」
矢が山南に飛んでいく。だが、斬波は準備出来ていない。
だが。
「甘い!」
山南が剣を振らずに矢を斬った。
「これが北辰一刀流だ」
「嘘つけ!」
バジリスクだけでなく土方も叫んだ。
「フッ…土方よ漫才が出来るかもな…」
「やりたかねーよ場時理巣区…」
「斬波!」
今度はバジリスクが準備出来ていない。
「ギガクラック!」
波動を素手で一刀両断。
「おお、凄いね場時理巣区くん」
「アイツに剣はいらねーなぁ…」
沖田斎藤が感嘆する。
「ロックハーデン!」
山南が岩で固められる。
「ぐっ…!」
「ランドスライド!」
山南、KO。
二回戦:斎藤対場時理巣区。
斎藤は左利きであり、右に刀を据えている。
「轟斬!」
物凄い音が轟きながら剣がバジリスクに向かう。
「ギガクラック!」
波動を斬ったと言えど、直接剣には対抗できないので斎藤の腹を狙う。
「ぐはっ!」
胴一本である。
さらに、
「岩石槍!」
何と今度は槍が現れる。
「突波!」
字が違うのがお解りだろうか。
これは突破ではなく、突いて波動を出す突波である。
斎藤、KO。
三回戦:沖田対場時理巣区。
「いよいよだね」
「オメーもすぐに倒してやるよ」
「月明かり!」
沖田の剣が眩く光る。それは場時理巣区の目をくらませた。
「満月斬り!」
バジリスクの体から血が飛び散る。
「ぐはっ!そんなに月が好きか!」
「うん。月明かり!」
バジリスクが目を閉じて光が消えるまで待つ。
消えた。
「二度もかからないか…。新月斬り」
沖田が、消えた。
「なっ…!」
ブシュッ。
「ガマの油、ガマの油…。」
近藤の声が聞こえる。確かガマの油は薬だったような違ったような。
「ガマの油、ガマの油…。」
沖田、土方、斉藤、山南全員の声が聞こえる。全員が探している。
ズキッ。
「痛」
バジリスクが目を開ける。
「…何してんの」
「ガマの油踊り」
「…………。」
「場時理巣区くん、怪我の調子は?」
怪我をさせた沖田が聞いてきた。
「あ、ああ、痛むが血は出てねぇようだな…。」
「うん、それぐらい見れば解るよ」
「お前、それが斬った人に対する態度か」
「落ち着け場時理巣区。」
土方が肩に手をポンと置いた。
「でも、道場破りしなくて良かったなァ。あのままだったら確実に俺か総司に殺られてたな」
「うむ、わしが甘かった」
バジリスクが反省した。
「場時理巣区、あと十年何するんだ?」
斎藤が聞いてくる。
「お前らより強くなる修行」
「なら…」
近藤が提案する。
「いっそのこと刀を持ってみてはいかがかな?」
十年後。
刀を持った男がいる。坊主頭で、少し厳つい。
その名は、バジリスク。
因みに、五人もバジリスクで喋るようになった。
「大分強くなったな、バジリスク!今なら総司倒せるんじゃないか?」
「倒せないよ」
沖田が笑って言う。
「何なら勝負してみる、バジリスクくん?」
「望むところだ」
「新月斬り!」
「域討ち!」
総司が消えた瞬間道場の床が飛んだ。
観客は全員危機一髪である。
問題の総司は、
「危なかった」
ご生存だ。
「満月斬り!」
「伸斬!」
沖田がバジリスクに振りかかる前にバジリスクの剣が届いた。
「うわっ!」
沖田の左手が赤くなる。
「おお、勝ったなバジリスクくん」
近藤は素直に感嘆したが、
「さて…俺の出番か…。」
「歳、少しは手加減してやれよ」
「わぁってるよ。任しときな」
土方対バジリスク。




