第16章 風の帰処
炎の中へ足を踏み入れると、あの強烈な痛みがまた襲ってきた。この世界だけこんなに何度も炎の中を往復しなければならないのは、本当にたまらない。
今回は、朔は目をそらさなかった。彼女はそうやって俺を見つめ、目にはまだ心配が浮かんでいたが、もう視線を逸らすことはなかった。
ふと気づいた。加速している世界の中で、彼女はおそらく毎回俺が炎の中へ入っていく様子を見ていたのだろう——ただ今までは見なかったふりをしていただけだ。
「すぐに戻るよ、朔。」 炎のそばで立ち止まる。「たぶん今までより早く終わる。何せヴィロシ様だからな。」
「うん、わかってる。」 彼女は言う。「必ず彼女を連れ帰ってきてほしい。」
「朔は何か彼女に聞きたいことがあるのか? 伝言ならできるよ。」
「いいえ。」 彼女はそっと首を振った。「彼女は私と話したくないだろう。でもリリィが彼女を連れ帰りたいなら、私は無条件に祝福する。」
「そうか?」 彼女を見つめる。「でも朔は……もしかして、彼女たちを殺してほしいと思っているんじゃないか?」
「そんなことはない。」 声がさっきより少し沈んだ。「彼女たちを殺すことは、私が以前に考えついた唯一の方法だった——世界の暴走を止めるための。でも私の本心は誰も死んでほしくない。あなたは青い蛍をもたらし、彼女たちが共に暮らせて、外界に影響を与えない別の方法を教えてくれた。それが私には嬉しい。」
「朔はそれをあまり喜んでいないのかと思ってた。」
「どうやら私の態度が誤解を生んでしまったようだね。」 彼女の口調には少し申し訳なさが混じっていた。「私はずっとあなたたちのことを気にかけている。もし私の目的が純粋でなければ、わざわざ彼女たちをこの世界に連れてこないだろう。」
「謝らなくていいよ、朔。」 言う。「ようやくそう言ってくれて嬉しい。」
「だってリリィが聞いてきたのだから、もう隠す必要もないだろう。」 彼女は間を置いた。「どうかこれからも私を信じてほしい。まだ話す時ではないことが多いだけだ。」
「わかってる。」 彼女を見る。「俺の世界ではそういう人はたくさんいる——秘密を抱えれば抱えるほど、自分を苦しめる。だから時が来たら、朔も俺を信じてほしい。俺は一緒に背負えるから。それが俺がここにいる理由だから。」
「ありがとう、リリィ。」 彼女は自分の手を見下ろした。「さあ、行っておいで——見てごらん、また加速が始まっている。」
彼女の指先がもう微かに震え始め、動作が速くなっていた。
「ああ。」
振り返って教会の扉を押し開ける。
外は思っていたよりずっと静かだった。風の音はほとんど止み、悲鳴も飛砂走石もなかった。あの風化しきった城はそのままそこに立ち、加速して崩れることも、循環して修復されることもなかった。まるで時間がようやく彼女に干渉するのをやめたかのようだった。
【……どうしたんだ? ヴィロシはどこにいる?】
女神の像の方を見ると、ようやく彼女が見えた。
彼女はただ静かに像の前に座っていて、横顔を向け、その視線はもう廃墟と化したコースに落ちていた。像は元の姿には戻らず、裂けた隙間はまだ開いたままだった。まるで癒えない傷のように。
【—システム通知:(任意)物を「本来の持ち主」に返す。—】
【真エンドのヒントだ。赤い鼻をヴィロシに返すのはわかる。杖を君主に返すのもわかる。でもこの頭環はどうすればいい? 女神の像はもうない。誰に返せばいいんだ?】
まずは杖を処理することにした。
超速の力はまだこの世界を蝕み続けている。しかしヴィロシはもう心ここにあらずで、君主の檻はもう加速して老朽化することはなかった——そのおかげで彼の泣き声がよりはっきりと聞こえた。
檻のそばまで飛び、隙間から入り込み、何も言わずに杖を彼の前に置いた。
彼は顔を上げ、杖を一目見て、それから俺を見た。
「いや、もうこれは必要ない。」 彼の声は思ったより落ち着いていた。「私は罪人だ。これを持つ資格はない。」
「確かにお前にはもう資格はない。」 言う。「でもこれを賢い君主に渡せるのはお前だけだ。人を楽しませることができる者を苦しめてはいけない——彼女はただ、自分が一番得意なことをしているだけだ。」
「なんてこった。」 彼は苦笑した。「どうやら俺は確かに狂っている——玩具に説教されている。」
【傲慢な臭いがまだ残っている。お前は何度も死を繰り返してやっと自分の過ちに気づいたのか、それとも本当にわかっているのか?】
「玩具の方がお前よりまともだ。」 彼を見る。「本当にどこが間違っていたのか、わかっているといいな。」
