↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生しました!・・・で、私は誰?  作者: 高坂ナツキ
王立学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
79/92

79 乱入者の処分

「遅ればせながら、ローズマリー嬢の恐怖の一端が理解できた気がするよ」


 授業開始前に乱入者がやってきたけれど、その後の授業はつつがなく終了し、現在は放課後。

 教師からの聞き取りも終わって、教室内で少し話していた時に、デビット様がふと思い出したようにつぶやいた。


「恐怖……ですか?」


「ああ。ロバート第二王子に絡まれていた時に、一方的に好意をぶつけられて大変だな、とは思っていたんだ。だが、実際に自分が同じ立場になったら、あれは大変なんてものじゃない。……恐怖だよ」


「ふふ、確かに。こちらの話を聞いてくれるのならともかく、ロバート第二王子殿下も今朝の女性も、こちらの言い分など聞く気はありませんからね。話の通じない人との会話は恐怖でしかありませんわ」


 ロバート第二王子、それに幼少期に屋敷にいたメイド、さらには今朝の女性と、これまでに勝手に他人に恋心を抱いては相手の気持ちを考えずに迫ってくる人に出会ってきた。

 彼らに共通するのは相手のことを好きだと言いながらも、相手の気持ちや事情を考えずに自分が幸せになるために自分の気持ちを受け入れるべきだと考えているところだ。

 自分の気持ちを受け入れてほしいと思いながらも、こちらの言い分にはまったく耳を貸さない姿は、まさに怪物。同じ言葉を操るだけの化け物を見ているようで怖いのよね。


「そうなんだよ。会話にならないということが、ここまで人の恐怖を煽るとは思わなかったね。ジョンも、それにオルセン侯爵令嬢もウェザリー伯爵令嬢もピンとこないだろうけど、自分が同じ立場になったら気持ちが共有できると思うよ」


「そうですわね。幸いにもグラース公爵家では、お父様もお母様も似たような経験を持っているので気持ちが共有できていますが、使用人の中には自国の王子から迫られるなんて名誉なことと考えている人もいるでしょう」


 公爵家の使用人として、あえてそれを口にするような人はいないけれど、ロバート第二王子、それにエリック第一王子に迫られて困っている私を見て不思議そうにしていることはあった。

 まあ、普通に考えれば公爵家よりも王家の方が権威は上だし、王族入りしなくても王子となれば公爵家の伴侶として相応しいからね。

 公爵家をはじめとした高位貴族の事情や、王家としての王子に対する対応を知らないと、なぜ固辞するのかが理解出ないのでしょう。


「ローズマリー嬢にとっては幸いだったね。……なんだろう? 高位貴族としての権威が人を奏させるのかな?」


「あんまり関係ないと思いますわ。公爵家の権威につられた人を見たこともありますが、そちらはある程度は話が通じますもの」


「ふむ……確かにブラウン皇国でも皇子妃になりたいというご令嬢は多かったが、あそこまで話が通じないということはなかったな」


 私の言葉にデビット様は考え込んでしまう。逆にケリー様やグレイス、マリアは私たちの気持ちがピンと来ないのかこちらの様子を窺っている。

 ま、自分が経験していない出来事に関しては完全に共感することは難しいからね。それでも、ケリー様もグレイスもマリアも、こちらを気遣えるから問題ないけれどね。

 クラスの人の中には好意を伝えてくれる人に対して冷たすぎるだの、傲慢だのといったことを陰でコソコソ話している人もいるからね。


「待たせたな」


 そうこうしていると、教師がやってきた。


「処分が決まったのですか?」


「ああ。デビット第四皇子に迫った女生徒だが、今朝の騒動は完全に女生徒の妄言だった」


「理解していただけて幸いです」


「妄言で他国の皇族に迷惑をかけたこともあるが、それ以前に無断で貴族専用棟に侵入したことが問題となっている」


 王立学園には優秀な平民も通うことができるけれど、平民が授業を受ける棟と貴族が授業を受ける棟は完全に分かれていて、無断で行き来することは学園の規則として禁止されている。

 それもあって、この世界がどんな物語の世界かがわからないのよね。貴族同士の恋愛物語でも優秀な平民が一緒に授業を受けることが多いからね。


「で、学園側はどんな処分を?」


「辺境にある姉妹校に通わせることとなった。甘い処分だと思うだろうが、学園を卒業後はその町にある労働施設での強制労働もさせる。学園卒業を合わせて、君たちが卒業するまではかかるだろうな」


 なるほど。処分としては甘いけれど、少なくともデビット様が卒業するまでは、あの女性は王都にやってくることはできないということね。


「加えて、強制労働が終了した後も町から去る際には全財産を没収する手はずになっている。だから、君たちがその町に立ち寄らなければ一生出会うことはないだろう」


 おお、意外とちゃんとした処罰だったわね。テイラー王国の法律では平民が貴族に失礼なことをしたというだけで、処分できるようなものではない。

 それに学園側としても問題行動をしたとしても、優秀な成績で学園に入ったことは確かだから、何とかして王国の利益につなげたいのだろう。

 辺境に送って考え方を変えるならよし、もしも妄言を信じ続けるのなら飼い殺しにするという算段ね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。