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第155話 新たな新入部員

 そんなこんなで――。


 東鶴間高校野球部に、新たなマネージャーが入部する日がやって来た。


 放課後。


 野球部の面々は部室へ集まっていた。


 そして、監督の九条咲が前に立つ。


「それでは、今日から新しくマネージャーとして入部してくれる二人です。みんな、しっかり挨拶をしなさい」


 その言葉の後、部室の扉が開いた。


 入ってきたのは、小山唯と高柳冬美だった。


 部員たちの視線が、一斉に二人へ向く。


 まず、唯が一歩前へ出た。


「初めまして、小山唯です。これからよろしくお願いします」


 続いて、冬美も少し緊張した様子で頭を下げる。


「高柳冬美です。兄さん……じゃなくて、高柳龍二郎先輩に誘われて来ました。よろしくお願いします」


 その瞬間――。


 部室の空気が、少しだけざわついた。


(可愛い子が入ってきた……!)


 そんな心の声が聞こえてきそうなほど、男子部員たちのテンションが上がっていた。


 特に一年生たちは、露骨に顔が明るくなっている。


 だが――。


 そんな空気を察したのか、一人の男が立ち上がった。


 新井元気である。


 元気は咳払いをしてから、真剣な顔で言った。


「オイラから一言……唯ちゃんは、オイラの彼女なので、手を出さないでほしいでやんす」


 部室が一瞬静まり返る。


 そして、野球部の面々は渋々頷いた。


「……はい」


「分かったよ……」


 元気は満足そうに腕を組んだ。


 だが――。


 次の瞬間。


 さらに重たい空気が部室へ流れた。


 高柳龍二郎が、静かに立ち上がったのである。


「俺からも一言」


 低い声。


 部員たちは思わず背筋を伸ばした。


「俺の妹に手を出したら……どうなるか、分かっていますよね?」


 ニコリとも笑っていない。


 だが、その威圧感は十分すぎた。


 部員たちは一斉に頷く。


「は、はいっ!」


「絶対に手を出しません!」


「命が惜しいので!」


 龍二郎は静かに座り直した。


 その様子を見ていた冬美は、少しだけ顔を赤くしていた。


「兄さん……恥ずかしいよ……」


 一方、唯はそんな光景を見て小さく笑っている。


 咲も思わず苦笑していた。


「……まあ、とにかく仲良くやってくれ」


 こうして――。


 東鶴間高校野球部は、マネージャーが三人になった。


 選手十四人。


 マネージャー三人。


 合計十七人。


 かつて、人数不足に悩んでいた弱小野球部は、少しずつ賑やかになっていく。


 東鶴間高校野球部は、また一歩、前へ進んでいた。

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