それ以上は言わずに、立ち去った。
赤い鼻——これは直接ヴィロシに渡さなければならない。
彼女は俺を見て、最初は一瞬固まり、それから笑った。しかし笑いながら涙が流れ出した。
「なぜまた来たんだ?」 彼女の声には奇妙なほどの軽さがあった。「お前は本当に不死身の小強なのか? 全部お前のせいだ——女神様は俺を見捨てた。自ら手を下して俺を殺した。なぜだ?」
【まだ冗談を言えるのか……完全に壊れてはいないんだな。でも彼女が本当に傷ついているのはわかる。】
「また俺を殺しに来たのか?」 彼女は俺を見る。「好きにしろ。もう復讐する気力もない。疲れた。初めて感じたよ、追い求めていたものが全部無意味だったって——来るのも早ければ、去るのも早い。」
「違う。」 彼女の前に歩み寄る。「お前を殺す必要はもうない。この赤い鼻は、お前のものか?」
彼女は見下ろし、手を伸ばして受け取った。
「はあ、まさかこれがついてくるとは思わなかったよ。」 彼女はそっとそれを握りしめ、声が急に少し柔らかくなった。「俺の同族がくれたんだ。彼らは言った——『速くあれ』って。人を楽しませる道化師には速さが必要だ。動作だけでなく、反応も風が間に合わないほど速くなければならない。」
彼女はそれをそっと鼻に付けた。その瞬間、彼女の顔に浮かんでいた悲しみは何かに拭き取られたかのように、笑顔に変わった。
「感情こそが何よりも重要だ。」 声がまたあの聞き慣れた速い口調に戻る。「道化師自身が泣いていたり、怒っていたり、落ち込んでいたりしたら、どうやって他の人を楽しませられる?」
「でも彼らも後から気づいたんだ——」 彼女は一瞬間を置いた。「喜びを他人と分かち合いたいと思う人ばかりじゃない。楽しませられることができる者は、ただ一人のものにならなければならない。他の者も、喜びを生み出す機械になれる。喜びがわからなくても構わない——努力さえすれば、喜びを生み出す機械を生み出す機械になれる。」
彼女の口調はまだ速い。しかし語尾が震えていた。
「ヴィロシ。」 言う。「やっぱり泣いたほうがいい。今のお前は悲しすぎる——その笑顔は不気味だ。」
「そうか?」 彼女はうつむいて鼻の赤い鼻に触れた。「でもこれを探してくれてありがとう。どこに置き忘れたのか忘れてたよ。」
「コースの裏側だ。」
「わかった。」 彼女はそっとため息をついた。「あれはいつも競争のない場所が好きだった。どうして気づかなかったんだろう。」
彼女を見つめ、その背後に立つ裂けた像を見た。
実は彼女には女神なんていらないんだ。
頭環を取り出し、そっと彼女の頭の上に置いた。
彼女は一瞬固まり、手を上げて触れた——そしてその頭環が自分に予想外に合っていることに気づいた。まるで最初からそこにあるべきもののように。
「お前は女神が自分に殺戮を望んでいると思うべきじゃない。」 言う。「それはお前自身が望んでいることで、それを像に投影しているだけだ。殺戮は喜びをもたらさない——今のお前を見ればわかる。悲しいから人を殺しているわけでも、嬉しいから人を殺したいわけでもないだろう。」
彼女は俺を見つめ、遮らなかった。
「復讐のための殺戮は楽にならないだろ?」 続ける。「全部が重荷になっていたからこそ、お前は同族と噛み合わず、朔にここへ連れてこられたんだ。彼女はお前を離したくないんじゃない——お前がやったことは、もうあの世界が耐えられるものじゃなかったんだ。」
ヴィロシの涙がまた流れ落ちた。しかし今回は笑わず、無理にこらえもせず、ただ立って涙を流していた。
それから彼女は笑った——とても軽い、本当の笑顔だった。
「そうだな、小さな子。」 声は前よりずっと軽くなっていた。「自分をもう一度、喜びと幸せをもたらす女神に戻すことが、本当に自分を幸せにする方法なのかもしれない。」
彼女の体は風の中でゆっくりと散っていった。死のような散り方じゃない。ようやくゆっくりになれるというような散り方だった。
風が完全に止んだ時、地面に一団の光が残された——縁にわずかな黒が混じっていたが、白い光が消えることはなかった。
【ヴィロシの遺燼】だった。
腰をかがめて拾い上げ、手のひらに握る。縁の黒い模様は触るととても薄く、何かの光で再び満たされるかもしれないと思えた。
しばらく立ち尽くし、それから振り返って教会の方へ歩き出した。風は止み、城は静かになり、ヴィロシも静かになった。
これが彼女にふさわしい結末だ。道を誤ったこの英雄を、ゆっくり休ませてやろう。




