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第24話 東栄戦、二回の攻防

 二回表、東栄高校の攻撃。


 先頭の泉壮一が、再び二塁打を放つ。


 続く沢口誠士郎は、きっちり送りバント。


 ――ワンアウト三塁。


 初回と、まったく同じ形だった。


 東鶴間ベンチが、ざわつく。


 そして、

 三番――佐藤秋一郎。


 左打席に立った佐藤は、

 マウンドではなく、セカンド方向に視線を向けた。


 そこにいるのは、高橋雪夜。


(……雪夜が捕手だったら、いい勝負になったのにな)


 そんな思いが、一瞬よぎる。


 だが、現実は現実だ。


 座間が選んだのは、

 内角低めのストレート。


 ――さっき打たれたフォークじゃない。


 逃げずに、真っ向勝負。


 しかし。


 佐藤は、迷わなかった。


 鋭く踏み込み、

 完璧なタイミングで振り抜く。


 打球は、右中間へ一直線。


 伸びる。

 落ちない。


 ――ツーランホームラン。


 スタンドが、どよめいた。


 佐藤は、ダイヤモンドを一周する間、

 一度だけ、セカンドの方を見る。


 だが――

 今度は、声をかけなかった。


 言葉にしなくても、伝わるからだ。


 佐藤秋一郎は、あの頃より、さらに上に行っている。


 そして、それは――

 雪夜にも、はっきり分かっていた。


 スコアは、再び4点差。


 無情な現実が、東鶴間ナインの前に立ちはだかった。


 ――しかし、東栄の攻撃は、そこで終わらなかった。


 四番・近藤烈也。

 五番・鈴本次郎。

 六番・島田啓示。

 七番・金森公士郎。


 鋭い打球が、次々と外野へ運ばれる。


 気づけば、さらに2点を失い、

 スコアは 8対2。


 なおも、ランナー一塁二塁。


 その瞬間だった。


「ピッチャー、交代」


 九条咲の声が、グラウンドに響く。


 マウンドに上がったのは、

 佐々木冬次郎。


 東鶴間ベンチが、わずかに引き締まった。


 八番・小野冬誠。


 佐々木が投げ込んだのは、

 内角に食い込むスライダー。


 小野は反応し、三遊間へ打球を飛ばす。


 ――抜けたか。


 誰もがそう思った、その瞬間。


 ショート・六条遊人が、横っ飛びで捕球。


 体勢を崩しながらも、素早くセカンドへ送球。


 アウト。


 スタンドが、ざわついた。


 ツーアウト、一塁三塁。


 続く九番・山元太郎。


 佐々木は、外角低めにフォークを落とす。


 打球は弱いセカンドゴロ。


 だが――


 高橋雪夜が前に出る。


 迷いのない動き。


 捕って、踏んで、投げる。


 一塁アウト。


 ようやく、

 長かった東栄の攻撃が、終わった。


 二回裏。


 東鶴間の反撃を期待したが、

 七番進藤竜也、八番六条遊人、九番佐々木冬次郎が連続アウト。


 無得点。


 点差は、縮まらない。


 そして――


 三回表。


 再び、東栄の攻撃が始まろうとしていた。

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