↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
169/325

第169話 二回戦、その後

 二回戦を終えた東鶴間高校野球部は、再びいつもの練習の日々へ戻っていた。


 県大会を勝ち進んでいるとはいえ、浮かれている者はいない。


 三回戦は、もう目前まで迫っていた。


 そんな中――。


 グラウンド脇で休憩していた一年生投手陣、白石広志、夏目海、伯方歩夢の三人は、先日の試合について話していた。


 話題はもちろん、二回戦で完封勝利を飾った、天宮真十郎と高橋雪夜のバッテリーについてだった。


「天宮先輩と雪夜さん……すごかったです」


 歩夢が、ぽつりと呟く。


 その表情には、純粋な憧れが浮かんでいた。


「確かに、完封はすごかったな」


 海も腕を組みながら頷く。


「本当に、すごいとしか言えないよ」


 広志も苦笑しながら言った。


 七回コールド。


 しかも完封。


 あの試合は、東鶴間高校野球部にとって、大きな意味を持つ勝利だった。


「……私も、雪夜さんとバッテリーを組みたいなぁ……」


 歩夢が、少し羨ましそうに言う。


「僕もかな」


 海も素直に頷いた。


「僕もだよ」


 広志も笑っていた。


 三人とも、同じ気持ちだった。


 高橋雪夜のリード。


 あの安心感。


 投げてみたいと思わない投手はいない。


 歩夢は、少し考えるようにして言った。


「……次は、天宮先輩は投げられないと思うから……」


「次は誰が先発か……ってことだよな」


 海が言う。


 すると、広志は少し遠慮がちに答えた。


「多分……田中先輩だと思うよ」


「広志、言うならタダなんだから、僕も先発したい……って言えばいいのに……」


 海が笑いながら言う。


 だが、広志は首を横に振った。


「確かに先発はしたいけど……田中先輩と天宮先輩を差し置いて、そんなこと言えないよ」


 その言葉には、先輩たちへの敬意が込められていた。


 すると、歩夢がのんびりとした口調で言った。


「私は〜……雪夜さんとバッテリーを組めるなら、どこでもいいですよ」


「本当に、歩夢は雪夜さんが好きなんだな」


 海が苦笑する。


 歩夢は悪びれることなく頷いた。


「……私は、雪夜さんとバッテリーを組みたいから、東鶴間に来ました」


「僕も、雪夜さんがいるから東鶴間に入学したんだ」


 広志も続ける。


「僕は、姉に誘われたのと……雪夜さんがいるから……」


 海も照れくさそうに言った。


 それを聞いた広志が、思わず吹き出す。


「なんだ……みんな同じか」


 三人は顔を見合わせ、笑っていた。


 そんな一年生投手陣の様子を、少し離れた場所で見ていた中山太郎が、ぽつりと呟く。


「なあ、田中……みんな、高橋のこと好きなんだな」


 隣にいた田中三郎は、肩をすくめながら笑った。


「安心しろ。俺は中山のこと、好きだぜ」


「気持ち悪いこと言うな」


 中山は呆れたように返したが、その表情はどこか柔らかかった。


 笑い声が響くグラウンド。


 そんな日々を重ねながら――。


 東鶴間高校野球部は、次なる戦いへ向かっていく。


 三回戦は、もうすぐそこまで迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。