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お心のままに動いた結果でしょう?  作者: シエル


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15/38

閑話〜国王side

クロス商会を運営するクロス伯爵ですが、家名が混同しそうなので

クロス→ラングレーに変更しております┏○))ペコッ


ご報告遅れ、混乱させてしまい申し訳ありませんでしたorz







「王太子はどうだ?」



「再教育後は自らを見つめ直し、しっかりお務めを果たしております。……ですが、今まで免除されていた分とアルバ公爵令嬢が担っていた分の執務と公務が増え、時間的にも精神的にも余裕がないように見受けられます」




淡々と答えるのは、新たにフェリクスへ付けた補佐のダリウス・フォン・アステリア————。


フェリクスより三つ年上で、現宰相であるアステリア公爵の嫡男だ。



アステリア公爵家は私の母である亡き皇太后の生家であり、宰相は私の従兄弟でもある。



皆が羨み、欲する国王の座は思っている以上に『孤独』だ。


自分の肩には国の命運と臣民の生活がのしかかり、足を引っ張り旨味だけを狙う王族の縁戚、姻戚、そして貴族たち————。



それ故、支えてくれる者が重要なのだ。


たまに無能なくせに贅の限りを尽くす愚かな王妃の話を耳にするが、私の妻である王妃は王族とは何たるかをきちんと理解し、国母として私を支えてくれる存在だ。



————息子のフェリクスにも、そんな存在を与えてやりたかった。



だがそんな親心は、フェリクスの浅はかで愚かな行為で無に帰した————。



始祖である王弟の方針が未だ色濃く残っているのか、アルバ公爵家は長年王家に近付き過ぎず、遠過ぎずという中立派の筆頭だった。


軍事力、経済力などによるその影響力は計り知れず、アルバに目を付けられた家門は只では済まない。



それが貴族たちの共通認識だった。



そこに一石を投じたのが『ホーエン伯爵』だ。



伯爵は当時アルバ公爵夫人だったゾフィー・フォン・アイヒェンと不貞を働いた。


アルバ公爵に露見しないかというスリルに酔っていたのか、それとも無責任な契約書を交わしたことで足元を見たのか……愚か者の思考など分かるはずもないが、伯爵はアルバへ喧嘩を売ったのだ。



