第13章 速さの狭間で
刺剣はヴィロシが動くときに起こす風を感じ取れる。しかし彼女は他の風でも攪乱してくる——方向が交錯する乱流はまるで旋回する鳥の群れのようで、どれが彼女の動きで、どれが撒いた煙なのか区別がつかない。
しかし今回は、すぐに送り返されることはなかった。風が身の回りを流れても、刃の感触はなかった。空中に浮いたまま警戒を続けるが、何も起きない。
それから彼女が笑った。
「はははは——小さな子、曲芸はできるか? 俺に合わせてみろよ。言っただろ、これはショーなんだってな!」
「な——にを?!」
風がもう俺を持ち上げていた。気づいた時には、彼女は両手で俺を掲げていた。
剣を振るったが、彼女が先に手を離した——俺は投げ上げられ、風が下から受け止めてはまた離す。着地点がない。曲芸で何度も跳ね返される球のように。
飛行術で体を安定させ、彼女を睨む:「遊びに付き合うために来たわけじゃない!」
「上がりたくなければそう言えばいい。」 彼女の声が別の方向から聞こえる。「下ろしてやってもいいぞ。」
風が横から押し寄せ、さらに別の方向へと沈み込む。剣を掲げて防ぐが、完全には防ぎきれず、体は慣性で地面に叩きつけられた。
刺剣の液体が彼女の風に触れた時、彼女の動きが一拍遅れた。
【……試しているんだ。さっきの動き、彼女は力を込めていなかった。俺が風の中でどれだけ耐えられるか見ていただけだ。】
改めて距離を取る。
「その刺剣は誰が鍛えた?」 彼女は自分の腕に付いたピンク色の痕を見下ろした。「朔か? あいつしか持ってないだろうな。」
「コーラだ。」 言う。「教えても構わないが、さっきの嵐の中心で守られていたのは、彼女に関するものだった。」
「コーラ……」 彼女は首をかしげる。「女神様はたくさんの話をしてくれた。覚えているのが一つ——コーラという暴君が、一つの世界を滅ぼしたって話だ。たぶん同名だろうな、暴君がそんなに親切なはずがない。」
【また女神の言葉か。朔は女神が語れないことを経験しすぎたと言っていたから、彼女が聞いたことが必ずしも真実とは限らない。でもヴィロシは明らかに全部信じている。】
「つまりその液体も彼女がくれたのか?」
「武器に最初からついていた。」
「本当にうんざりだ。」 彼女は眉をひそめる。「なぜ今回は振り切れない——待て。違う。以前はこんなじゃなかった。」
彼女は顔を上げ、何かを改めて見直すように俺を見た。
「お前がこの世界を変える何かをしたんだろ? 最初からやり直すようなやつだ。どうやったんだ、教えろ。」
「自害だ。」 言う。「たぶんお前たちにはできない。」
「そんな危険なことを?」 彼女は一瞬固まった。「そりゃ世界をやり直す価値はあるな。ぬいぐるみが迷わず火の中に飛び込むなんて、なんて馬鹿げたことだ。」
彼女がそう言った時、彼女の足が微かに動くのを見た。靴のかかとの氷の刃が、もう一方の脚の足首を軽くこすった——ただの小さな仕草だと思い、気にしなかった。
「お前はその液体が何かも知らずに、それが自分を傷つけるとは思わなかったのか?」
「思う。」 言う。「でもお前を倒すには、それを信じるしかない。」
彼女のもう一方の足も動いた。氷の刃が反対側の足首をこすった。またあの軽い動作だ。しかし今回は気づいた——そこにはさっきまでピンク色の液体がついていた。
彼女の氷の刃を下に見る。きれいになっていた。
【……ずっと液体を処理していたんだ。話している間に、かかとの氷の刃で少しずつ削り落としていた。全く気づかなかった。】
「なかなか鋭いな。」 彼女は俺の視線に気づき、自分の氷の刃を見下ろした。
視線を戻し、刺剣を握りしめる。
【あの粘るようなものでも速度で切り落とせるなんて……戦える気がしない。でも戦うしかない。】
力を込めて素早く近づく。刺剣を何度も繰り出す。前より速く、残像を伴う。当てようとは思っていない——彼女の反応を見たかった。
すべて防がれた。一撃も漏らさず。
「これがその剣の最速か?」 彼女は言う。「遅すぎる。」
最後の一突き、彼女は完璧に弾き返した。
弾き飛ばされ、地面に一回転してやっと体勢を整える。風の音が再び聞こえる。
「打!」
風の音が少しずれた方向に向かって叫び、ついでに刺剣を体の側面に構える。魔法が一拍遅れ、防御のタイミングがずれた——彼女は首に止めを刺さなかったが、刃が頬をかすめた。
痛くてたまらない。まるで綿全体を一刀で切られたようだ。
しかし彼女も切られた。刺剣は氷の刃には当たらなかったが、彼女の腕に当たった。ピンク色の液体がすぐに彼女の前腕を覆い、彼女の動きが明らかに遅くなった。
彼女は見下ろし、振ったが落ちない。もう一度試すが、やはりだめだ。
足を上げ、かかとの氷の刃で腕の液体を削ろうとする。刃が皮膚の表面を滑り、一部は剥がれた——しかし腕の液体は完全には落ちない。粘りつきすぎている。
彼女は氷の刃を見、自分の腕を見て、ためらわなかった。
次の瞬間、かかとの氷の刃が自分の腕の関節を滑った。迷いのない一撃だ。切断された腕が地面に落ちた時、彼女はすでに体を起こし、何事もなかったかのように立っていた。
俺は彼女を見つめた。彼女は傷口を押さえもせず、揺れもせず、ただそこに立って俺を見ていた。
「驚かなかったか?」 彼女は笑った。「これより怖いことは見たことがあるだろ? 風より速くなるために、俺は何も妨げさせない。」
彼女の足の氷の刃を見つめる。自分の腕を切り落としてでも、何かに速度を落とされることを拒む。
そういうことは、誰かに教わってできるようになるものじゃない。
あの虫をくれた女と、彼女は話が合うかもしれない。




