第8章 再生の祝福
赤い蛍に従って、すぐに破晶聖殿という場所に着いた。
変化が大きすぎて、ここがフラグと戦う場所だって、うっかり見逃すところだった。
破晶嶺の一番高いところにある。
ザコモンスターとやかましい罠を除けば、景色はなかなかいい。
ここまで登るのに、ちょっと小細工をした——烁殻虫に水晶の山をぐるぐる回らせながら登らせたんだ。スタミナは節約できるけど、時間はかかる。
ちょうど回っているとき、足元の水晶が突然割れた。
反応が速くなかったらやばかった。烁殻虫に体当たりさせて割れた隙間に突っ込ませて難を逃れた。あの高さから落ちてたら、また一から登り直しだ。
青い蛍はここで消えた。
つまり、大殿の外にも特殊エンドに関係するアイテムがあるってことだ。
でもあちこちにある水晶柱は、どれも同じように砕けて今にも倒れそうで、どこに隠してあるんだ?
柱に触ってみたら、けっこう痛い。
とりあえず火を灯そう。
大殿の前の篝火を灯すと、朔が約束通り現れた。
「道中、大きな問題はなかった? リリィ。」
「うん。ただ落ちそうになっただけ。」
【え? なんでそんなこと言っちゃったんだ! いい報告だけすればいいのに。これじゃあ大きな問題があったのと同じじゃないか!】
「罠? 怪我はなかったの?」
【見ろ、また朔に心配させた。】
「怪我はないよ。俺と烁殻虫、反応がめちゃくちゃ速かったから。」
烁殻虫をポンポンと叩く。
そいつは俺に褒められた水晶の欠片を食べているところで、食べながらこくこく頷いている。まるで褒め言葉を理解したみたいだ。
「どちらも無事でよかった。簡単にフラグ様を説明しますね。」
フラグ……様?
朔、彼女と知り合いなのか?
「驚くかもしれないけど、彼女は畏敬の念を込めて『様』と呼ぶべき存在なんです。これから出会う彼女たちも同じです。」
朔は真面目に説明する。
「彼女たちは皆、それぞれが属していた世界を救った英雄だった。でも本当の脅威が去った後、人々は英雄たちを脅威と見なすようになった。彼らは英雄たちの救世の偉業を忘れてしまったんだ。だから英雄たちはこの輪廻世界に留まるしかなかった——ここだけが彼女たちを許容できる場所だから。」
【朔が真面目に話してる姿もすごく美しいな。でもこれ、新バージョンの世界観なのか?】
英雄なのに、この世界では敵役のボスにされている。皮肉な話だ。
「リリィ、万全の準備をしてフラグ様に立ち向かってください。気をつけて。彼女は何でもやりかねませんから。」
【「何でもやりかねない」ってどういう意味? 技がずる賢いってことか?】
そうだ、あの復活の祝福……
もう一度もらえないか聞いてみよう。
「朔、注意してくれてありがとう。あの祝福……もう一度もらえたりしない?」
「私の祝福はずっとあなたに寄り添っていますよ。」
「スタミナ回復速度を上げるやつじゃなくて、一度復活するってやつ。」
「あなたの言ってるのは……再生の祝福のことですか?」
「そう。」
「ごめんなさい、この祝福にはちょっと厳しい条件があるんです。なぜなら、それは私の生命の炎を消耗するからです。だから世界を移動するまでは、一度しか使えません。」
朔はちょっと躊躇した。きっと俺に心配かけまいとしているんだ。
【生命の炎を消耗するって?! 寿命を削る祝福なのか? じゃあもう要らない! 朔に傷ついてほしくない!】
「そういうことか……じゃあその祝福は永久的に俺に残るの?」
【そうじゃないといいな。こんな状態、いらないから。】
「そうです。次の世界に行けば、私の祝福はまたあなたを助けられますよ。」
【いやだ! こんな祝福必要ない!】
「や、やっぱり要らないってことはできないかな? だって俺……」
「リリィ、私のこと心配してくれてるんですか?」
【え?! そんなにバレバレか?】
「違う違う、そうじゃなくて!」
朔の表情がちょっと曇った。
「違う違う、そうでもあり、そうでもなくて!」
【ああ、俺は何をやってるんだ!】
「ゆっくりでいいですから。」
慌てふためく俺、かなりわかりやすいみたいだ。
「ただ……この祝福は、俺には必要ないと思うんだ。だって俺、死なないし、痛みも感じないだろ? それなのに朔が生命力を消耗する必要はないじゃん。」
「やっぱり心配してくれてたんですね、リリィ。その気持ちはありがたく受け取ります。でも、この祝福を取り消すことはお許しいただけませんか。」
【「できない」じゃなくて「したくない」んだろ……】
【したくないから取り消せない。そこが大事なんだよな。】
朔の表情はもっと真剣になり、目つきが強くなった。
「セレス様は現れなかったけど、リリィは私にとって同じくらい大切なんです。不死でも、無痛でも、あなたがほつれや傷を気にしなくても、私がそれを見ると胸が痛むんです……それは万の矢が胸を貫くような痛みです。」
【同じくらい大切……胸が痛む……あああああ! 彼女、告白してるんじゃないか?!】
【幸せで気絶しそう!】
「どうかこの微力であなたを助けさせてください。そうしてこそ、私はあなたと肩を並べて戦っていると思えるんです。」
【これが告白だろ?! 絶対に考えすぎじゃない! 今すぐ抱きしめたい!】
俺は思い切りジャンプした——朔の腰の高さまでしか届かなかったけど——それでも抱きついた。
情けない俺は、この真心に感動して涙を流してしまった。
綿みたいに柔らかい涙が、目からこぼれ出る。
こんなに感動してるのに、なんで泣き顔が笑いたくなるんだろう。
「朔は最高だよ! 現実世界じゃ、こんなこと言ってくれた人なんていなかった。」
【しまった、うっかり現実世界の話を口に出しちゃった。何か影響しないといいけど。】
「もしリリィがこの確かな選択を必要としてくれるなら、私はずっとそうし続けますよ。聞きたいなら、永遠に言い続けてあげます。」
朔も手を回して抱き寄せてくれた。
俺がぬいぐるみでよかった。そうじゃなきゃ涙で朔の服を濡らしてたところだ。
「朔、青い蛍のこと知ってる?」
「教会に現れましたから、もちろん知ってますよ。」
「じゃあ、なんであれが大殿の前で消えたのかわかる? モンスターも箱も何もないのに。」
「たぶん……あなた自身が頭を働かせる必要があるんじゃないでしょうか?」
【謎解き? こんなのがあるとは思わなかった。朔はやっぱり全知全能の守護者だな。知能はMAXってわけだ。】
「わかったよ。ありがとう、朔。」
「どういたしまして。何かあったらまた来てくださいね。私はいつでもここにいますから。」
それで朔の時間が来て、彼女は消えた。
よし、謎解きか。
これは俺の……得意じゃない分野だ。
でもきっとヒントがあるはずだろ?




