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ほのぼの異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱ☆たま


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第6話 上野家、冒険者ギルドに登録する!

ウェーノ家のリビングで、トーヤは腕を組んで考え込んでいた。

「……やっぱり、正式な身分証がないのは不便だな。」

最近は街での顔見知りも増え、リベルタスでトーヤたちの顔を知らないものはほとんどいないし、買い物にも困らなくなってきた。

しかし、不便なこともある。身分証がないため、行商人との取り引きができないのである。最近は、畑の作物が順調に育ちすぎて、家族だけでは食べきれない量が収穫できるようになっていた。余っている作物を売りに出せればと考えていたのだが、作物を売るためには、身分証が必要で、

冒険者証はお持ちですか?

と、必ず聞かれるのである。どうやらこの世界の身分証は、冒険者証のようである。

「冒険者かぁ……。」

トーヤの独り言に、ソファに転がりながら、漫画を読んでいたユーヤが目を輝かせて答えた。

「冒険者!?討伐とか行くの?魔物バッサバッサ?」

「やらない。」

トーヤが即答で返す。

「そもそも、危ないことをするために登録するわけじゃない。」

「身分を証明するのためだ。」

「じゃあ、登録だけして、のんびり依頼を選べばいいのね。」

にこにこと微笑むアインの肩で、クロが「キュイ。」と小さく鳴いた。

「討伐はともかく、収穫やお手伝いのような依頼なら受けてもいいかもな。」

「とりあえず、ギルドに行って、相談してみよう。」

こうして、ウェーノ家は冒険者ギルドへ向かうことになったのである。



冒険者ギルドは、今日も賑やかだった。剣と鎧のぶつかる音、冒険者たちの喧騒、酒の匂い。歴戦の猛者たちが集まる場所に、完全に場違いな一家が現れた。

「……家族連れ?」

「子どもがいるぞ?」

「え、あれって本物のドラゴン?」

周りがざわついているのも気にせず、受付に近づいていくウェーノ一家。受付の女性に声をかけると、女性が訝しげに答えた。

「えーと……本日は登録でしょうか?」

「はい。家族全員でお願いします。」

ざわっ、と空気が揺れた。

「えっと、お子様もでしょうか?」

[はい。4名分お願いします。もしかして、子供は登録できなかったりします?」

トーヤが困っていると、

「い、いえ。できないことはないのですが、あまりいらっしゃらないもので、つい…。」

「登録自体は可能なので、能力測定を行います。順番にこちらの測定水晶に手をかざしていただけますか?」

受付職員に言われるままに、最初にトーヤが水晶に手をかざす。

すると、水晶がまばゆい光を放ち、空気が震えた。測定結果が水晶の上にホログラムのように表示された。

【魔法適正:炎:SS 水:SS 風:SS 土:SS 光:SS 闇:SS 時空:SS】

「……あ、あのぅ~。」

受付職員が震えた声で確認する。

「これ……王宮魔術師級です……。」

「そうなんですか?もしかして、登録できないですか?」

「いえ。そういうことではなく、測定結果が異常でして…。」

「そうなんですね。まぁ、冒険者証がもらえるのであれば、なんでもいいです。」

「で、では、登録手続きを進めさせていただきますね。」

受付が狼狽していることは気にもとめず、本人は登録してもらえることに安堵している。


次に、アインが水晶に手をかざすと、触れた瞬間に文字が表示され、そしてすぐに消えた。

「……?」

「……???」

しばらくして、浮かび上がったのは、

【竜の加護】

【魔獣の加護(多数)】

受付職員が驚きを隠せず、

「え?」

「……テイマー、の方でしょうか?」

「加護、多すぎませんか?」

という職員の問いに、

「牛と羊とニワトリと、クロちゃんくらいだけど……?」

「たまに、小鳥たちとのお話するから、あの子たちも入っているのかしら?」

とアインが答える。そのアインの言葉を受けて、肩の上でクロが誇らしげにエッヘンと胸を張っていた。


ソーヤの番では、技術職員やらドワーフが集まってきて、ソーヤを取り囲んでいた。

「創作適性SSSって……。」

「こんなの見たことないぞ……。」

「兄ちゃん、うちの工房で働かないか?」

本人よりも周りの大人たちの方が大騒ぎしている。

「いろんな物作ったり、壊れた道具とかを直したりしてるだけなんだけど…。」

と、当の本人は、大したことでもないと首をかしげていた。


最後にユーヤの結果だが、

【ユニークスキル:ゲーマー】

「……ゲーマー?」

「えーと……ゲーム?で遊ぶ、のですか?」

「うん。遊ぶ。」

「あと、ゲームから召喚できるよ。」

とあっけらかんと答えるユーヤに、受付職員は頭を抱えていた。


受付職員では判断ができないとのことで、ギルドの最高責任者であるギルドマスターが現れた。

「……結論から言います。」

「皆さんを、通常の冒険者として登録するのは……危険すぎます。」

「えっ!それじゃあ、冒険者証はもらえないんですか?」

「それは困ります。そんな大したことはないと思いますし…。」

「大ありです!」

「こんな規格外の能力で、討伐依頼やダンジョン攻略されると、他の冒険者の仕事がなくなります!」

「そもそも、SSの魔法なんて一瞬でこの街が壊滅する威力なんですよ!」

「竜の加護なんてのも前代未聞ですし…。」

「でも、登録できないと冒険者証を発行してみらえないのでは…。」

「それは安心してください。その代わりと言っては何ですが、【特別冒険者枠・非戦闘専門】として登録させていただきます。」

「討伐義務なし。依頼は生活支援・修理・護衛などとなりますが、いかがですか?」

「「「それ、理想です!」」」

ユーヤ以外の家族が声をそろえて、答えた。


こうして、無事に冒険者登録を終えたウェーノ家は、さっそく掲示板に貼ってある依頼を物色する。それぞれが、

『掲示板の修理』や『倉庫の整理』、『水汲み場の改善』など、討伐以外の依頼もたくさんあった。

「……平和だね。」

「いい依頼だな。」

「うん、これでいい。」

「僕はモンスター討伐してみたいな…。」

と、それぞれの感想を口にしている。依頼は改めて受けることにして、ギルドを出ると、街にはすでに夕日が差し込んでいた。

「今日の晩ごはん、何にする?」

「畑の野菜たっぷりシチューかな。」

そんな会話をしながら、

ウェーノ家の“戦わない冒険者生活”が、静かに始まった。


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