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異世界転生しました!・・・で、私は誰?  作者: 高坂ナツキ
王立学園編

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59/92

59 グラース公爵邸へようこそ

「おかえり、ローズマリー」


「ただいま戻りました、お父様」


「やっと会えたわね、ローズマリー」


「はい、お母様もお久しぶりです」


 屋敷へと戻ってきた私を迎えてくれたのは、お父様とお母様。普通だったら、当主夫妻が出迎えなんてないのだろうけど、今回は私だけでなくお客様もいるからね。

 ……ま、お父様とお母様なら私一人でも迎えに来そうな気はするけど。


「グラース公爵夫妻ですね。今回は訪問を許可いただきありがとうございます。皆を代表してあいさつさせていただきます。ブラウン皇国が第四皇子、デビットです」


「これはこれはご丁寧に。ローズマリーから聞き及んでいますので自己紹介は大丈夫ですよ。デビット第四皇子、ケリー侯爵令息、それにオルセン侯爵令嬢とウェザリー伯爵令嬢」


「「「よろしくお願いします」」」


 あらかじめ、お父様には今回連れてくるメンバーのことは話していたので、顔合わせはスムーズにいった。

 ま、グレイスとマリアに関しては、王立学園で仲良くなった時点でお父様に報告してあるから、すでにオルセン侯爵とウェザリー伯爵とは顔合わせをしているらしいわ。

 グラース公爵家とオルセン侯爵家、ウェザリー伯爵家は中立としての立場ではあるから、娘同士が仲良くなったから、これからは仲よくしようという意味合いの顔合わせね。


「グレイスとマリアはメイドに、デビット第四皇子とケリー侯爵令息は侍従についていってください。お父様、部屋は準備できているのですよね?」


「ああ、使用人にも通達してあるよ」


「では、4人とも。私も自室に荷物を置いたら、それぞれの部屋に向かいますので、部屋で待っていてください」


 それぞれに荷物を片付ける時間が必要だけれど、4人ともグラース公爵家を訪れた理由は本なので、一息ついたら図書室へと案内するつもりだ。

 その辺りはお父様とお母様にも伝えてあるので、今日から図書室に常駐する使用人を増やしてあるらしい。


「ローズマリー、新しい本が出来上がっているから、自室で確認しておくように」


「ありがとうございます。お父様」


 4人が玄関ロビーから離れたことを確認してから、お父様が話しかけてくる。

 本当に助かるわ。もしも4人が新しい本があることを知ったら、それもみたいと言い出すだろうからね。


「ねえねえ、ローズマリー。ウェザリー伯爵令嬢、彼女よね。ローズマリーが送ってくれた原稿を書いたのは」


「ええ、お母様。確かにお送りした原稿を書いたのはマリアですわ。でも、私が交渉中ですので、今回の訪問期間中は過度の接触はやめてくださいね」


「ダメかしら?」


「同級生の私でも公爵令嬢、次期公爵として距離があるのですから、公爵夫人であるお母様に迫られたらマリアが可哀そうすぎます」


「…………わかったわ。交渉はローズマリーに任せるわね」


 ふう。ただでさえ、マリアは自分の原稿に自信がないのだから、お母様や他の使用人に迫られたら原稿を書くのを嫌になってしまうかもしれないわ。


「スペンサー子爵にはマリアの原稿を渡してあるのですよね?」


「ええ、そろそろ本になって戻ってくるはずよ」


 ふむふむ。自分の書いた原稿が実際に本になっているところを見れば、マリアも少しは自信を持てるかもしれないし、訪問期間中に本が届くことを祈りましょう。


「では、私もそろそろ自室へと向かいます。お父様とお母様は夕食の際に会いましょう」


「うむ、仕事があるから構えんが、お客様を退屈させないようにな」


「でも、事業について詳しく知られないようにも注意するのよ」


「ええ、わかっております」


 お父様の言っていることも、お母様の言っていることも、両方とも正しい。お客様として招いた以上、退屈させるなんて言語道断。とくにデビット第四皇子は皇族だからね。

 でも、全員が身内になったわけではないから、公爵家の生命線である本の事業についての詳細、特にスペンサー子爵領で行われている印刷技術を知られるわけにはいかないのよね。


「エイミー、行くわよ」


「はい、お嬢様」


「自室に戻った後は、他の人に引き継いで休暇を取って頂戴」


「大丈夫ですよ、お嬢様」


「そういうわけにはいかないわ。ただでさえ、王都ではエイミーに任せきりなのだから、公爵領に戻ってきた時くらいは休暇を取って頂戴」


「……ですが」


「エイミーに倒れられたら、それこそ大打撃だわ。実家に帰るのでもいいし、他の使用人と遊びに行くのでもいいわよ。もちろん、自室でゆっくり本を読んでもいいし」


「………………わかりました」


 渋々といった様子ではあるけれど、エイミーは了承してくれたわ。

 王都ならともかく、公爵領……とくに直轄領では危険は少ないから、エイミーにはゆっくり休暇を取ってもらいたいわね。

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