第27話 東栄戦、四回の攻防
四回表。
東栄の先頭は、泉壮一。
天宮真十郎が構え、
高橋雪夜が静かにサインを出す。
初球――低めのフォーク。
泉は見送り、ストライク。
二球目。
内角高めのスライダー。
泉は振りにいくが、
打球はセカンドフライ。
ワンアウト。
――ようやく、一番を抑えた。
続く二番、沢口誠士郎。
ここまで、すべて送りバント。
だが。
天宮の内角ストレートに、
坂口はバットを出した。
ショートゴロ。
六条遊人が難なくさばき、ツーアウト。
東鶴間のベンチが、ざわつく。
――バントをさせない。
それだけで、相手の形は崩れる。
そして――
三番、佐藤秋一郎。
「久しぶりだねぇ、雪夜」
軽い口調。
だが、その目は鋭い。
「試合中だ。話しかけるな」
雪夜は、今度は無視しなかった。
「いいじゃないか。せっかく再会できたんだしさ」
雪夜は答えず、
天宮へサインを出す。
初球。
低めのストレート。
見逃し――ストライク。
「ふーん……彼、いい球投げるじゃない」
「……わざと見逃したな」
「分かってたでしょ? 僕が初球は振らないって」
「だから、低めにストレートだ」
二球目。
内角低めのストレート。
佐藤が振る――ファール。
ツーストライク。
三球目。
外角高めのシュート。
見逃し――ボール。
カウント、ツーストライク・ワンボール。
四球目。
内角低めのフォーク。
佐藤はうまく拾った。
打球は、二遊間へ――抜けるかに見えた。
だが。
高柳龍二郎が追いつく。
体勢は崩れている。
――投げられない。
高柳は、迷わずグラブトス。
六条遊人が受け、一塁へ送球。
だが――
セーフ。
ツーアウト一塁。
それでも。
東栄の流れは、完全には戻らない。
四番・近藤烈也。
天宮の投球。
打球は――キャッチャーフライ。
雪夜が、しっかり捕球する。
無得点。
四回裏。
七番進藤竜也、八番六条遊人、九番佐々木冬次郎。
三人で、あっさり終わる。
だが、
誰も下を向いてはいなかった。
そして、五回表。
再び――
東栄の攻撃。
だが今度は、
天宮真十郎と高橋雪夜のバッテリーが、
真正面から立ちはだかる。




