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異世界転生しました!・・・で、私は誰?  作者: 高坂ナツキ
ざまあ編+エピローグ

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83/92

83 あたしはヒロイン(リサ編)

 あたしの名前はリサ・トランメル。平民だけれど、親戚に子爵がいるから、他の平民よりも裕福かな?

 でもね、それだけじゃなくて! あたしは最高にハッピーな人間なの!

 なんと、あたしには前世の記憶があって、それが確かなら物語の主人公なの! そう、あたしこそがこの世界の主人公ってわけ!


 この世界は「初めての恋を夢のような君と」という恋愛小説の中で、平民である主人公が女性嫌いの公爵に癒しを与えて恋に落ちる作品なのよ。

 主人公の名前はリサ……つまり、あたし! というわけで、公爵家で働けるように頑張ったわ!

 ちょうど貴族である親戚が公爵家で奉公をする人材を探していたから、真っ先に手を上げたんだけど、公爵家で働くためには教養が必要なんだって。


 あたしは公爵と恋仲になるんだから必要ないとは思うんだけど、掃除の仕方だとか読み書きだとか、そういう面倒くさいことをいっぱい習わされたわ。

 前世で見ていた異世界転生もののアニメとかだと、主人公が楽しんでその世界の常識を学んでいることがあったけれど、あんなの嘘よね。

 勉強なんて前世でも今世でも面倒くさいだけ。……あーあ、早く公爵と恋人になって楽して暮らしたいわ。


「本日より働いてもらいます。貴女が問題を起こしたら紹介者であるガスリー子爵に責任があることになるので、それを重々理解してください」


 面倒な下準備が済んで、あたしはようやく小説の舞台へとやってきた。……やってきたんだけど、なんか小説と違くない?

 小説だと女性嫌い、人嫌いなヒーローは老執事と2人きりで生活してたはずだけど、あたし以外にも使用人がたくさんいるし、なんといってもヒーローには奥さんと子供がいるって!


「それと貴女の仕事は指導係が指定した個所の清掃になります。決してご主人様方の目に触れないようにしてください」


「えっ!? ……でもでも、雇い主の方にご挨拶しないと」


「不要です。貴女は侍女ではなくメイド。下働きをする人間は高貴なものの目に触れないのがマナーですよ」


 はあっ!? 何それ! ヒーローにあたしが出会わなかったら物語が始まらないじゃない!

 ……まあ、いいか。目の前のこの人も、その指導係とやらも、あたしのことを四六時中監視してるわけじゃないだろうし、目を盗んで会いに行けば。

 物語とは色々と違うっぽいけど、要するに主人公であるあたしがヒーローと出会えばハッピーエンドは確約されてるんだから!


 監視の目が緩んだのは比較的早かったわ。ま、あたしの傍から離れるまでに何度かミスをしたけれど、可愛く謝ったら許してくれたし、本当に可愛いって得よね。

 指導係が目を離してからは、あたしの独壇場。もちろん、あたしは掃除なんてせずに屋敷の中を探し回ったわ。

 でも、他の使用人に見つかったらうるさそうだから、隠れながらだけどね。


 残念なことにヒーローがいるであろう執務室の場所は教えてくれなかったけれど、適当に声が聞こえる部屋に入れば大丈夫でしょ。

 ふんふん、あちらの方から声が聞こえるわ。それにしても、こんなに大きな家があたしのものになると思うと、わくわくするわね。

 召使いもいっぱいいるし、前世よりも贅沢して過ごせそうじゃない? ま、あたしに生意気な態度を取った奴は全員辞めさせるけどね!


「では、お茶を取ってまいりますね」


 声が聞こえたほうを見ると、メイドらしき人間が部屋から出て行くところだった。

 お茶を取ってくるって聞こえたから、メイドよりも地位が上の人間……つまりはヒーローがいるってことよね!


 まあ、違う人間が中に居たら困るから、まずは扉から中を覗いてみる……中にいたのは、きれいな洋服を着た幼女。

 賢いあたしはすぐに気付いたわ。あれが、あたしのヒーローをたぶらかしている女の子供だって。

 今は他の女に気を許しているようだけど、主人公であるあたしが目の前に現れたら、すぐにこっちのものになるんだから。


「ちょっと、あんた! あんたがジェイソン様を誘惑しているのね!」


 だから、あたしは言ってやったわ。相手が幼女だろうと知ったことではない。あたしの幸せを邪魔する奴は排除する一択よ!

 あたしがこの世界の主人公で、あんたは邪魔者でしかないって! そう言ってやったのに、幼女はツンとしてまるで信じてない様子。ホント、生意気な幼女ね!

 そうこうしているうちに、先ほど出て行ったであろうメイドが戻ってきて、あたしは騎士につかまれて部屋から追い出されたわ。


 本当にムカつく! あたしがヒーローと結ばれたら、あの幼女だけじゃない! あのメイドも、あの騎士も、全員を後悔するまでいたぶってやるんだから!

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