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313/321

第313話 二回戦、一回裏

 一回裏。


 東鶴間高校の攻撃が始まった。


 一番、セカンド、高柳龍二郎。


 龍二郎は左打席に入る。


 相手投手が初球を投げた。


 外角寄りのストレート。


 龍二郎はそれを逃さなかった。


 鋭く振り抜かれた打球は、外野の間を破る。


 龍二郎は一塁を蹴り、迷わず二塁へ向かった。


 送球が返ってくる前に、二塁へ到達する。


 ツーベースヒット。


 東鶴間高校は、初回からいきなり得点圏にランナーを置いた。


 続く二番、高橋雪夜。


 雪夜は左打席に入る。


 ここで打ちにいく選択もあった。


 龍二郎が二塁にいる。


 雪夜がヒットを打てば、いきなり一点が入る可能性もある。


 だが、雪夜は迷わなかった。


 送りバント。


 確実に龍二郎を三塁へ進める。


 相手投手が投げる。


 雪夜はバットを寝かせ、三塁方向へ転がした。


 打球はゆっくりと転がる。


 サードが前へ出て捕球し、一塁へ送球。


 雪夜はアウト。


 だが、龍二郎は三塁へ進んだ。


 ワンアウト、ランナー三塁。


 ベンチで九条咲は静かに頷いていた。


 無理に大量点を狙うのではない。


 まずは一点。


 先制点を取りにいく。


 それが、今の東鶴間高校の攻撃だった。


 三番、センター、新井元気。


 元気は左打席に入る。


 ワンアウト三塁。


 内野ゴロでも、外野フライでも一点が入る可能性がある。


 相手投手も、それを分かっていた。


 だが、元気は甘い球を逃さなかった。


 ストレートをしっかりと捉える。


 打球はセンター前へ落ちた。


 三塁ランナーの龍二郎がホームへ帰る。


 東鶴間高校、先制。


 0対1。


 元気は一塁ベース上で、小さく拳を握った。


「まずは一点でやんす」


 そして、四番、ライト、天宮真十郎。


 真十郎は右打席に入る。


 相手高校は当然、警戒していた。


 四番打者。


 しかも、一回戦でも犠牲フライを打っている。


 ここは打ってくる。


 相手バッテリーはそう考えていた。


 だが、真十郎は違った。


 相手投手が投げた瞬間、真十郎はバットを構える。


 バント。


 相手内野が一瞬遅れる。


 真十郎は丁寧にボールを転がした。


 打球は一塁方向へ。


 一塁手が処理し、真十郎はアウト。


 だが、一塁ランナーの元気は二塁へ進んだ。


 ツーアウト、ランナー二塁。


 相手高校の選手たちは、少し驚いていた。


 四番でも送ってくる。


 それが、東鶴間高校だった。


 確実に一点を取れる可能性を上げる。


 強打者だから好きに打たせるのではなく、状況に応じて役割を果たす。


 それが、今の東鶴間高校の攻撃だった。


 五番、ファースト、浮田総二。


 総二は左打席に入る。


 相手投手は、ここで何とか抑えたい。


 しかし、総二はしぶとかった。


 外角の球に逆らわず、レフト前へ運ぶ。


 二塁ランナーの元気は、三塁で止まる。


 ツーアウト、ランナー一塁三塁。


 まだチャンスは続く。


 六番、サード、竹田栄司。


 栄司は右打席に入った。


 守備では、まだ不安を抱えている。


 だが、打撃には自信があった。


 相手投手がストレートを投げ込む。


 栄司はそれを狙っていた。


 強く踏み込み、バットを振り抜く。


 打球は外野へ伸びた。


 左中間を破る。


 三塁ランナーの元気がホームへ帰る。


 二点目。


 一塁ランナーの総二は三塁へ進んだ。


 栄司は二塁へ到達する。


 ツーアウト、ランナー二塁三塁。


 東鶴間高校は、初回から二点を先制した。


 七番、ピッチャー、白石広志。


 白石は左打席に入る。


 相手高校は、ここで外野を前進させた。


 ピッチャーだから、打撃力は低い。


 強い打球は飛んでこない。


 そう判断したのだろう。


 白石はそれを見ても、表情を変えなかった。


 自分の役割を果たすだけだった。


 相手投手が投げる。


 白石は振った。


 打球はセンター方向へ上がる。


 しかし、外野前進守備が効いていた。


 センターが少し下がりながら捕球する。


 センターフライ。


 スリーアウト。


 白石はアウトになった。


 くしくも、相手高校の外野前進守備が上手くいった結果となった。


 だが、東鶴間高校は初回に二点を先制した。


 0対2。


 試合の主導権は、東鶴間高校が握った。


 

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