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異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱ☆たま
異世界の夏

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第84話 おもちゃ作り

ウェーノ村のドワーフ工房からは、今日も朝から威勢のいい金属音と、むさ苦しい男たちの笑い声が響いていた。


それもそのはずで、アトレイア王国の最高峰の技術者たちが集う王立工房の頂点に立ち、王国随一の腕を持つ頑固なドワーフの鍛冶師であるガルドが、ウェーノ村に遊びに来ていたのだ。


彼を出迎えたのは、ソーヤの創造に魅せられて村に移住し、勝手に工房を建てて鍛冶師を営んでいるドワーフのダグルス親方である。

二人はすっかり意気投合し、熱く語り合っていた。


「ダグルスよ、この村の獣人族やエルフのガキどもは、いつも元気に走り回っておるな!」


「おうよ! だがあいつら、木の枝を振り回して危なっかしい遊びをしておる。ここは一つ、俺たちが『安全で楽しいおもちゃ』を作ってやろうじゃねえか!」


そんな職人たちの熱い会話に、たまたま工房を通りかかったソーヤが加わった。


「えっ! おもちゃ作り? 面白そう! 俺も手伝うよ。」


これが、取り返しのつかない事態への始まりだった。


最初は「安全なおもちゃの剣」や「ただの木馬」を作る予定だった。

しかし、ダグルスとガルドの熱意に触れたことで、ソーヤの創造力が爆発してしまったのだ。


「うむ……おもちゃの剣とはいえ、折れやすくては困る。素材はミスリルと……いや、いっそオリハルコンの合金でいくか?」


「いやいや、ガルド殿。それだと重くなりすぎる。ソーヤ、お前のスキルで重量だけを軽くすることはできるか?」


「もちろん! ついでに、絶対に怪我をしないように概念も付与しておくよ。……よし、刃の部分に『絶対に怪我をしないが、直撃すると10メートル吹き飛ぶ安全ノックバック機能』を付与してみたよ!絶対ケガしないように何かにぶつかりそうになったら、自動でバリアが発動するよ!」


「おおっ! これなら怪我をせずにド派手なチャンバラごっこができるな!さすがソーヤだ!」


三人の職人たちのこだわりは、もはや「子供用のおもちゃ」という枠を遥かに超え、職人のこだわりとすいを集めた作品づくりへと暴走を始めていた。

そこに、監視塔から状況を見ていたオートマト族のノクスが、いつの間にか工房に現れた。


「……報告。おもちゃの製作活動を検知……。自動化技術……および自立思考AIの提供が……可能。」


勝手に参加を表明したロストテクノロジーの人工生命体ノクスの加入により、事態はさらに加速度的に悪化していく。


数時間後。


「やっと完成したぞぉぉぉ!」


工房の前に、獣人族やエルフの子供たちを集めてお披露目されたのは、ただの木馬などではなかった。

そこにあったのは、丸みを帯びた可愛らしいフォルムでありながら、どこか重厚な金属の光沢を放つ巨大なクマ型の乗り物だった。

ノクスが無機質な声で解説する。


「名称……『親切で、究極な、素晴らしい、自動機械(Kindly Ultimate Marvelous Automata)』。……通称、KUMAさん……。完全自律駆動により……搭乗者の安全を第一に考えた走行が可能……。」


「わあぁぁぁっ!クマさんだー!!」


「乗りたい〜!」


「私も〜!」


「俺も〜!」


運動神経が抜群な獣人族の子供たちや、エルフの子供たちは目を輝かせて大喜びだ。

さっそく子供たちがKUMAさんの背中に乗り込むと、ノクスが起動させる。


「ピーガガガ……システム、起動。目標、子供たちの笑顔。……フルスロットルモード、展開……。」


キュィィィィーーーンッ!!


KUMAさんの目が赤く光ったかと思うと、その足元から凄まじい推進力のジェットが噴射された。子供たちを乗せたKUMAさんは、予想を遥かに超える超スピードで村中を爆走し始めたのだ。


「わーーーっ!はやーい!!」


「最っ高ーーー!!」


「楽っしいーー!!!」


子供たちの歓声に混じって、なぜか「ひゃっほぉぉぉ!」という聞き覚えのある声が聞こえる。よく見ると、こっそりユーヤも子供たちに混じってKUMAさんにしがみつき、満面の笑みで風を切っていた。

弟の行動にため息を付いたその時、KUMAさんの進行方向を見たソーヤの顔から一瞬で血の気が引いた。


「おいおい!あっちの方向は……母さんの果樹園じゃないか!?」


普段はふんわりとニコニコしているアインだが、怒らせると一番怖いウェーノ家の裏ボス的存在である。そのアインが手塩にかけて育てている果樹園に向かって、ものすごいスピードで突進するKUMAさん。もしあれをなぎ倒せば、ウェーノ家が、もしかするとこの村が崩壊しかねない。


「や、やばいっ!! 止まれKUMAさん!!」


絶体絶命かと思われたその瞬間――


「……《タイム・ストップ》!」


ピタッ!

トーヤの魔法のおかげで、アインの果樹園の柵まで残り数センチのところで、KUMAさんと子供たちの時間が完全に凍りついたように停止した。


少し離れた場所から歩いてきたトーヤは、頭を抱えながら深いため息をついた。


「……お前たち、子ども用のおもちゃに国家防衛レベルの異常な技術を詰め込むな!村が崩壊する!」


あまりにも正論すぎるトーヤの説教に、ダグルス、ガルド、そしてソーヤの職人トリオは、バツが悪そうに頭を掻いた。


「いや、つい男のロマンが……。」


職人トリオはそう言って、ただ苦笑いするしかなかった。


KUMAさんは今後一切の使用が禁止となり、クロの守護像の隣に設置されることになり、代わりに、安全な滑り台やジャングルジムが村に設置されることになった。


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