第175話 四回戦、発表
四回戦へ向けて――。
東鶴間高校野球部は、連日練習に励んでいた。
去年、五回コールドで敗れた舞台。
その四回戦が、ついに目前まで迫っていた。
そして前日。
部室では、監督の九条咲が静かに口を開こうとしていた。
野球部の面々も、自然と表情が引き締まっている。
相手は、大王高校。
去年の県大会ベスト4。
間違いなく、ここまでで最強の相手だった。
咲は全員を見渡しながら言った。
「みんな、ついに四回戦になる」
静かな声だった。
だが、その言葉には強い想いが込められていた。
「去年は四回戦でコールド負けをした……」
野球部の面々は、あの日を思い出していた。
五回17失点。
何も出来ずに終わった、あの屈辱を。
だが――。
咲は続ける。
「だが、今のお前たちなら、勝てるかもしれない」
その言葉に、部室の空気が少し変わった。
「相手の大王高校監督は、外藤祐吉郎を先発で使わないと言った。そこが勝機になる……それでは、スタメンを発表する」
そして、咲は一人ずつ名前を読み上げていく。
「一番、セカンド、高柳龍二郎」
「二番、キャッチャー、高橋雪夜」
「三番、センター、新井元気」
「四番、ピッチャー、天宮真十郎」
「五番、ファースト、浮田総二」
「六番、サード、竹田栄司」
「七番、ショート、進藤竜也」
「八番、レフト、早田士郎」
「九番、ライト、六条遊人」
読み上げられた名前。
そこには、今の東鶴間の全力が詰まっていた。
エース・天宮真十郎。
そして、天宮とバッテリーを組む高橋雪夜。
東鶴間が持てる最大戦力だった。
咲は最後に、静かに言った。
「みんな……相手は手を抜いてくる」
部員たちの視線が集まる。
「だが、我々は全力で挑む」
そして――。
九条咲は、わずかに笑った。
「大王高校の監督に、後悔させてやろうじゃないか」
その言葉に、野球部の面々の目つきが変わった。
悔しさ。
怒り。
そして、絶対に勝ちたいという想い。
すべてが混ざり合い、東鶴間高校野球部の士気を高めていく。
こうして――。
四回戦、大王高校戦へ向けた作戦会議が始まろうとしていた。




