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異世界転生しました!・・・で、私は誰?  作者: 高坂ナツキ
ざまあ編+エピローグ

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84 解雇(リサ編)

「リサ・トランメルさん。貴女を解雇します」


「はあっ!?」


 あたしの幸せを邪魔する養女に警告をした数日後、唐突に屋敷の召使いに呼び出されたと思ったら、いきなりこんなことを言われた。

 解雇って何よ! あたしがいなかったら、物語が進まないじゃない!


「どうして? という顔をしていますが、仕事をサボっていたのはバレていますよ」


「そ……それは」


「迷子になったなどという、つまらない嘘はいりませんよ。貴女は任された区画を勝手に出て、あろうことかお嬢様と接触しましたね」


「え……ええと」


「言い訳を探す必要はありません。仕事ができないなら教えればいい、仕事をサボるなら教育すればいい、しかし雇い主に牙をむく人間を受け入れるほどグラース公爵家は甘くないのですよ」


「ま……待ってください! 何か誤解が……」


「言い訳は不要といいました。こちらはきちんと調査をしたうえで解雇を通告しています。貴女が何を言っても決定は覆りません」


「ご主人様に! ジェイソン様と直接お話しさせてください!」


「その必要はありません。調査内容は旦那様もすべて目を通しています。そもそも、旦那様の名前を許可なく呼ぶなど失礼な! その娘を馬車に押し込んでください」


 召使いの分際で生意気な! あたしが公爵夫人になったら、あんたなんて八つ裂きにしてやるんだからねっ!

 そう思っていたら、傍に控えていたガタイの良い男たちによって、あたしは馬車の中に押し込まれてしまった。

 慌てて扉を開けようとするも鍵でもかかっているように扉は開かない……あれ? 馬車の扉ってこんなに頑丈なんだっけ?


「いくら押そうとも開きませんよ。この馬車は貴族専用ですから、魔導具で内側からは開かないようになっているのです」


 開かないからといってガンガンと扉を叩いていると、さっきの召使いが呆れたような口調で話しかけてきた。

 何よソレ! 人をこんなところに閉じ込めて! 絶対に訴えてやるんだからね!

 馬車の中を見回すも、普通ならある御者側の窓も、貴族の馬車ならついている他の場所の窓も存在しない、本当にただただ人を閉じ込める馬車であることがわかるだけだった。


「では、手筈通りに。こちらも旦那様の指示通りに動きます」


「はっ!」


 馬車の外から声が聞こえると、ゆっくりとだが確実に馬車が動き出した。

 待ってよ! あたしはどこに連れていかれるわけ!? あたしがいなかったらヒーローは! ジェイソンはどうなるのよ!

 その後も馬車は止まることがなく、半日以上も経ってからようやく止まった。最初は暴れていたけれど、途中から馬車がスピードを上げてたことから、あたしは馬車の隅で震えることしかできなかった。


「外に出ろ」


 馬車がようやく止まったと思ったら、急に扉が開いてガタイのいい男が馬車内に入ってきて、あたしに話しかけてきた。

 半日以上も馬車に揺られ、飲食もできずトイレにも行かせてもらえなかったあたしは完全に力が抜けていて、男に引きずられるままに馬車の祖へと連れ出される。

 目の前に飛び込んできた景色は……あたしが育った町? え? なんで?


「本来なら馬車代を請求するところだが、今回不問にするとのことだ。ま、これが退職金代わりってことだ。変な考えを起こすなよ」


 あたしを連れだした男は、そう捨て台詞を吐くと、御者台に移って馬車を巧みに操縦して去って行ってしまった。

 え? どういうこと? 退職金代わり? ……え? 本当にあたしはクビになったの?

 町の入り口で呆然としていたあたしだったけれど、いつまでもそうしてはいられないから、呆然としたまま生家へと帰ってみた。


「はいはい、誰だい、夜に……って、リサじゃないか?!」


 家の扉を叩くと、あたしの母さんが扉を開けた。


「どうしたんだい!? あんたは公爵家のお屋敷に就職したんだろう?」


「……わからない」


「わからないって……まあ、いいわ。とにかく、中に入りな」


 母さんに言われるままに家の中に入り、身支度や食事を終え、自室へと入ると訳も分からず涙がポロポロとこぼれてきた。

 なんで? どうして? あたしはこの世界の主人公でしょ? それがどうして、こんな目に合うの?

 考えても考えても思考がループしてしまう。この世界には悪役令嬢はいないはずだから、あたしのことを誰かが邪魔したということはないと思うけれど、まともに小説を読んでいなかったあたしには何が何だかわからない。


 あたしがこうなってしまった理由、そしてそのあとの責任の取り方を知ったのは数日後。

 物語の舞台でもある屋敷で働けるように推薦してくれた遠縁の子爵様が、この家にやってきたことで判明した。

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