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ほのぼの異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱ☆たま


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第10話 ウェーノ家、“隙間の庭”の掃除をする⁉

初めて“隙間の庭”を訪れてから数日が経っていた。朝食を食べようとしていたユーヤがおかしなことに気付いた。

「母さん、このパンなんか冷たくない?」

「え?焼きたてだよ?」

アインが首をかしげながらパンを触る。

「ほんとだね。不思議ね〜。さっき焼いたばかりなのに…。」

そのやり取りを見ていたソーヤが腕を組んで考え込んでいる。

「これ、“庭”の影響じゃないかな。」

「そうだよな。やっぱり無関係ないよな…。」

ソーヤの意見に、トーヤが頷いた。リルに話を聞くために、“隙間の庭”に行くかどうか悩んでいると、目の前の空間が歪みゲートがゆるっと開いた。

「おはよう。」

リルがひょこっと顔を出した。

「「びっくりした!」」

「お、ちょうどいいところに。」

子供たちが驚いているのも気にもとめず、渡りに船とばかりに、トーヤがリルに声をかける。

実は、先日、トーヤが世界のバランスを保つのに協力すると宣言したことにより、リルと共同で“隙間の庭”を管理する者と認識されたようで、リルとトーヤの間では、ゲートを自由に開けれるようになっていた。



リルがリビングの椅子に座るのを待って、アインがリルに紅茶を差し出す。改めて、トーヤがリルに話しかけた。

「うちの家で少し奇妙なことが起こってるんだ。もしかして、”庭”の影響を受けてる?」

それを聞いたリルが、あー…という顔をした。

「やっぱり…。」

「え?やっぱり?」

リルの返事を聞いて、全員きょとんとして聞き返す。

「最近ね、“庭”がちょっと汚れてきてるの。」

「……汚れてきてる?」

「うん。」

「もともと“庭”は、いろんな世界の“余りもの”が流れ込むことがあるの。」

「残った魔力とか、途中で形にならなかったものとか。」

「あと、世界から忘れられたものも流れ込むことがあるわ。」

それを聞いて、ユーヤが目を輝かせる。

「え、それってレア素材なんじゃ…。」

「いや。ゴミだから。」

ユーヤの発言は、リルに即却下された。トーヤがため息をつきながら、話を続ける。

「つまり、”庭”が汚れているのが原因で、こっちの世界にも影響してるってことか?」

「そう。」

リルが頷く。

「それで……お願いがあるんだけど。」

ちょっと言いにくそうにするリルだが、意を決して口を開く。

「あの…掃除を…手伝ってくれない?」

それを聞いて、全員沈黙。

「……異世界でも掃除かぁ。」

「なんか、めんどくさそう…。」

ソーヤ、ユーヤが気乗りしない様子だが、アインとクロは、賛成の様子。

「でも、リルちゃんが困ってるんだから、みんなで手伝いましょう?」

「キュイィィ!」

「世界のバランスを取るのに協力するっていったし、朝食を終えたら、みんなで“庭”に行こう。」

「ありがとう!」

最後に、トーヤが子供たちをなだめて、みんなで“隙間の庭”の掃除を行うことになった。そのまま、リルも一緒に朝食を食べていくことになり、みんなで遅めの朝食会となった。



朝食を終えて、“隙間の庭”に入った瞬間、目に入ってきた光景に、思わずユーヤが声を上げた。

「うわっ!」

そこには――、空中に浮かぶ謎の物体たち。『途中まで作られた剣』、『ぐにゃぐにゃのリンゴ』、『半透明のぬいぐるみ』、『スライムのような物体』などなど。

「あー……これはひどい。」

浮遊しているものを眺めながら、ソーヤが苦笑する。

リルは申し訳なさそうに、つぶやいた。

「普段は自然に消えるんだけど…最近増えすぎて…。」

ウェーノ家の異世界改造の影響もあると思うと、少し気の毒になったトーヤ。

「よし、一気にやるか。」

「この中に必要な物はないよな?」

「ええ。私にはゴミでしかないです。」

リルに確認を取ってから、一歩前へ出る。

「フリーズ。」

空中を漂っていた物体がピタッと止まる。

「それぞれスキルを発動させるんだ。」

それを聞いたソーヤは、スキルを発動させた。

「クリエイトで再構築するね。」

ぐにゃぐにゃだった物体が、ちゃんとした形になって消えていく。

ユーヤはみんなに背を向けて、何やら怪しげな動きをしている。

「これは…ゲームに使えそう…。」

「持ち帰るな!」

トーヤにすぐにばれて、また叱られていた。

アインはというと――、

「大丈夫よ〜。」

浮遊している物体に、ふわっと手をかざす。

「みんな、元の場所に帰れる?」

すると、物体たちがふわふわと光に変わり、どこかへ消えていく。その光景を見ていたリルが目を丸くしていた。

「……それ。」

「普通、そんなことできないよ?」

リルの問いかけに、アインは首をかしげるだけだった。

「そう?お話しできそうだったから、お話しして元の場所に帰ってもらっただけだよ。」

今回は、クロも参戦して、

「キュアァ!」

と一声鳴くと、空間のゴミが一気に浄化されて、跡形もなく消えた。

目の前で繰り広げられる光景を前に、リルは茫然としていた。

「本当は、一つ掃除するだけでも大変なのに…。」

「……何なの…この人たち。」

リルがあきれている内に、あらかた掃除が完了して、”隙間の庭”は見違えるように綺麗になった。

「これでどうだ?」

トーヤが聞くと、リルはぐるっと周りを見る。

「……うん。」

「すごくいい状態。」

そして、満面の笑みで、

「ありがとう。助かったよ。」

とみんなに感謝の気持ちを伝えた。



掃除も終えたので、そろそろ帰り支度を始めようとしていた矢先、目の前の空間から、ぽとっと何かが落ちてきた。それは、手のひらサイズの小さな光のかけらだった。

「これは…?」

トーヤが問いかけると、リルが答えた。

「“安定した欠片”。」

「この”庭”が浄化されたときにだけできるの。」

ユーヤが手に取ると、柔らかくて、そしてほんのり温かかった。

「これってなにか意味があるの?」

ユーヤの問いに、リルが少し考えて、答えた。

「うーん……。」

「私もあまり見たことがないから分からないけど、その人の望んだ”理想”の形になるって聞いたことがある。」

「じゃあ、その人が欲しいものに変形するってこと?」

「だとしたら、すごいお宝じゃない?」

リルの言葉に、ユーヤの目がランランと輝いていた。

「もしよかったら、掃除のお礼に持って帰って。」

「それじゃあ、お言葉に甘えて、持って帰るか。」

リルの了承も得られたので、そのまま持って帰ることにした。



帰宅後、さっそくユーヤが欠片を取り出し、願いを込めながら、握りしめた。すると、欠片が光り、辺り一面が光りに包まれた――次の瞬間、ぽんっという音がした。

「……え?」

欠片から出来上がったのは、どこにでもありそうな普通のクッションだった。

「いやなんで⁉」

それを見ていたソーヤが大爆笑している。

「ユーヤの“理想”ってクッションだったんだ!」

「あら~。でも、触り心地はすごくいいわよ。このクッション。」

落ち込んでいるユーヤをアインがフォローしている。

「キュイ!」

そんなやりとりを横目に、クロはクッションが気に入ったのか、体を預けてくつろぎ始めた。まるで最初から自分のものだと言わんばかりに、羽づくろいも始めていた。

今日もウェーノ家の平和な一日が終わろうとしていた。


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