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ほのぼの異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱ☆たま


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12/16

番外編 リルの記録——はじめての来訪者たち

私はずっと、この場所にひとりだった。

“隙間の庭”。

どの世界にも属さない、どこにも存在しない場所。静かで、そして変わらない場所。

それが当たり前だった。

……少なくとも、あの日までは。



最初に違和感を感じたのは、数日前。”庭の広がり”が、止まらなくなったときだった。

(……おかしい。)

本来、この場所は均衡を保つはずなのに、少しずつ“外側に押し出される”ように広がっている。原因はすぐに分かった。

”庭の向こう側”、つまり“現実の世界”が影響している。そこから流れ込んでくる魔力の質が、異常だった。

(こんな濃度、ありえない……。)

しかも、ただ強いだけじゃない。秩序があるようで、ない。自然のようで、人工的。あまりにも矛盾している。

(何これ……少し外の世界を覗いてみよう。)

そう思った瞬間——目の前の空間が、揺れた。

「……え?」

あまりの出来事に理解が追い付かない。本来、外からこの場所に入ることはできない。なのに、“向こう側”から、誰かが入ってきた。

現れたのは、四人。男性が一人、女性が一人、そして子供が二人。

(……なんで普通に入って来れてるの!?)

(ありえない。本当にありえない。)

ここは“誰も入れない場所”。そういう前提で成り立っているのに。

「こんにちは。」

声をかけたのは、半分無意識だった。本当は様子を見るつもりだったのに…。

振り返った彼らを見て、まず思ったのは、

(なんだか、温度がある。)

この場所では感じない“生の気配”。強くて、やわらかくて、うるさい。……でも、嫌じゃない。ただ、存在感だけが異常なオーラを放っていた。その存在感に圧倒され、思わず問いかけた。

「あなたたち…何かした?」

返ってきた答えが、

『畑を作った』

『魔法を使った』

『召喚した』

『創作した』

『自動化した』

『種族が集まった』

(うん、"庭”の異変の原因はこれだ……。)

完全に確信した。この人たちが外の世界を押し広げている。それが”庭”にも影響している。でも、不思議なことに、怖くなかった。普通なら、もっと警戒する。だって彼らは異常だから。

「この“隙間の庭”を守るのを、手伝ってくれない?」

気づいたら、そう言っていた。本当は、こんなお願いをするつもりはなかったのに…。

でも——、

(この人たちなら、大丈夫かもしれない。)

そう思ってしまったから。そして、その確信はすぐに証明された。

ふいに、黒い“ズレた存在”が現れた。普通なら、逃げるか、抵抗して崩壊する。でも、

「フリーズ。」

それだけ。たったそれだけで、”ズレた存在”が跡形もなく消え去った。

(は……?)

理解が追いつかない。強いとか、すごいとか、そういう話じゃない。完全に“世界のルール”に干渉してる。圧倒的な力を持ちつつも、彼らは、壊そうとしない。奪おうとしない。ただ、楽しそうにしているだけ。

「景色すごいね〜」

「ここ住めるかな?」

この家族は、危険じゃない。むしろ、

(変な人たち)

そう思って、少し笑ってしまった。そして、

(また来てね。)

それは、この庭で初めての感情だった。


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