二百年大修行 バジリスク編(一)
覇者の中でもトップの格闘技の力を持つのは誰か。
言うまでもなくバジリスクである。
通常技がチョップと頭から落とす奴(?)だからだ。
そんな彼でも唯一の遠距離かつ土体系の攻撃が、ロックハーデン。
敵を岩で固める。
つまり、攻撃技ではない。
今の彼の目標は、
「土体系かつ遠距離攻撃技を覚えるぞ!」
百九十年が経った頃。クラック系やロックハーデンの威力はかなり高まったものの新技が出来る気配はない。
「頼もー」
「誰だ?」
「道場破りに来た」
初っぱなからハメを外している。
「テメエ、ナメてんのか。まあ、名乗れ」
「バジリスク」
「横文字?外人か?」
地上界の人から見れば充分に外人の奴が何を言う。
「漢字で言え」
これまた無理なことをおっしゃる。
だが、不可能を可能に変えるのがこの男、
「場時理巣区」
「ふむ、場時理巣区か。良い名前だ。道場破りに来たと言っていたな?」
「ああ」
「ならば相手しよう」
相手が剣を出してきた。マジな奴である。
そこで、バジリスクはピーンと来る。
「くたばりゃ場時理巣区!」
「俺の持つ土の力で剣を作れんかな…。」
その時点で既に遠距離という条件に外れているのだが、押してダメなら引いてみな、剣でダメなら弓持ちな、というわけで、
「弓を作ろう。俺の…」
ザクッ。
ブシャー
「おい、お前道場破りに来ておきながらよそ見するなよ」
先程の効果音はご自由に使ってほしい。
「うるさいな、今新技の考案中なんだよ」
「家でやれ」
「よしっ、岩石弓矢!」
バジリスクの手に岩、石、土で作られた弓矢が現れる。
「覚悟しぃやーって、この道場は残業せんのか」
草木も眠る丑三つ時にござる。
「おっ、お前まだいたのか!?」
「てゆーかテメエら勝手に帰っただろ」
「るせ、ウチはどこぞのブラック企業とは違うんだよ」
「あーん、ブラック企業ナメんな、俺なんか暴力団だぞ」
「なにっ、暴力団となっ!」
「どうかしたか、南海組だ」
「こンの、世の平和を乱すアホ共め…ぶった斬る!」
ヒュン、ヒュン!
「どっわ、待たんか!」
「口答えするな!鬼の副長に向かって!」
「鬼の副長…?アンタ名前は?」
「土方歳三」
「この道場って…試衛館?」
「そうだ」
土方の剣が止まった。
「アンタらって壬生浪士組?」
「何じゃそりゃ」
「別人か…。」
説明しよう!
壬生浪士組とは新撰組の前の名前。もちろん二つの違いはいくつもあるが。
試衛館とは新撰組の局長、副長助勤の方々が通っていた道場。剣の流派は天然理心流。
名を挙げると、近藤勇、土方歳三、沖田総司、山南敬助などだ。
なお、今話したのは地上界に存在していた新撰組で、こちらの方は違うかもしれない。
「歳ー!歳ー!」
「近藤さん!」
新撰組局長の近藤勇が来た。
「マジで試衛館かよ…!」
バジリスクが感嘆する。
「歳、天上界王が浪士組を作れとの事だ」
土方がハッとバジリスクを見る。
「近藤さん、コイツ浪士組の事知ってたぜ…」
「何!?君、名前は?」
「場時理巣区」
「場時理巣区殿、君は天上界王の知り合いか…?」
「違う。俺はただ道場破りに…」
「え゛」
「でも、アンタらがろ…試衛館の人達ならやらねぇよ。」
「そ…そうか…。しかし、その言い方、我々の事を知っているような…?」
「ちょっとしたファンなんだ。知識はないけど」
「ファンだァ?俺達はそんな…」
「おだまんなさい、バカ鬼」
バジリスク、心の一刀。
「ああ、そうだ場時理巣区君、ちょっと歳と話していいかね?」
「どーぞ」
きっと浪士組の件だ。バジリスクが待っていると、
「見ない顔だね」
「うぉうっ!」
バジリスクが驚いて振り向く。
「君は…?」
「僕は沖田総司」
「わしは場時理巣区」
「近藤さんの知り合い?」
「違う」
「ふーん、じゃあ、土方さんの?」
「違う」
「?」
「ちょっと道場破りに」
「え…?」
「気にするな。ここが試衛館だからしない」
「なん…あ、山南さんだ」
「山南となっ!」
バジリスクは驚きの連続である。
「誰だい?」
「場時理巣区さんだよ」
沖田が説明する。
「ふーん…。よろしくね」
「ああ」
近藤、土方が戻ってきた。
「おお、総司に山南くん。浪士組の募集があり、天上界王の所に行くのだがついてきてくれるかな?」
「もちろんだよ」
「はい」
「場時理巣区、テメエはどうする?」
土方が聞いてきた。
「うーん…。それより、永倉や原田はどうした?」
「誰それ」
「えっ、いないの?ちょっとずれてるな…。」
「近藤さん」
「おお、斎藤くん」
「斎藤はいるのかよ」
バジリスクが呆れる。
なお、新撰組について詳しく説明することはないので知りたいならネットで検索してほしい。ただ、地上界と天上界ではずれているようだから役に立つかは解らない。
「近藤さん、何やら王から募集が…」
「ああ、浪士組のな。斎藤くんも来るか?」
「はい」
「では、場時理巣区」
再び土方のターンである。
「テメエはどうする?」
「わしはあと十年ぐらいしたら四人の仲間に会わなければならん。ちょっとついていけんな」
「近藤さん、募集はいつまでだ?」
「あと百年ぐらい」
「長ッ!」
それもそのはず、百年とは地上界の一年ちょっとである。
「なあ、場時理巣区。それならテメエもついていけるんじゃねぇか?」
「そうだな」
バジリスクは一応返事をしておいた。
近藤が仕切る。
「それでは、何か言いたい事は?」
「はい」
「何だ、総司」
「場時理巣区くんと腕試しがしてみたいな」
「あ、それ私も思っていた」
山南も賛同。
「そういやテメエ道場破りに来てたよな?」
土方さえも乗り気である。




