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夢見る星で待っていて  作者:
第1章
12/22

12.戻る月

月は緑鱗病に侵される前に戻った。


巫女に神託が降りて、アデュと王と神殿に用意していた私の水晶の記録をそれぞれが閲覧した。


私が最大限に免疫効果と抗菌作用を高めた植物を育てることで予防ができたため、月では壊滅的な感染は起きなかった。


元々体力が落ちていた者、老齢で寿命が近かった者等を除いて死者は出ず、感染後雄変も起こらずに月の民の存亡の危機は回避された。


王と王妃には三つ子の王子が産まれた。


王は月には先住の民がいることを地球からやって来た宇宙船のクルーに表明した。

その宇宙船は日本のものだった。


地球へ向けて画像付きメッセージを送り、地球の人々へも、月には月の民がいることを知らしめた。

神々しいまでの、圧倒されるような美しき王夫妻の姿は地球にインパクトを与えるには充分だった。美の圧力は偉大ね。


一時は騒然となったけれど、地球はその事実を受け入れた。


月の許可の無い渡航は認めず、ポータルの使用も全面的に禁止、ポータルはひとつを残して封鎖された。


なぜ月と地球との間にポータルがあるのか?


それは神代より存在し、各地の月絡みの神話の元になっていた。


日本ではかぐや姫以前の、古事記における木花開耶姫とその姉の磐長姫の話だ。

日本で伝わる話と月で伝えられている話は異なっている。

ニニギノミコトから親元へ返されてしまった失意の磐長姫は月に住むようになった。日本ではストーリーの結末が姫が川に身投げして果てたということになっているけれど、川は川でも天の川、月へ向かったということだそうだ。

その時より月の民と磐長姫は縁を結び、長命の月の民が産まれるようになった。


月の民は地球由来の女神の子孫でもある。


遥か昔の日本とも関係のある月だから、霊峰富士にポータルがあるらしい。



チートで高めた火星人キラーの植物は猛威を振るい、効果覿面なのは良かったのだけれど、月でも危険な毒草となってしまった。これは私がやり過ぎてしまったの。


月の神様に怒られてしまうかしら?


『許す!』

「あ、ありがとうございます」


よ···良かったあ。


そのお陰で火星人との戦争被害を最小限にできたし、侵略はしないという協定を結べたことは大きいわよね。



月周回衛星は速やかに撤去された。

地球による月面開発は、今後地球の地表で人が住みにくくなった場合は、月の民のように地球の地下に住むことを提案、検討し、その技術を月が提供することになった。


月は地球の衛星ではあっても、月は月のものなのだ。

地球が星としての寿命を迎える時は、まだまだはるか先のことだ。



アデュ·キーⅢはメンテナンス及びグレードアップされて後継型並みの寿命を得た。

最前線に送られずに済んだアデュの仲間も多く残っている。


私の月の時間を戻すという選択が間違いではなかったと、未来の月の民に感じてもらえたらいいな。



そしてその後、火星も月と同様に火星には先住民がいると表明した。

火星への開発や移住計画をどうするのか地球での協議が始まった。


私が以前未来視で感じたような、火星との戦争が回避できれば良いと願っている。

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