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異世界転生しました!・・・で、私は誰?  作者: 高坂ナツキ
王立学園編

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60 図書室の案内

「この棚の全てが?」


「いいえ、その棚だけでなく、この部屋にある本の全てがグラース公爵家が販売している本です。全ての本を3冊ずつ保管してありますので、貸出中の本は返却されるまで待ってください」


 デビット第四皇子、ケリー侯爵令息、グレイス、マリアの4人を連れて図書室へと早速やってきた。

 お客は4人なのになんで3冊? って思うかもしれないけど、図書室は4人を連れてくる前から存在していて、使用人に開放しているから3冊ずつしか用意してないのよね。

 1冊ずつ増やす案も考えてくれたらしいけど、公爵家には在庫がない本もあったので、このままということになった。


「ここにある本はどれでも読んでいいのですか?」


「大丈夫ですよ、ケリー侯爵令息。綺麗には扱ってほしいですけど、読んではいけない本はここにはありません」


「ローズマリー様、本は自室に持ち帰ってもよいのですか?」


「ええ、グレイス。控えの間にいた使用人に借りる本を確認してもらって。使用人が誰がどの本を借りているかを管理しているわ。借りていられるのは3日間で、借りた時に使用人が返却日を教えてくれるわ」


 この辺のルールは使用人のために用意したものだけれど、グレイスたちにもそのまま適用することにした。

 前世の図書館なら貸出期間は1週間、あるいは2週間が多かったけれど、屋敷内の人間しか借りることができないから3日間にしているわ。

 借りられる本が1冊だけなこと、そもそも現在の物語が短いことから、そのくらいの期間があれば仕事で忙しい使用人でも無理なく読めると判断したからよ。


「使用人が教えてくれると思うけれど、本は屋敷の外に持ち出すのは禁止。汚したり破いたりしてしまった場合には、すぐに使用人に教えてちょうだい。修復できる範囲なら次から気を付けてもらうだけで済むけれど、修復不可能な範囲になると罰金となるわ」


「ふむ。まあ、貴重な本を読ませてもらうのだから、そのくらいは当然だな」


「ご理解、ありがとうございます。この部屋では飲食禁止ですけれど、自室で飲食しながら本を読もうと思っている人は、気を付けてね」


 一瞬マリアがびくっとなっていたけれど、大丈夫よね? ま、マリアには本の売上が入るだろうし、多少汚したところで弁償代くらい稼げるでしょう。


「何か質問があれば使用人に伝えてくれれば時間を取るわ。……あと、屋敷の外に出るときにも連絡をちょうだい。時間があれば案内するわ」


 みんなが本棚の方をチラチラと見ているから、注意事項に関して簡単に教えてから私は図書室から離れることにするわ。

 みんなにとっては旅行だけれど私にとっては帰省で、いろいろと仕事があるから、いつまでも一緒には居られないというのも本音だけどね。


「お嬢様、自室へお戻りになりますか?」


「準備は終わってる?」


「はい。荷物は片づけ終わっていますので、お戻りになられても問題はありません」


「うん。じゃあ、自室で王都に行っていた間に溜まっている仕事を片付けるわ。みんな本に夢中だから、しばらくは放っておいた方がいいでしょう」


 エイミーは図書室に向かう前に休暇としたから、一緒にいるのは公爵家付きの侍女だけれど、それでも仕事に問題はないわ。

 自室へと戻ると図書室に行く前には散らばっていた荷物がきちんと片付けられていて、机の上には新しい本が用意されている。

 マリアの本を含む試作で、私のゴーサインが出れば実際に販売を開始するために印刷が始まる本でもあるわ。


「本以外の書類は?」


「そちらは奥様が担当してくださっていますよ」


「そうなのね。後でお礼を言っておかないとね」


 私の仕事は試作の確認だけではなく、利益の計算だったり、執筆者への連絡だったりと、いろいろあるのだけれど、学園に通っている間はお母様が肩代わりしてくれているらしい。

 王都のタウンハウスにいるときには書類が少ないと思っていたけれど、知らず知らずのうちに助けてもらっていたようね。


「じゃあ、しばらくは試作の確認をするから静かにしていてね」


「はい。扉の外におりますので、何かありましたらベルでお呼びください」


「うん。お願い」


 エイミーだったら室内で待機していても問題はないのだけれど、流石に慣れていない侍女が室内で待機していると集中できないから、部屋の外で待機してくれるのは助かるわ。

 ま、向こうとしても他に仕事があるだろうから、私につきっきりになる室内よりも、指示が出しやすい室外の方が楽でしょう。

 さ、まずはマリアが作った本の試作から確認しなくちゃね。これで問題がなかったら、マリアを呼んで本になることを伝えなくちゃね。

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