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異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱ☆たま
新たな家族

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第47話 本当の能力

ウェーノ村に突如として現れた巨大モフモフ生物――その名は「モフ」。

“寂しさを食べる”という不思議な生態を持つこの生き物は、村の癒しマスコットとしてすっかり定着していた。

そして、最初に村に現れたときより、そのサイズが小さくなり、今では人間の大人の腰の高さほどの大きさになっていた。


この日、村の住人たちは、モフが小さくなった理由とその能力が単に「寂しさを食べる」だけではないという、驚くべき真実を知ることになる……。



朝露が輝く静かな畑で、アインが日課の植物のお世話をしていると――


「……あら?」

アインは不思議そうに小首をかしげた。

昨日まで元気がなく、葉がしおれかけていたはずの希少な苗が、ふわりと淡い光を帯びて、ピンと元気を取り戻していたのだ。


「昨日まであんなにしおれていたのに……?」


そこへやってきたリルが、苗の周囲の空気にそっと触れ、目を瞬かせた。


「……これ、モフの気配がする……。」


ミラも静かに頷く。


「……モフが通った場所……全部の植物が、元気になってる……。」


アインは両手を合わせてパァッと顔を輝かせた。


「まぁ〜、モフちゃんは植物も癒やしてあげられるのね〜。」


そこへトーヤがやってきて、土と魔力の状態を冷静に分析して息を呑んだ。


「いや、これはただの『癒やし』のレベルじゃない。植物自体の根本的な……“生命力の増幅”だ。」


ソーヤが驚きの声を上げる。


「つまり、モフはただ歩くだけで、周囲の植物を今まで以上に元気にしちゃうってこと……?」


ユーヤがすかさずツッコミを入れた。


「それって完全にゲームのチートキャラじゃん!」



時を同じくして、村の広場では獣人族の子どもたちが何やら集まって騒いでいた。


「ねぇ見て! 森のウサギさんがすっごく元気になってる!」


「昨日、足をケガして動けなかったはずなのに、もうすっかり治ってるよ!」


その様子を不思議そうに見つめていたクロが、首をかしげる。


「なんでだろう?」


隣でハクも真似をして、可愛らしく首を傾げた。


「キュルル?」


よく見ると、元気になったウサギのすぐ横で、モフがぽてんっと丸くなって日向ぼっこをしていた。

リルがそっとウサギに手を当て、その魔力の流れを読む。


「……モフの近くにいると、動物の“心”が深く落ち着くみたい……。」


ミラもそれに続く。


「……心が落ち着くことで、本来持っている自然治癒力が極限まで引き上げられるの……。」


その話を聞いたアインは、愛おしそうにモフを撫でた。


「まぁ〜、なんて優しくて素敵な子なの〜。」



その不思議な現象の理由を、村に滞在しているエーテル族がふわりと漂いながら説明してくれた。


「この子は……“調和の核”なのです。」


「調和の核……?」


聞き慣れない言葉にトーヤが問い返すと、エーテル族は透明な声で静かに答えた。


「世界の“乱れ”を吸収し、代わりに“調和”を放つ存在。寂しさも、その乱れの一部に過ぎません。」


「モフの本質は――“心の乱れ”を直接食べることなのです。」


それを聞いたソーヤとユーヤが顔を見合わせる。


「心の乱れ……?」


「じゃあ、寂しさだけじゃなくて、怒りとか悲しみみたいな感情も……?」


「ええ。モフはそうした“負の感情”を吸収し、周囲に圧倒的な“安らぎ”を広げるのです。」


エーテル族の回答に、アインは深く納得して微笑んだ。


「まぁ〜、だからモフちゃんの近くにいると、みんなあんなに癒やされるのね〜。」


さらにエーテル族は言葉を続ける。


「そして、モフは吸収した負の感情を、純粋な『生命力』に変換して、大地や生き物たちに分け与えるのです。そして、そのときに負の感情を吸収して膨らんだ体が縮むです。」


ソーヤとユーヤは、あまりのハイスペックぶりに驚愕した。


「負の感情が消えて、おまけに生命力まで増えるなんて……。」


「いいことだらけで、非の打ち所がないじゃない!」


アインとトーヤは、モフの柔らかな毛並みを撫でながら褒めたたえた。


「モフちゃん、本当にすごいわ〜。」


「もはや、モフはこの村の“守り神”みたいな存在だな。」



みんながモフの凄さに感心しきっていた、その時――

ドワーフの工房の方角から、地響きのような怒号が響き渡った。


「おい! 誰だ! 俺の特注ハンマーを勝手に使ったのは!」


「知らねぇよ! お前がどこかに置き忘れたんだろ!」


「はぁ!? なんだとコラ!」


血の気を持て余したドワーフたちの、激しい怒りの波動が村に広がりかける。

その瞬間――


もふっ。

どこからともなく、モフが工房のど真ん中に転がり込んだ。

ふわぁぁぁぁ……。

モフの身体から淡く温かい光が広がると、ドワーフたちの燃え上がっていた怒りが、まるで冷水をかけられたようにスッと消え去った。


「……まぁ、ハンマーくらい、別にいいか。」


「ああ。怒るのも疲れたし、みんなで酒でも飲むか。」


一瞬で和解し、肩を組んで宴会を始めるドワーフたち。

その鮮やかすぎる光景を遠くから見ていたウェーノ一家は、


「「「「モフ、最強じゃん!」」」」


と、自分たちの規格外ぶりを完全に棚に上げて、モフ最強説を確信するのであった。



その夜。

村の中央広場で、星空の下で休んでいたモフが、突然ぽわぁっと淡く光り始めた。


「もふ……。」


その異変にリルが気づく。


「……モフが……村全体の“乱れ”を吸い上げてる……。」


ミラもその光景に驚きながら呟く。


「……今日一日で村のみんなに溜まった、疲れやストレスを……全部……。」


「まぁ〜、なんて優しい子……。」


アインは我が子を見守るように、モフの光を優しく見つめた。

温かい光が波紋のように村全体に広がり――

村の住民たちは、まるで極上の温泉に浸かった後のように、心の底からリラックスした穏やかな表情に変わっていった。

クロは縁側でとろけるような顔をしている。


「なんだか……すごく癒やされる〜。」


ハクもクロの頭の上で目を細めている。


「キュルル〜。」


ユーヤは大きなあくびをして目をこすった。


「ふわぁ……なんか……すっごく眠くなってきた……。」


ソーヤも心地よい疲労感に包まれている。


「これは……本当にすごいな……。」


トーヤは静かに夜空を見上げた。


「やっぱりモフは……この村の“精神的な守護者”だな。」


そして、モフは――


「もふ……。」


その場で、すやぁ……と安心しきったように深い眠りについた。

アインがそっと毛布をかける。


「ふふ、寝ちゃったわ〜。」


エーテル族が優しく寄り添う。


「今日は村のために、たくさん働いてくれましたからね。」


リルとミラも、モフの頭をそっと撫でた。


「……ありがとう、モフ。」


「……ゆっくり休んでね。」


周囲の家々からは、


「モフ〜〜〜〜!」


「かわいい〜〜〜!」


「俺たちの癒やしの神だ!」


と、住民たちのモフを讃える寝言(?)が聞こえてくる。


こうして――

ウェーノ村は今日も、モフの力によって究極の平和と癒やしに満ちて、静かな夜を越えていくのだった。


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