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ほのぼの異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱたま


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第4話 上野家、街に行く!

「あははは~。楽しい~。」

「早すぎる~。止めて~。」

翌日、十夜は今度は子供たちの叫び声で目を覚ました。

(今度はいったい何なんだ?)

ベッドから起き上がり、外に出てみると、元の大きさに戻ったクロが背中に子供たちを乗せて、空を飛び回っていた。

ただ、先ほどの声を聞く限り、遊也は楽しんでいるが、創也は怖がっているようだ。ちゃんと鞍のようなシートを作って落ちないようにしているようなので、落ちる心配は無さそうだった。

危険はないと判断した十夜は、朝食を食べるために家に帰って行った。



朝食を終えた十夜が家族を集めて、話し始めた。

「今までは、家の周辺だけだったが、クロに乗れば今以上に広い範囲で散策できそうだから、一度周辺を散策してみようと思っているんだ。」

「ただ、どんな危険があるか分からないから、まずは俺だけで行こうと思っている。」

「夕方には戻るから、くれぐれもバリアの外には出ないようにしてくれ。」

そう言って、身支度を整えるために、席を立つと、

「ずるい!僕たちも行きたい!」

「そうだよ!俺たちも連れてってよ!」

と子供たちが、口々に騒ぎ始めた。

「私も一度クロちゃんに乗ってみたいわぁ~。」

と言って、どうやら愛も付いてくるつもりらしい。

「いやいや。どんな危険があるかわからないし、家にいた方が…。」

という十夜の言葉を遮り、

「「絶対に一緒に行く!」」

「一緒に行くわ!」

と譲らない三人の圧に押されて、しぶしぶ全員で行くことにした十夜であった。

愛が家族全員のお弁当を準備して、子供たちも自分たちの荷物をリュックに押し込めり姿を見ていると、さながらピクニック気分である。

その様子を見ながら、

(はぁ~。どんな危険があるかもしれないのに…。)

(まぁ、いざとなれば、魔法で何とかなるか…。)

と、あれこれ考えながら、クロの座席の準備を進めていると、準備が整ったのか、愛と子供たちが家から出てきた。

「じゃあ、出発するか。クロ、頼んだぞ。」

「キュアァ。」

みんなで背中に備え付けた座席に座り込み、念のため、空気抵抗を抑えるためのバリアを張る。

「じゃあ、出発だ!」

と十夜が言うと、

「キュイィー。」

と言って、クロが大きく羽ばたいた。



「気持ちいいわねぇ~。」

「サイコー!」

「このスピードなら何とかなるかな…。」

と、三者三様の感想を述べている。

山を越え、草原を抜けて、また山を越えたところで、丘の上の方に城壁が見え始めた。

「もしかしたら、街があるかもしれないな。」

「このままクロに乗って行くと、大騒ぎになるかもしれないから、少し離れた場所に降りて、歩いて行こうか。」

「クロ、もう少ししたら、降りてくれるかい?」

「キュアァ。」

城壁から少し離れた場所に降り立ち、クロが肩乗りモードに変形したのを確認して、みんなで城壁に向かって、街道を歩いていく。

20分ほど歩くと、城壁の間にある門構えが姿を現したので、街の人たちと言葉が通じるように、みんなにトランスレートの魔法をかけておく。

門構えの両脇に衛兵が立っていて、その奥に受付と思われる場所があった。受付には、長い金髪に尖った耳を持つ、典型的なエルフ族と思われる女性がいたので、話しかける。

「家族で旅をしているのですが、街の中に入れてもらうことはできますでしょうか?」

「ようこそ、リベルタスへ」

「こちらの水晶に手をかざしていただけますか。敵意がある者が街に入らないよう検閲をしております。」

「ご協力をお願いいたします。」

とにっこりと笑う、エルフのお姉さん。

促されるままに、家族が順番に水晶に手をかざしていき、愛が手をかざした瞬間に、エルフのお姉さんの顔が曇った。

「……あの、お母様。“竜の加護”とすごい数の“魔獣の加護”を感じますけど……テイマーでいらっしゃいますか?」

「ん〜、えっと……牛やニワトリは魔獣じゃないし…。そんなにたくさんはテイムしてないけど…。」

「“竜の加護”は、クロちゃんかな?」

と、肩に乗っていたクロに話しかける。

「キュイ!」

と返事をした、クロを見て、エルフのお姉さんの顔が凍り付いた。

「ド、ドラゴン!?。もしかして、テイムされてるのですか?」

「はい。クロちゃんっていうんです。かわいいでしょ?」

「キュア。」

「ど、どうぞ。街へお入りください。」

魂が抜けたようなエルフのお姉さんを横目に、上野家はリベルタスの街に入っていった。



街の中は、いわゆる中世ヨーロッパのような様式で、石畳にレンガでできた家が立ち並んでいた。街の中は、人間だけではなく、獣人族にエルフ族、ドワーフ族など、多種多様な人種でにぎわっていた。

「こういう光景をみると、改めて、異世界というのを実感させられるな。」

「さて、いろんなお店もあるようだし、さっそく街を見て回るか。」

「物々交換なのか、お金が必要なのかも分からないから、まずはみんなで情報収集をしよう。」

「「「はーい。」」」

「キュイィ。」

十夜の発言を受けて、みんながウキウキして返事をする。

街の中を一通り周って分かったのは、このリベルタスという街には、宿屋、道具屋、武器屋などのRPGゲームによく出てくるようなお店があり、そのほかにも果物や野菜のようなものや、肉や魚を売っているお店などもあった。酒場や鍛冶場などもあり、昼間っから酒をあびるように飲んでいる酔っ払いドワーフもいた。

いずれのお店でも支払いには、ダルという通貨が必要なようで、今後街で買い物するためには、ダルを稼ぐ必要があることが分かった。

また、異世界要素として欠かせない冒険者ギルドもあり、ギルドの中は剣士や戦士、魔法使いなどの多くの冒険者で賑わっていた。

(ダルを稼ぐためにも、何か仕事をしなければ…。魔法が使えるなら冒険者になれるだろうか?)

