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第134 桜桜花戦、五回表

 五回表――

 東鶴間高校の攻撃。


 九番・田中三郎。


 だが――


 あっさりと打ち取られる。


 ワンアウト。


 そして――


 一番・高柳龍二郎。


 右打席。


 その時だった。


 桜桜花ベンチ――

 監督・九条神楽が、静かにサインを出す。


 敬遠。


 だが。


 マウンドの金村歳郎は、一瞬ためらった。


(……また、逃げるのか)


 前の打席でも出された敬遠のサイン。


 あの時は、無視した。


 そして――打たれた。


 今回も、無視するか。


 迷いが生まれる。


 だが――


 捕手・好郎が立ち上がる。


 はっきりと、敬遠を指示した。


(駄目だよ兄さん……一度目はサインミスで言い訳が通用したけど、二度目は通らないよ)


 その視線は、強かった。


 歳郎は、歯を食いしばる。


 そして――


 四球。


 高柳龍二郎、出塁。


 二番・六条遊人。


 左打席。


 仕切り直しの初球――


 その瞬間だった。


 一塁ランナー・高柳が動く。


 盗塁。


 完全に意表を突かれた。


 好郎は慌てて送球するが――


 間に合わない。


 セーフ。


 二塁。


 流れが、再び動く。


 続く打席。


 六条は冷静だった。


 送りバント。


 成功。


 ツーアウト三塁。


 三番・新井元気。


 左打席。


 一点で同点。


 だが――


 ここで、試合が崩れた。


 初球。


 外角ストレート。


 ボール。


 二球目。


 内角高めのストレート――


 のはずだった。


 手元が狂う。


 ボールはすっぽ抜けた。


 捕手の好郎も取れない。


 バックネット方向へ。


 その瞬間――


 三塁ランナー・高柳がスタート。


 ホームイン。


 5対5。


 同点。


 思いもよらぬ形で、試合は振り出しに戻った。


 その後、新井元気は打ち取られる。


 チェンジ。


 だが――


 マウンドの歳郎は、明らかにリズムを崩していた。


 敬遠。


 盗塁。


 そして暴投。


 歯車が、狂い始めていた。

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