二百年大修行 バジリスク編(三)
「土方…アンタはどういう戦い方をするんだ?」
「技は使わねぇ。だが、敵の技は斬る」
「そんな事が出来んのか?」
「せいぜい言っとけ。始めるぞ」
「伸斬!」
バシュッ!
予告通りバジリスクの伸びた剣をただ跳ね返した。
「やるなぁ」
「新人に斬られるほど俺は甘かねぇ」
沖田が苦笑いする。
「ましてや刀を持ってない奴にやられるなど」
山南と斎藤が目を背けた。
「では、こちらから行くぞ」
土方が攻めてきた。
バジリスクは今だから思う。
自分に遠距離技は必要ない。
自分は、短距離の肉弾戦専門だ。
「終わりだ!」
土方の剣がバジリスクの右腕を狙う。
「斬り返し!」
それを跳ね返して土方の剣が飛んでいく。
「なっ…!」
「ギガクラック!」
「土方さん」
沖田が呼んだ。
「う…。」
土方が起きる。
「チョップにやられたね」
斎藤と山南がにっこりと笑っている。
「くそ〜、土方歳三の名折れだぜ…。」
「さて」
近藤が立ち上がった。バジリスクの方へ歩いていく。
「わしの出番かな」
「バジリスクくん、そちらから来なさい」
「お言葉に甘えて」
バジリスクが剣を構えて近藤に向かう。
「せいっ!」
ブンと一振り。
だが、それを近藤の剣が受け止めていた。
ここまでは想定済みだった。
そして、バジリスクの足が近藤の腹を、
「決まった」
バジリスクの足は確実に近藤の腹に入った。
「これが蹴りかな?もっと重いものを期待していたが」
「え゛」
近藤は剣を両手で持っていたが、左手を外すとその手で足をどかした。
「もっとかかってきなさい」
「くそっ!」
バジリスクが剣を捨てる。
「俺は素手でやる」
「好きなように」
「ギガクラック!」
「ふンむ」
渾身のチョップを近藤は左手で受け止めた。右手は剣と共に降ろしている。
端から見れば何とも無防備だが、バジリスクは攻撃できない。
「ランドスライド!」
「そら」
バジリスクが頭を掴もうとしたが、そこに頭は無かった。
「後ろだ、バジリスクくん」
「え゛」
バジリスクが後ろを向くと…
「わしの勝ちですな」
バジリスクのこめかみの前に剣先があった。
「なっ…!」
「バジリスクくんが動こうとした瞬間にわしはこの刀を脳天に突き刺す。降参したまえ、バジリスクくん」
「残念だけど降参はしない」
「ならば」
剣がバジリスクのこめかみを…
「残念」
バジリスクの宙返り。近藤の剣は空を斬った。
「岩石斧!」
斧が作り上げられる。それを近藤に…
「危ない危ない」
剣が斧を受け止めていた。
「いやー、さすがだよバジリスクくん。わしもガキ大将の血が唸ってきた」
カランッ。
近藤が剣を捨てた。
「素手でやろう」
「マジかよ…。」
「近藤さんガキだねー」
「ったく、あれで良いのかよ」
「…………。」
「…………。」
沖田、土方、斎藤、山南の会話である。
あれから二時間以上戦っている。
フェニックス、クラーケン、ペガサス、サンガーとの約束は覚えているのだろうか?
あと数時間で五人は集合しなくてはならない。
しかも、バジリスクは飛べないのだから移動速度が遅い。
「くっそ〜、中々やられねぇな…。」
「ハッハッハ、そう簡単にはやられんよ、バジリスクくん」
間に合う確率は刻々と減っていく。
「土方さん、バジリスクくん仲間と会うとか言ってたよね?」
「ああ、確か今日の夜だった」
「間に合うのか?」
「…………。」
土方が一声かけた。
「バジリスク!テメエ仲間との集合はいつだ!?」
「あ゛」
バジリスク、ようやく気付いたようだ。
「近藤さん、早いとこ終わらせな!」
「仕方ないな、すまんがバジリスクくん、終わらせてもらうよ」
近藤の拳がバジリスクの腹に入った。
「ぐっ…!」
現在、六人は天上界を歩いている。
言うまでもなく、バジリスク、近藤勇、土方歳三、沖田総司、山南敬助、斎藤一だ。
「なぁ、近藤。最後の技なんだったんだ?」
「ただのパンチだよ。気絶はさせないが戦意を喪失させる」
「近藤さんだけの技だよ。バジリスクくんには真似できない」
「…………。」
最後に、近藤がバジリスクに耳打ちした。
「わし、剣舞は総司より弱いんじゃよ。それを力で補っているようなもんだ」
「…嘘つけ」
バジリスクは二百年を振り返る。
「わし、持ち技のパワーアップと岩石の奴以外何かしたかなぁ…。いや、剣舞を少し学んだか…。」




