第121話 桜桜花戦、発表
桜桜花高校との練習試合が決まり、東鶴間高校野球部は、いつも以上に練習に打ち込んでいた。
そして――
その日、部室に全員が集められた。
監督の九条咲が、静かにスタメンを発表する。
「桜桜花戦のスタメンを発表する」
部室の空気が張り詰めた。
「一番、セカンド、高柳龍二郎」
高柳が小さく頷く。
「二番、ライト、六条遊人」
六条は表情を変えずに立っていた。
「三番、センター、新井元気」
新井は拳を軽く握った。
「四番、ファースト、浮田総二」
総二は少し驚いた顔をした。
「五番、サード、竹田栄司」
「六番、ショート、進藤竜也」
「七番、レフト、早田士郎」
「八番、キャッチャー、中山太郎」
「九番、ピッチャー、田中三郎」
九条は言った。
「以上だ」
その瞬間――
部室がざわついた。
誰もが気づいていた。
高橋雪夜の名前が、なかったことに。
九条は続けた。
「みんなも気づいたかもしれないが……雪夜には作戦参謀として、戦術を考えてもらう」
静まり返る部室。
だが、誰も反論しなかった。
全員が知っていた。
このスタメンは――
「全員が試合に出たい」という思いの結果だということを。
雪夜は静かに立っていた。
その表情に、迷いはなかった。
こうして――
桜桜花高校との練習試合が、近づいていた。
東鶴間高校野球部は、それぞれの覚悟を胸に、決戦の日を待っていた。




