81 それから2年後
デビット様は本気だったようで、あれから私とデビット様は幾度もデートを重ねた。
ブラウン皇国の第四皇子だから、女子生徒から反発があるかと思ったけれど、そんなことはなく私とデビット様が仲良くなることはすんなりと受け入れられた。
私が公爵令嬢であるということもあるけれど、デビット様が本国では皇位継承権がなく、それほどの権力がないことも理由なのだろう。
「ローズマリー様はデビット第四皇子殿下と仲良くなりましたね!」
「ふふ、そうかしら?」
「私もそう思いますわ。ロバート第二王子殿下の件がありましたから仕方ないですが、最初のころは警戒しているのが伝わってきましたもの」
マリアとグレイスからの評価もこんな感じ。確かにデビット様と初めて出会ったときには多少は警戒していたけれど、グレイスには伝わっていたのね。
「まあ、出会ってから二年以上が経つもの。仲良くもなるわ」
そう。デビット様とケリー様、それにグレイスとマリアを誘ってグラース公爵家へと遊びに行ったあの夏から、もう二年が経つ。
ということは、4人と出会ってからは二年以上。時が経つのは早いわ。
「マリアだって、ケリー様と仲がいいじゃない?」
「はい! あれからも私の本を気に入ってくれてて! すごく気が合うんです」
ああ、話題をそらそうと思ったのに、なんてまっすぐな返答。私にはこれは無理ね。
「ふふ。ローズマリー様、そんな話題の振り方じゃダメですよ」
「……私もまだまだね。ところで、グレイスは? 良い人はいないの?」
「私も気になっている人はいますよ。王立学園にいる人ではないですけれどね」
マリアはケリー様と仲良くなっているけれど、グレイスは確か筋肉質な人が好きなのよね。
その基準で考えると、確かに王立学園に通っている人では物足りないかしら。
王立学園には騎士志望の学生もいるけれど、まだまだ体が出来上がってないから騎士団に所属している人に比べると体が薄いのよね。
「ええ!? グレイス、気になっている人がいるんですか?」
「マリア、声が大きいわ」
「す、すみません。でも、気になります!」
「私が気になっている人はグラース公爵家の騎士見習いの方よ。毎年、夏季休暇にはグラース公爵家に遊びに行かせてもらっているでしょう? その時に仲良くなったの」
騎士見習い……オルセン侯爵令嬢であるグレイスとは釣り合わないけれど、オルセン侯爵家は弟が継ぐみたいだし、問題はないのかしら?
グレイスの絵も人気で、収入はかなりあるから、お相手が稼げなくても養っていけるだろうし。
「あら? じゃあ、将来はウチに来てくれるのね」
「そうですね。彼とはどうなるかわかりませんが、どちらにせよローズマリー様のお世話にはなろうと思っていますよ」
「私もです!」
グレイスもマリアも私を信頼してくれているようで、将来は私の侍女をしてくれるみたい。
まあ、本格的な侍女というよりも絵師と作家のほうが本分になりそうだけれどね。
「おや、こんなところに集まっていたのかい」
「デビット様」
カフェテリアの中でも目立たない位置でお茶会をしていたのだけれど、デビット様とケリー様に見つかってしまったみたい。
「色々と探し回ったのに見つからないから焦ってしまったよ」
「ふふ。今回は女子だけのお茶会ですので、見つかりづらい場所にいたのですよ。むしろ、よく見つけられましたね」
「さすがに愛しい人の声は聞き分けられるよ。……まあ、見つけられたのはジョンがウェザリー伯爵令嬢の声に気づいたからだけどね」
私の声がよく聞こえたな、と思ったけれど、すぐにデビット様がネタばらしをしてくれる。
マリアの声が大きくなった瞬間があったから、そこでケリー様に気づかれてしまったのね。
「私の声では気づいてくださらなかったのですね」
「ローズマリー嬢の声は控えめだからね。とはいえ、詳しい場所は私が見つけたよ。愛しい人の声が聞こえたからね」
デートをするようになってから、デビット様は私への好意を隠さないようになっていた。
前世でも今世でも、このようにストレートに愛情表現をされることはなかったから、最初は恥ずかしかったけれど、今ではこれくらい愛を純粋に伝えられないとダメなんだと思い始めていた。
まあ、私の両親もこんな感じだし、意外と血筋ってバカにはできないのかもね。
「あら、嬉しいことを言ってくださいますね。私もデビット様の声はすぐにわかりますわ」
「うっ」
実はデビット様は自分から甘い言葉をささやくのは抵抗がないけれど、私からの甘い言葉には照れてしまうのよね。
そういうところも可愛い点だわ。




