第231話 城南ヶ丘対桜桜花、終盤
八回表。
花枝正臣のホームランにより、ついに試合が動いた。
城南ヶ丘学園高校が一点を先制。
だが、その後も桐原礼二を桜桜花打線は打ち崩せなかった。
桜桜花も、立塚尚文が必死に踏ん張る。
一点差のまま、試合は九回表を迎えた。
城南ヶ丘学園高校の攻撃。
打席には九番、桐原礼二。
ここまで投げ続けてきた礼二は、打席でも集中を切らさなかった。
立塚の球を弾き返し、ヒットで出塁する。
ノーアウト、一塁。
続く一番、泉田陽一郎。
泉田は迷わずセーフティバントを仕掛けた。
打球は絶妙な位置へ転がる。
桜桜花の内野陣が処理に向かうが、泉田の足が勝った。
セーフ。
ノーアウト、ランナー二塁一塁。
城南ヶ丘ベンチが一気に沸く。
そして二番、坂口拓真。
準々決勝で負傷した坂口は、それでもこの決勝の舞台に立っていた。
坂口はきっちり送りバントを決める。
ワンアウト、ランナー三塁二塁。
城南ヶ丘は、追加点の大きなチャンスを作った。
打席には三番、若田部安高。
マウンドの立塚尚文は、荒い息を吐きながら若田部を見つめた。
(これ以上は、打たせない)
ここで打たれれば、試合が決まってしまう。
それだけは避けなければならない。
立塚は残った力を振り絞った。
ストレート。
スライダー。
カーブ。
全てを使い、若田部へ向かっていく。
そして最後は、外角いっぱいの球で空振りを奪った。
「ストライク! バッターアウト!」
若田部を三振。
ツーアウト。
桜桜花は、なんとか踏みとどまった。
だが、ピンチはまだ終わらない。
四番、島田弦一郎。
左打席へ入る島田を前に、桜桜花ベンチは迷った。
満塁策を取るか。
しかし、次の五番には、八回にホームランを放った花枝正臣が控えている。
花枝と勝負するのは危険だった。
ならば、ここは島田と勝負するしかない。
立塚は島田に向かって投げ込んだ。
だが――。
島田は、その球を逃さなかった。
打球はライト前へ飛ぶ。
三塁ランナーの礼二がホームへ帰る。
城南ヶ丘、二点目。
スコアは2対0。
さらに、二塁ランナーの泉田も三塁ベースを蹴った。
ライトの後藤大和が前に出て捕球する。
そのままホームへ返球。
強い送球が返ってくる。
捕手の金村好郎がホームベース前で構えた。
泉田が滑り込む。
好郎がタッチにいく。
判定は――。
「アウト!」
三点目は防いだ。
桜桜花は、必死の守備で踏みとどまった。
しかし、城南ヶ丘に大きな追加点が入った。
九回表終了。
スコアは2対0。
桜桜花は、あと一度の攻撃で二点を追わなければならなくなった。




