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第84話 斉藤秀一対高橋雪夜

 高柳龍二郎の打席が終わった。


 次は――


 高橋雪夜。 


 静かに、バットを手に取る。


 ゆっくりと、

 バッターボックスに立つ。


 斉藤秀一は、

 その姿を見つめていた。


(さて……)


(本気の僕を――)


(打てるかな、雪夜君)


 第1球。 


 スプリット。


 低めに落ちる。


 雪夜は、動かなかった。


 ボール。


 その軌道を、

 最後まで見届けていた。


(速い……)


(そして、落ちる)


 第2球。


 外角高めのストレート。


 雪夜は、反応した。


 カキンッ!


 だが、打球は、

 三塁側へ切れていく。


 ファウル。 


 ワンストライク、ワンボール。


(やはり……)


(速くて、重い)


(当てるので精一杯だ)


 第3球。


 高速スライダー。


 外角低め。


 雪夜は、食らいついた。


 カンッ!


 またしても、ファウル。


 ツーストライク、ワンボール。


 斉藤の表情は、変わらない。


 第4球。 


 振りかぶる。


 腕が振られる。


 高めのストレート。


 雪夜は、振った。


 カン―― 


 打球は、真上へ舞い上がった。


 秋月小十郎が、

 ゆっくりと落下点に入る。


 パシッ。


「アウト」


 勝負は、終わった。


 雪夜は、その場に立ち尽くした。


(……これが)


(本気の斉藤さん)


 バットを下ろし、

 マウンドへ向かった。


「斉藤さん」


 まっすぐ、目を見て言った。


「すごい球でした」


「当てるので精一杯でしたよ」


 斉藤は、静かに笑った。


「いや……」


「緩急を使ったんだけどね」


 そして、続けた。


「それでも――」


「君から三振を取れなかった」


 その言葉には、

 敬意が込められていた。


 雪夜は、わずかに驚いた。


 そして、頷いた。


 こうして――


 一打席勝負は終わった。


 本気の斉藤秀一。


 その前に、高柳龍二郎も、

 高橋雪夜も、敗れた。


 斉藤秀一、二勝。


 それが――


 絶対的な、現実だった。

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