(そういえば、ゲームには、文字通りお金のなる木があるので、遊也に召喚してもらうか?)

またもや、十夜が一人考え込んでいると、

「うちの火炉が壊れちまった!このままじゃ、武具が作れねぇ!!」

という大声が聞こえてきた。

声がした方に向かうと、人だかりの中に、黒いヒゲを蓄えたドワーフのおじさんが店先で怒鳴っていた。雑踏の中から、「またかよ……。」、「今回は深刻らしいぞ。」とつぶやく声が聞こえる。

それを聞いていた創也が、ドワーフのおじさんに話しかける。

「素材があれば、火炉なら作れるかも。火炉を作るための素材はありますか?」

「なに⁉ 素材ならあるが、本当に作れるのか、坊主⁉」

「まぁ……やってみるよ。」

創也は壊れた火炉を観察すると、すぐに必要な材料を指差した。

「この鉄片と、あの石炭と、そっちの粘土……使ってもいい?」

「お、おう…。」

「では、スキル発動!」

ボォンッ‼という音とともに、一瞬で新品の高性能火炉が完成した。

「……お前、天才か⁉ いや、神か⁉」

「と、とにかく、これで今日の仕事ができるぜ!」

「俺様の名前は、ダグルス。この街じゃあ、ちったぁ名の知れた鍛冶師だ。」

「武器でも、防具でも必要な物があれば、いつでも言ってくれ。」

「今日の礼に最優先で、最高の品を作ってやるからよ♪」

「ありがとう!また、遊びに来るね。」

と言って、鍛冶場を後にした。



鍛冶場から街の中心に向かっていると、今度は路地裏から声が聞こえてきた。

「たすけて~!」

駆け寄ると、三人の獣人族の子ども(猫耳)が木箱に挟まっていた。

「ちょっ、なんでそんな所に⁉」

「遊んでたら落ちた。」

「出られない!」

「たすけて〜!」

遊也が子供たちを助けるために、スキルを発動する。

「召喚!リフティング・アーム!」

すると、巨大なクレーンゲーム風のマジックハンドが出現して、木箱をそっと持ち上げる。

猫耳の子どもたちが、自分たちの現状そっちのけで、目を輝かせながら、

「「「すごーい!何これ。魔法?」」」

「うーん。ゲーム…魔法、かな?」

助けてあげた子どもたちに囲まれ、質問攻めにあっている。挙句の果てには、おんぶや抱っこをせがまれ、完全に子守り状態である。

「もう。そろそろ終わりね。お兄ちゃんは他に用事があるから…。」

「えぇ~。もっと一緒に遊ぼうよぅ~。」

「もっといっぱい魔法見せてよ~。」

結局、解放されたのは、それから一時間後であった。



ようやく、獣人族の子供たちから解放された上野家は、街の中心の広場まで来ていた。広場には、大きな噴水があり、その周りにたくさんのカップルが座っていた。待ち合わせ場所になっているのか、恋人を待っているような素振りの人もいる。残念なのは立派な噴水なのに、水が出ていないことである。

「せっかく立派な噴水があるのに、水がないなんて…。」

「雨が降らずに、水不足にでもなっているんだろうか?」

十夜が独り言を言っていると、エルフの女性が話しかけてきた。

「そうなんです。近頃まったく雨が降らなくて、生活用水もそろそろ底をつきそうで…。」

「そうだったのですね。雨が降れば、解決するのですか?」

「ええ。でも、こればっかりはお天気次第なので、しょうがないですね。」

エルフの女性が言い終えるよりも先に、

「レインフォール!」

と十夜が魔法を発動させる。

すると、空はみるみる暗くなり、噴水の周りだけに勢いよく雨が降り始めた。

「この雨は、三日間ぐらい降るようにしているので、これで水不足は解消されますよ。」

とエルフの女性に話しかけると、なぜか女性の目がハートになっており、

「あら♡あなた魔法使いだったのね♡しかもとびきり優秀な♡」

「私と遊んでいかない♡」

と十夜の肩に手を伸ばそうとしたときに、背筋が凍りつくようなゾッとした視線を感じて、エルフの女性が振り返った。

「あら。あなたはいったい何をしようとしているのかしら?」

先ほどまで、広場のアクセサリーショップでウィンドウショッピングを楽しんでいた愛が戻って来て、エルフの女性のすぐ後ろに立っていた。

「し、失礼しましたー。」

愛に会釈をして、エルフの女性は一目散に逃げて行った。

「あなたもいったい何をしていたのかしら?」

「い、いや。水不足で困っていたから、手助けできないかなぁって思っただけで。」

「子供たちも戻ってきたことだし、続きは今夜じっくり話しましょうね♡」

「はい…。」

いつの間にか広場のおもちゃ屋さんから帰ってきていた子供たちは、きょとんとした顔をして、二人の顔を見比べていた。



リベルタスの街を一通り堪能した上野家は、日が暮れる前に街を出ることにした。ダルを持っていない以上、買い物もできないので、これ以上いても意味がない。受付のエルフのお姉さんの顔が一瞬引きつったのを横目に、門をくぐって外に出る。

愛がクロに、

「クロちゃん、お願い♡」

というと、

「キュイィ。」

と言いながら、クロが元の大きさに戻った。

それを見て、腰を抜かす衛兵二人ともはや感情をなくしてしまい、無になってしました受付エルフに別れを告げて、上野家は帰っていくのであった。


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