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夢見る星で待っていて  作者:
第1章
13/22

13.夢見る星

朏益荒男(みかづきますらお)です、よろしく願いします!」


伊織さんと豪さんとの熊討伐隊には、なんとあのまー君が参加することに。

しかも益男じゃなくて益荒男って······。


朏奏太と小夜子のネーミングセンスは変わらなかったのね。

成長したまー君の勇姿が見れて感激。長身に切れ長な涼やかな目元、これなら宮司の装束が良く似合うわあ。

私はかなりのブラコンだった。


奔放な小夜子は不倫の末に夫と子どもを捨て家を出て行った。

小夜子の不倫癖は元々のものだったのでしょうね。疫病では死なずに、また不倫を繰り返して三度も離婚をして今は独身。


小夜子は私が幼稚園の頃までは、私を着せ替え人形みたいに自作の服で盛ることに熱中していたけれど、小学校が制服だと知った途端やる気が失せたのか、それ以来全く作らなくなってしまった。熱しやすく冷めやすい、ムラっ気の強い人なのだ。

自由人なこの人がなぜ宮司の妻になったのかが最大の謎だ。


朏奏太の再婚相手が、かつての三人目の義母一美さんだった。

あれっ?二番目の義母はどこに行ったのだろう?


何はともあれ幸せそうで何より。


日本を含め、地球の疫病の被害は小さなものになった。時を戻す前に亡くなってしまっていた人達はほぼ生きていた。

朏の祖父母も存命だった。


私のチートで効能をアップさせた月の植物の種を、時を戻す前に式神さんを通じて伊織さんに託したのだけれど、その植物が感染予防と特効薬開発に役立ったみたいだ。


式神さんは伊織さんの元へ帰ってもらった。月では色々あったから名付けることも忘れてしまっていた。

元の名前が三日月だと知って驚いたわ。


「そのままの名前が一番いいよ。またいつか、縁があったら会いましょうね。その時は攻撃魔法をもっと教えてね。伊織さんによろしく!頼み事が多くてごめんね」

「乙女様······!」


別れ際に号泣されて困ってしまった。のっぺらぼうの涙はとても綺麗だった。



美月は大月君と学生結婚をし夫婦で大学に通っている。そんな二人を同級生として傍で見ていたかったな。

如月君は農大に入学すらしていなかった。

新しいターゲットでも見つけて進路を変えたのかな。


伊織さんも許嫁の須磨子さんと結婚、豪さんも死別を免れた恋人と結婚して二児の父になっていた。豪さん似の双子の男の子は未来のマタギね。


牛豚鶏の輸入が解禁、畜産と食肉も復活して肉のカトーも潰れることなくお店は営業中。


時を戻して、全部ではなかったけれど、大切な人との死別を免れた人達が多くて良かった。


これはもう、めでたし、めでたしよね?



それを見届けた私は転生することを神様から許可された。


次はどこに生まれるのだろう。



***



「益荒男、どうかしたか?」


翌年の討伐の帰路、伊織さんが益荒男の顔を覗き込んだ。


「妹が産まれたんですよ」

「へえ、随分歳が離れてるな」

「親父が再婚したんで」


私は、再び朏家に生まれることになった。


しかも、またしても乙女という名で。


生まれ変わってもまた乙女だなんて······!


もうお父さん、二度も同じ名をつけないでよ!一美さんもお父さんを止めて欲しかったよ。


十七歳のまー君が私のお兄さんになったのだ。


「乙女ちゃんか!いい名前だね」

「ああ、可愛いな」

「俺が女の子で生まれて来ていたら、その名前だったんですよ。益荒男もだけど、うちの親のネーミングセンスときたら」

「ははは、良かったじゃないか。わかりやすくて助かるよ。なあ、豪」

「そうだな」



私は今世ではチートは持っていない。

チートは益荒男がいくつか持っている。チートな宮司なんてカッコいいわ。

チートは無いけど、前世の記憶は残っていた。



「いおりしゃん!」

「乙女ちゃん、俺がわかるんだね?」

「うん。ごうしゃんとクマたいじちた」

「そうそう、良く覚えてるね」


伊織さんが三歳になった私に式神の三日月を返しに来てくれた。


「君を守ってくれるから、可愛がってあげてね」

「しにがみしゃん!」


式神さんと言ったつもりだったのだけど、言い間違えてしまったみたい。

これでは式神さんがまた泣いてしまいそうね。


伊織さんは爆笑だったけど。


「みかぢゅき!」


式神さんはまた号泣した。三日月の涙はやっぱり綺麗だった。


「乙女ちゃん、大きくなったら、豪と一緒に色々話そうね」

「うん!」


伊織さんは、時を戻す前に私が託した色々なことを奥様の須磨子さんと共に手配してくれた。

時が戻ったことと、私の転生を夫妻で解ってくれているから、とても心強い。


式神さんもいるし、だからチートが無くても私は大丈夫。



ああ、早く大きくなりたい。


そしてまた、私は月を目指す。



──アデュ、私のアンドロイド。


どうか私を、夢見る星で待っていて。



(第1章 了)

この度もお読みくださってありがとうございます。

第1章はこれで完結です。


第2章は成長した乙女のお話です。配信は時間がかかり、お待たせしてしまうかもしれませんが、


それでもよろしければお付き合い下さいませ。

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