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異世界転生しました!・・・で、私は誰?  作者: 高坂ナツキ
王立学園編

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74 料理の相談とエイミーの復帰

「というわけで、お客様にお出しできる料理を作ります」


「お嬢様、どうしてそんなことに?」


「いやいや、私が悪いわけじゃないわよ。将来ウチで働くかもしれないから、料理の味を知りたいって言われたんだから」


 まあ、煽った感はあるから一概に私のせいじゃないとも言えないけど、正直に話しても面倒なことになるからね。


「しかし、本当に公爵家でお出ししている食材で良いんですかい?」


「だって、ウチで働いたら私たちと同じものを食べることになるでしょう?」


「まあ、それはそうですがね。……で、お嬢様のご希望は?」


「そうねぇ。公爵領で採れた食材を使ってたらなんでもいいんだけど、何か面白いものはある?」


 本以外には興味のない私だから、普段の食事は割と適当だ。パンでもご飯でもおいしく頂ける正確なのもあって、希望って言われても困るのよね。

 まあ、それもこれもスペンサー子爵の先祖みたいに、これまでに異世界転生したであろう人物たちが食事の文化を広めていってくれたおかげだろうけど。

 鮮度の問題でお目にかかるのが難しい海産物を使ったもの以外は、前世で食べたようなメニューが多いのよね。


「そうですねぇ……そういえば、公爵領以外ではコメはあまり食べないと聞きますねぇ」


「そうなの? おいしいのに」


「パエリアやピラフみたいに味をつけて、それだけで食べる料理はあるみたいですけどね。おかずと一緒に食べるという風習は公爵領独自みたいですよ」


 そういえば王都では、丼物は見かけなかったな。とはいっても、直轄領とは違って騎士を連れて歩いただけだから、たまたまだと思ってたわ。


「じゃあ、丼にするのもよさそうね」


「でしたら、豚の良いのが入ってきてるんで、かつ丼にしますかね」


「あとは付け合わせか。野菜も褒めてもらってたから、野菜を使った何かがいいわね」


「サラダ……じゃ、面白みに欠けますかね」


 野菜の良さを知ってもらうのなら生野菜を使ったサラダっていうのもアリだとは思うけど、いくら何でもかつ丼にサラダって言うのは手抜きが過ぎるかな?

 手間をかけるという意味では、おしゃれな料理……ラタトゥイユとかカプレーゼとかがいいんだろうけど、かつ丼とは合わないわよねぇ。

 うーん。味で考えると煮物とか揚げびたし? ……マリアとグレイスはともかく、デビット様とケリー様にそんなものだしていいのかしら?


「ねえ、野菜は煮物や揚げびたしでも大丈夫だと思う? 地味じゃない?」


「そうですねぇ~。確かに見た目は地味ですが、カツ丼には合いますからねぇ」


「そうよね」


「ま、見た目の地味さには目をつぶるしかないですねぇ」


「わかったわ。じゃあ、よろしくね」


「あいよっ! お嬢様も夕食を楽しみにしておいてくだせぇ」


 異世界転生というと、料理にもこだわるというお話が多いけれど、私は料理に関しては大体何でもおいしく食べられるのでこだわりはない。

 まあ、この世界の料理が進んでいるというのもあるんだけどね。米やチョコレートだけでなく醬油や味噌なんかも普通に流通しているからね。

 ま、生卵や魚みたいに殺菌や流通の問題で食べられない食材って言うのもあるけど、それで困ったということはあんまりないわね。


「お嬢様」


「あら、エイミー」


 厨房から外に出ると、扉の外には休暇中のエイミーが侍女服を着て控えていた。


「本日より業務に戻ります」


「まだ休暇は続いているわよ?」


「実家にも顔を出しましたので、休暇は十分です」


「うーん。まあ、エイミーがそういうなら良いか。じゃあ、今日からよろしくね」


「はい。実家に顔を出せたのはありがたかったですが、お嬢様が何かやらかしてないか心配で心配で」


 失礼な! 私は本に関係すること以外では突飛なことをすることはないから、そこまでの心配は必要ないはずよ。


「何もやらかしてないわよ」


「本当ですか?」


「……うーん。強いて言えば、グレイスを絵師として勧誘したことくらいかしら?」


「オルセン侯爵令嬢ですね。絵師……となると、本に絵をつけるのですか?」


「ゆくゆくはね。本に絵をつけるのは大変だし、誰も有用性を理解してくれないから、まずは紙芝居を作って絵に慣れてもらっているわ」


「……紙芝居、ですか?」


「そう。担当の使用人が練習しているはずだから、エイミーもあとで見学してみるといいわ」


 話し合いの末にグラース公爵家を訪れた貴族にも紙芝居を上演すると決まったので、使用人たちは練習に練習を重ねている。

 この間の読み聞かせは領民相手、初めての紙芝居上演ということで、気合は入っていたもののクオリティはそこまで高くなかった。

 しかし、貴族相手に上演するとなると、もっと完成度を高めないといけないとか……本当にみんな勉強熱心ね。


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