↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
174/325

第174話 四回戦の相手

 三回戦を勝利した東鶴間高校野球部は、すぐに次の戦いへ向けて練習を再開していた。


 目指すは――去年、越えられなかった四回戦。


 だが。


 その対戦相手が決まった瞬間、野球部の空気は一気に沈んでいた。


 理由は、誰の目にも明らかだった。


 次の相手。


 それは――去年の県大会ベスト4、大王高校。


 県内でも名の知れた強豪校だった。


 特に注目されていたのは、エースピッチャーの外藤祐吉郎。


 最速147キロ。


 キレのあるスライダーとフォークを武器にする本格派右腕で、今年のドラフト候補とも言われている実力者だった。


 そんな相手と、四回戦で当たる。


 東鶴間野球部の面々は、現実を受け止めきれずにいた。


「さすがに……相手が悪すぎるだろ……」


 誰かが、小さく呟く。


 部室でも、重苦しい空気が流れていた。


 監督の九条咲は、ため息混じりに言った。


「まさか……くじ運が良くないとはいえ、大王高校に当たるなんて……」


 そして、部員たちは地方新聞の記事に目を向ける。


 そこには、大王高校監督のコメントが載っていた。


『東鶴間高校……知らんな。弱小なんだから、うちは三番手投手を投げさせる。まあ、コールドにならなければいいがな』


 部室の空気が凍りつく。


 あまりにも露骨な見下しだった。


 九条咲は新聞を机に置き、静かに言った。


「……いくらうちが弱小高校でも……舐められたものだな」


 野球部の面々も、内心では同じことを思っていた。


(いくらなんでも、言い過ぎではないだろうか……)


 悔しかった。


 怒りもあった。


 だが同時に――。


 去年の自分たちなら、その言葉を否定できなかったことも理解していた。


 万年一回戦負け。


 一昨年までの東鶴間は、確かにそういうチームだった。


 それでも。


 今年は違う。


 桜桜花高校と引き分けた。


 三回戦まで勝ち上がった。


 少しずつだが、東鶴間は変わっていた。


 だからこそ――。


 去年、五回コールドで敗れた四回戦。


 その先へ進むために。


 打倒・大王高校。


 その想いを胸に、東鶴間高校野球部は再び練習の日々へと戻っていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。