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ほのぼの異世界ふぁみりぃ ~のんびり異世界生活~  作者: すぱたま


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第9話 ウェーノ家、もう一つの“世界”を見つける!?

ある日の午後。家族みんなで畑の様子を見ているときに、

「なぁ、改めて思うけど、この畑…広がりすぎじゃないか?」

トーヤが遠くまで続く畑を見ながら呟いた。

「うん。でも便利だからいいよね〜。」

アインはいつも通りマイペースである。

「いや、物理的におかしくなってる気がするんだよな…。」

トーヤの疑問に、ソーヤも頷く。

「昨日測った広さより、ちょっと増えてる気がするんだけど…。」

「もしかして、畑が…成長してる?」

「そんなことってある?」

ユーヤがぽかんと呟いた、その時、

――ぐにゃり、と畑の一角の空気が、ゆがんだ。

「……今、見た?」

「見た。」

「見た〜!」

全員が同時に反応する。次の瞬間、ぽつん、とそこに“何もないのにゲートのようなもの”が現れた。

「……なにこれ。」

「入口みたいだな。」

「危ないから俺だけ――。」

と言いかけたトーヤを遮って、

「「行く!」」

とソーヤとユーヤが身を乗り出した。いつもの流れである。それを見ていたアインもにっこりして、

「みんな一緒がいいわよね♪」

「……はいはい。」

観念してみんなで行くことにしたトーヤである。



現れたゲートの中に入っていくと、そこはまったく違う風景だった。空は淡い紫色。風はゆっくり流れ、地面は柔らかく光っている。太陽はないものの、地面が光っているからか、ある程度遠くまで見渡せた。

「……異世界の中の異世界…?」

その光景を見て、ソーヤが呟く。

「ゲームの隠しマップみたい!」

テンションが上がるユーヤ。

全員が周りをきょろきょろしていると、ふいに、

「こんにちは。」

と背後から静かな声が響いた。

振り返ると、そこには少女が立っていた。白い髪に、透き通るような体。どこか“存在が薄い”気がする。

「あなたたち…ここに入れるんだ。」

「ここ、って?」

トーヤが警戒しながら少女に問いかける。

「ここは“隙間の庭”。」

「世界と世界のあいだにある場所です。」

「本当は誰も来れないはずなのだけれど…。」

少女は少し寂しそうに言った。

「でも最近、なぜかこの場所が広がってて…。」

「誰かの影響を受けてるみたい。」

全員、無言で視線をそらす。犯人にだいたい見当がつくからである。

(絶対うちだな…。)

トーヤの心の声が漏れ聞こえたのか、

「あなたたち、何かした?」

と少女に問われ、

「えーと、畑作って。」

「魔法使って。」

「召喚して。」

「創作して。」

「自動化して。」

「いろんな種族が集まり始めた。」

「……これ、だめなやつじゃない?」

と説明しながらも、ソーヤが冷静に自分にツッコんでいた。

それを見ていた少女が少し笑った。

「ふふ、面白いね。」

「でもそのせいで、この場所が“現実に近づいてる”。」

「このままだと――。」

一瞬空気が静まる。

「いろんな世界が混ざるかもしれない。」

「それって危ないのか?」

思わず、トーヤが聞き返す。

「……場合による。」

「でも、あなたたちは大丈夫そう。」

「なんでだ?」

少女はまっすぐ見つめる。

「だって、ここに来ても」

「全然壊してないから。」

確かに。普通なら脱出を試みたり、貴重な資源を採取しようと、興味本位でこの世界に干渉しようとするところだが、この一家は、

「景色すごいね〜。」

「ここに住めるのかなぁ?」

「この地面どうして光ってるんだろう?」

くらいしか考えていない。そんなウェーノ家を見ていて、安心したのか、

「お願いがあるの。」

少女が一歩近づいた。

「この“隙間の庭”を守るのを、手伝ってくれない?」

「守る?」

「うん。変なものが入り込まないように。」

そのとき、ざわっと空間が揺れ、遠くに黒い影が現れた。少女がおびえながらその影を指をさす。

「……あれが、“ズレた存在”。」

「世界のバランスが崩れたときに出てくるの。」

「そして、世界の秩序を乱していく…。このままでは、この世界もあなたの世界もただでは済まないわ。」

それを聞いて、トーヤがすぐさま一歩前に出る。

「フリーズ。」

影がぴたりと止まり、そして、すーっと消えていった。

「ここに現れたときから思ってたけど、やっぱりすごいね、あなたたち。」

少女が驚く。

「これぐらいは、大したことじゃない。」

「それよりも”ズレた存在“が現れないようにするには、どうしたらいいんだ?」

「世界のバランスを乱さないこと。“隙間の庭”が“そのままであり続ける”ことよ。」

「そういうことなら…。」

少女の言葉を聞いて、トーヤが提案する。

「世界のバランスを保つのに協力するよ。」

「まぁ、俺たちが原因かもしれないけど…。」

「これ以上俺たちの世界も無理に広げないようにする。」

「畑もほどほどに…。」

それを聞いていた子供たちが横から、

「えー!」

「まだやりたいことがあるのに!」

「完全自動化もまだ途中だし…。」

と文句を言い始めたので、

「まったくダメとは言ってない。」

「世界のバランスを保てるように、控えめにするだけだ。」

トーヤに諭されて、子供たちもしぶしぶ納得する。

「……ほんとに大丈夫なの?」

その様子を見ていた少女が不安そうにしている。

「大丈夫…、だと思う。」

はにかみながらトーヤが言った。

「この家族、暴走しても――」

「ちゃんと“戻ってくる”から。」

少女はしばらく見つめて、そして小さく頷いた。

「……それじゃあ、お願いします。」

その後、“隙間の庭”と世界のバランスについて、あれこれ話し合った。少女の名前は、『リル』といい、永劫の時間ずっと一人でこの庭を守ってきたらしい。

「ずっと一人きりは寂しいよ…。」

ボソッとユーヤが漏らしていた。

「遊びに来るぐらいなら、世界のバランスは崩れないよね?」

「それぐらいなら大丈夫だと思う…。」

「じゃあ、お兄ちゃんと一緒に遊びに来るね♪」

「ありがとう。」

ユーヤのその申し出に、リルの表情が明るくなったのは、気のせいではないだろう。庭に来てから数時間は経っており、子供たちがお腹をすかせているようなので、そろそろ家に帰ることにした。リルに別れの挨拶をして、庭を後にする。

(また来てね。)

リルがみんなの背中に微笑みかけていた。



外に出ると、いつもの畑の光景が広がっていた。体感では、数時間経っているはずなのだが、まるでまったく時間がたってないように、まだ昼過ぎのようだった。

「……夢じゃないよな。」

「うん、たぶん“裏フィールド”だよ。」

「これ絶対重要エリアだよ!」

子供たちがそれぞれの感想を口にしていた。決して夢ではなかったようだ。

(ちゃんと世界のバランスを取らないとな。)

一人決意を固めるトーヤであった。


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