ゾフィーが身籠っていることを知った公爵は、すぐに相手を調べ上げた。


アルバに隠し事が出来るなどと思うこと自体、愚かでしかない。



ゾフィーと離縁すると、公爵はすぐにホーエン伯爵家へ報復をした。


伯爵は契約書を掲げ、責任の放棄を主張したが、そんな理屈がアルバへ通用するわけがない。




「それはゾフィー・フォン・アイヒェンと交わしたものだろう?我がアルバ公爵家への侮辱行為を、私がたかが紙切れ一枚で見逃すとでも思ったか?」




無表情のまま、あの凍てつくような視線を向けて淡々と言い放つと、公爵家並びに分家筋に至るまでホーエン伯爵家に連なる者たちの入領を禁じた。



アルバ公爵領は広く、中でも港を持っているのが大きい。


他国からの輸出入に広く影響があり、多くの商人たちがホーエン伯爵家との契約を打ち切った。



貴族には商人を『使ってやっている』と思っている傲慢な者がいるが、実際は逆だ————。


商人に物を売って貰えなければ困るのは、こちら側なのだ。



彼らがいなくなれば酒や化粧品などの嗜好品は元より、武器、食料といった生活必需品も手に入らなくなる。


そうなれば食うものに困り、防衛もままならず、領民の生活はもちろん己の生活も立ち行かなくなるのだ。



それを身をもって体感させられたホーエン伯爵家は、アルバ公爵家へ謝罪し、莫大な慰謝料を支払うこととなった。



見栄を張れない貴族から距離を置くのは、同じ貴族たちの危機管理の一つだ。



危うい家門に近付き、巻き添えを食うことは貴族として愚かでしかない。


それほど貴族にとって家門の名とは重いものなのだ。



今の子たちは幼かった為、知らない者も多いのだろうが親世代はこの時のことをよく覚えている。



アイヒェン侯爵家の動きも鈍かった。


心のどこかで、娘の腹の子はアルバ公爵の子だという希望が捨てきれなかったのかもしれない。



不貞相手であるホーエン伯爵の子を身籠った娘を、除籍せず領地へすぐに押し込んだ。



そこでアマーリエ・フォン・アイヒェンは生まれた。



生まれた子に罪はない上、孫であり侯爵家の血を引く娘だ。


侯爵は高位貴族としての教育を孫へ与えた。



娘のゾフィーのせいで瑕疵が付いたが、アイヒェン侯爵家の者と認知し、高位貴族への嫁入りは無理でも貴族令嬢として嫁げるようにと考えたのだろう。



だが娘のゾフィーはアマーリエへ甘い言葉を吹き込んだ。


アルバ公爵家の異父兄姉のことを教え、自らが元夫人だったことで社交界でいかに影響力を持っていたのかを語り聞かせた————。



それはアマーリエからしてみれば、とても綺羅びやかな世界に思えただろう。


年頃の娘だ。王都へ憧れを持っても仕方がない。



そんなアマーリエは十三歳の時、アイヒェン侯爵家の王都邸(タウンハウス)へ移り住むことになった。



ルクスフォード王国の貴族子女は等しく貴族学園へ入学しなければならないこととなっている。



それは未成年の内から学園という狭い箱庭で社交や貴族としての責任感を身に付けさせると同時に、親兄弟から虐待を受けていたり、せっかく能力があっても伸ばせない環境にある者たちへの機会を与える意味合いもあった。


遠方の者の為に寮も完備され、資金難の者の為には奨学金制度もある。



以前は平民も入学が出来たが、貴族と平民の壁が厚かったことと、高位貴族を誑かそうとする者が何人かいた為、現在は別に設けた教育機関へ意欲のある者は入学している。



貴族学園は十四歳から二年間は『中等部』へ、十六歳から成人までの三年間は『高等部』へ通わなければならない。


アマーリエは貴族籍があり中等部へ入学しなければならなかった為、王都に慣れさせる意味合いもあって一年早く、初めて領地を出て王都へとやって来た。



その際、全く関わりのなかった祖父母や伯父家族の中に一人で入るのは心細いだろうということで、ゾフィーも同行して来た。



ゾフィーは私の王命で王家主催の社交への出席を禁じていたが、王家に拒否されている者を自らの主催する茶会や夜会へ招待する者はいない。


侯爵もゾフィーはあくまでアマーリエのフォローの為に同行することを許し、侯爵邸から出ることを禁じた。



夢見て訪れた王都は、アマーリエにとって美しいものではなかっただろう。



ゾフィーの醜聞は十年以上前のことだが、皆が覚えている。


それこそ平民でさえも————。



そんな醜聞の証であるアマーリエへの視線が、決して優しいものではないことは想像に難くない。


だがそれでも中等部に在学していた頃は、最初こそ遠巻きにされていたが、全く誰とも関わらなかったわけではなかった。



大人しく言動に気を付けていれば侯爵の考えた通り、男爵家や子爵家あたりとの縁談があったかもしれない……。



しかし中等部最後の時期に何を思ったか、アルバ公爵令嬢の前へ現れるようになり、『姉』と呼び始めた。


アルバ公爵令嬢は初めて目にした『異父妹』に、さぞかし戸惑ったことだろう。



だがゾフィー(実母)がアルバ公爵家へ与えた醜聞の証を『妹』と認めるわけにはいかない。


筆頭公爵家の貴族令嬢として、家門の名を守ることは当然のことだ。




————そのことをきちんと理解していなかったフェリクスが愚かだった。



安易にアマーリエの境遇に同情し、軽率に庇護下に置き、挙句今回の婚約破棄だ————。




「……アマーリエの妃教育の進捗はどうだ?」


「思わしくございません。同じ母の娘だから、高位貴族として教育を受けたから——どう考えていたのかは存じませんが、今までとは違う環境や作法に拒否感をお持ちのように見受けられます」




アマーリエの状況をエーレン女官長が淡々と報告する。


「知識などの勉強面は物覚えが良いとは思いますが、規則や感情統制など王族として必須とされる教養部分が弱いように感じます」と、彼女は感情を挟まず事実のみを語った。



知識ばかりがあっても、それを活かす能力がなければ話にならない。




「……シルヴァンを帰国させ、王太子教育を受けさせる」




私の言葉にダリウスとエーレン女官長が目を細めた。



第二王子であるシルヴァンは現在他国へ留学している。


結婚式に合わせて一度帰国する予定ではあるが、念の為に早めに戻さねばならない。




————国政に空白を作ることは出来ないのだ。




二人は頭を下げ、私の命令に恭順の意を示した。







誤字報告ありがとうございます┏○ペコッ

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アイヒェン侯爵家を擁護するとしたらと考えた場合、一つは侯爵家の面子、なまじ高位であるがゆえにアルバ公爵家に阿った対応をした場合寄り子たちの失望されてしまうことからある程度強硬な態度を見せざるをえなかっ…
侯爵家は何故自分の家が同じ事されたらと考えないのか。 当主の妻が不貞して托卵だよ。自分なら許すの? しかも自分に無関係の庶子は侯爵の血が1滴も入ってないのに母親が元侯爵夫人だったから私も侯爵令嬢だった…
江戸時代みたいに重ねて4つに斬っといた方が後々の禍根にならなかったのは間違いないね。公爵家の嫁でありながら、不貞だけならともかく不貞相手の子を孕んでで托卵しようとした女なんて、法的にも社会通念的にも完…
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