第43話 竜王国・空中都市ツアー
交流イベント第三弾は、竜王国の本拠地へのお招きであった。
空に浮かぶ巨大な島々。その中心にそそり立つのが、竜王国の空中都市アル=ヴァルハである。
本来なら他種族の立ち入りは固く禁じられている神聖な場所だが、今回は特別中の特別。
竜王国とウェーノ村の交流イベントの目玉として、クロとハクが空中都市ツアーの案内役を務めることになったのだ。
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「よし、じゃあ行くぞ。――≪ワープゲート≫!」
トーヤが《ウィザード》の空間魔法で巨大な光のゲートを作り出すと、観光客たちは「おおおっ!」と歓声を上げながら次々と吸い込まれていった。
門を抜けた瞬間――
彼らの視界いっぱいに広がったのは、どこまでも続く青空、眼下に広がる分厚い雲海、そして陽光を反射して神々しく輝く白銀の都市だった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 高い! 高すぎるぅぅ!」
閉所や地中を好むドワーフたちは、到着した直後に眼下の景色を見て、全員が膝から崩れ落ちて泣き叫んだ。
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「こっちだよー! みんな、はぐれないでついてきてー!」
クロ(竜型)が立派に先導役を務め、ハクが子供たちの前を軽やかに飛び回って道案内をする。
しかし、各種族はそれぞれの本能の赴くままにフリーダムに行動し始めた。
マーメル族
「空中でも、水と同じように泳げるはずだ!」
そう言って、眼下のふかふかの雲に向かってダイブした瞬間、当然のように雲をすり抜けて、「ぎゃあああああ!」と真っ逆さまに落下していった。
トーヤが慌てて展開した《エア・バリア》がなければ、確実に地面まで真っ逆さまだっただろう。
獣人族
「ひゃっほー! すっげー広ーい! 全力で走れるぞ!」
テンションが上がりすぎて、広場をトップスピードで全力疾走。
しかし、ここは高高度の空中都市。酸素が薄いため、数分後には全員が「息が……苦しい……。」とその場でバタバタと酸欠で倒れ伏した。
エルフ族
「なんて清らかな風……マナが満ちているわ……!」
彼らだけは環境に適応し、風の精霊に乗って優雅に飛び回り、竜人族の兵士たちと空中散歩を心から楽しんでいた。
アインは
「あら〜、鳥さんたち、こんにちは〜。」
空中都市に生息する珍しい神鳥たちと《ネイチャー・リンク》で会話し始め、あっという間に大人気に。
気づけばアインの肩や頭、腕にまで鳥がびっしりと止まり、さながら鳥の女神のような状態になっていた。
トーヤ
「……お前ら、頼むから大人しくしててくれ……!」
暴走する全種族(落下する人魚や酸欠の獣人など)を守るため、広域の安全結界や酸素供給魔法を張り続けて、一人だけ滝のように汗を流している。
魔力の消費自体はないものの、あちこちで起きるトラブルに精神と神経をすり減らされ、完全に疲労困憊だ。
途中から、鳥まみれのアインに「あなた、お疲れ様〜。」と肩をトントンと叩かれながら、虚ろな目で励まされていた。
「この景色は……最高だ……!」
「トーヤ殿、ここに我が王家の別荘を建てたいぞ!」
「やめてください、陛下……! 空中都市に勝手に建築しないで……!」
レオニス国王の無茶振りに、トーヤの胃痛がさらに加速していく。
クロとハクも「えっ、別荘建てるの!?」と固まってしまうほどのカオスっぷりだった。
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そんな大人たちの騒ぎをよそに、ソーヤとユーヤはクロの背中に乗り、ハクと並んで大空を滑空していた。
ニ匹は息ぴったりで、真っ白な雲の間を縫うように飛び回る。
「すごい……! 空中都市を上から見ると、こんなに綺麗なんだ!」
「クロ、ハク、案内してくれてありがとう!」
風を切って笑う子どもたちの無邪気な笑顔に、警備に当たっていた竜王国の強面な兵士たちも、思わず顔を綻ばせて目を細めていた。
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ツアーの最後。
空中都市の壮大な中央広場で、竜王国のアルグとウェーノ村の代表としてトーヤが固い握手を交わした。
「本日をもって、竜王国アル=ヴァルハとウェーノ村は、正式に永久的な友好関係を結ぶ!」
そのアルグの重厚な宣言は、瞬く間に使者や魔法通信を通じて大陸各地へ広まり、
「あの孤高の竜王国が、ただの村と国交を結んだ」というニュースは、世界中の国家を震撼させることになる。
歴史的な瞬間の中心で、クロとハクは、誇らしげに小さな胸を張っていた。




