表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/46

40 ロバートの恋人(国王視点)

「陛下、ご報告が」


 我の名前はランス・テイラー。テイラー王国の国王をしているが、執務中に宰相が入室してきた。

 宰相とのやり取りは文官を通じて行うので、普段は執務室に入ってくることはないのだが、何か緊急の案件か?


「どうした?」


「……申し訳ございません。緊急案件のため、人払いを」


「ふむ……騎士団長のみ残して他は退出せよ。騎士団長、扉の前で警護する騎士を選出せよ」


「「「「「はっ!」」」」」


「1班の2人は扉前で警護だ! 王族であろうと執務室に入らせるなっ! 他は一時休息だ。休憩室にて待機せよ」


「「「「はっ!」」」」


 緊急案件だとは思ったが、宰相が人払いを要求するほどか。宰相が動くとなると、国内の上位貴族が絡む問題か、それとも隣国との問題か……。

 考えながらも手は止まらない。宰相が緊急案件を持ってきたといえど、通常の執務も並行で進めないと、王妃も王子も使い物にならない現状では国が止まってしまう。


「で、緊急案件とは?」


 パタンと扉が閉まってから、しばらくして我は宰相に問いかける。さすがに執務の手は止めたぞ。


「王立学園にて問題が発生しました」


「王立学園? 叔父の管轄だが?」


 王立学園は、その名の通り王族が建てた学園なので、代々王族が責任者として学園長の座についている。

 現在は先代国王の弟、つまりは我の叔父が学園長なので、何か問題が起こった場合には叔父が責任者として動くはずだ。

 もちろん国王である我なら干渉は可能だが、国政だけで手いっぱいなのに王立学園の問題にまで口を挟もうとは思わない。


「もちろん学園長には問題は報告されていますが、今回は学園長からの緊急連絡なのです」


「叔父が解決できない問題か……何が起こった?」


 王族としての教育をしっかりと受け、国益を理解している叔父には、学園内の問題に限り、かなりの裁量を渡しているはずだが、それでも解決できないほどの問題か。

 現在は隣国からの留学生などもいないから、それほどの問題が起きるとは思えないのだが……。


「本日、ロバート第二王子殿下の恋人を自称する下位貴族が出現しました」


「…………は?」


「下位貴族なのでBクラスなのですが、Aクラスに無断でやってきて、自分はロバート第二王子殿下の恋人だと宣言し、婚約者である公爵令嬢に婚約破棄するよう宣言したとか」


「待て待て待て! ロバートの恋人?」


「本人は、そう宣言しています。婚約者がロバート第二王子殿下を離さないから、自分と一緒になれない、と」


「そもそも、ロバートには婚約者はいないだろう。いない婚約者が、どうやって邪魔をできるのだ?」


「さあ? 本人からも聞き取りをしたようですが、恋人だと言い張るだけで実りのある話は聞けず、学園長からロバート第二王子殿下に実態を聞き取るように要請が来ました」


「これが、緊急案件か?」


「外にはおいそれと出せないでしょう? ロバート第二王子殿下は昨日、グラース公爵令嬢に無礼な仕打ちをしたとも聞きます。これ以上の醜聞は王家の威信にかかわります」


「ぐっ! ……それもそうだな」


 本心としては部下が進める案件だろうとも思うが、エリックとロバートが問題を起こした直後なのだ。

 下手に部下たちに調査をさせて、もしもロバートの恋人だというのが本当だとしたら、王家の威信がなくなってしまう。

 それこそ、我が退位し、公爵位を継いでいる元王族に王位を渡さなければならないほどにな。


「騎士団長、人をやりロバートをここに連れてまいれ。……宰相、すまないが、もう少し付き合ってもらうぞ」


「「はっ!」」


 ロバートに話を聞くだけなら我だけでもいいのだが、ことが王家の威信にかかわるとなれば、証人として宰相や騎士団長に同席してもらわなければならない。

 ロバートの受け答え次第では、息子に毒杯を授けなければならなくなるかもしれんからな。


「父上、お呼びと聞きました」


 しばらくすると、1人の騎士がロバートを連れてきた。


「ロバート、話がある。部屋の中央まで来なさい」


 騎士は室内にて礼をすると、すぐに扉の外へと出て行った。騎士団長が言い含めておいたのだろうが、王家の話し合いに興味を示さない態度には好感を覚えるな。


「ロバート。学園から、お前の恋人が暴れていると報告があった」


「……は?」


「お前に恋人がいたとは驚きだ。まさか、恋人がいる身でグラース公爵令嬢を婚約者候補にするだの息巻いていたとはな」


「……待ってください! どういうことですか!?」


「まったく、初めに恋人がいると伝えてくれれば、早めに爵位を与えて王族から外したものを」


「待ってください、父上! 私には恋人なぞおりません!」


 ロバートの反応が見たくて、続けざまに話を進めたが、この反応をするということはロバートに心当たりはないのか。

 宰相や騎士団長に目配せをするが、2人もシロだと判断したのか頷いている。


「ふむ、心当たりがないというのか?」


「ありません! そもそも、私は王立学園に入学するまで他の貴族と交流を持っていないのですから、恋人など作れるはずがないではないですか!」


 そうなんだよな。エリックもロバートも、幼少期のやらかしの影響で王立学園に入学するまでは、王宮から外には出さず、教育に専念させていた。

 王宮に勤めている貴族の子弟ならば、少しは交流があるが、1対1で交流はさせていないので、恋人になるほど親密になることは難しいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