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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第1巻 フラグ編

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第8章 再生の祝福

 赤い蛍に従って、すぐに破晶聖殿ハショウセイデンという場所に着いた。


 変化が大きすぎて、ここがフラグと戦う場所だって、うっかり見逃すところだった。


 破晶嶺ハショウレイの一番高いところにある。


 ザコモンスターとやかましい罠を除けば、景色はなかなかいい。


 ここまで登るのに、ちょっと小細工をした——烁殻虫シャクカクチュウに水晶の山をぐるぐる回らせながら登らせたんだ。スタミナは節約できるけど、時間はかかる。


 ちょうど回っているとき、足元の水晶が突然割れた。


 反応が速くなかったらやばかった。烁殻虫シャクカクチュウに体当たりさせて割れた隙間に突っ込ませて難を逃れた。あの高さから落ちてたら、また一から登り直しだ。


 青い蛍はここで消えた。


 つまり、大殿の外にも特殊エンドに関係するアイテムがあるってことだ。


 でもあちこちにある水晶柱は、どれも同じように砕けて今にも倒れそうで、どこに隠してあるんだ?


 柱に触ってみたら、けっこう痛い。


 とりあえず火を灯そう。


 大殿の前の篝火を灯すと、朔が約束通り現れた。


「道中、大きな問題はなかった? リリィ。」


「うん。ただ落ちそうになっただけ。」


【え? なんでそんなこと言っちゃったんだ! いい報告だけすればいいのに。これじゃあ大きな問題があったのと同じじゃないか!】


「罠? 怪我はなかったの?」


【見ろ、また朔に心配させた。】


「怪我はないよ。俺と烁殻虫シャクカクチュウ、反応がめちゃくちゃ速かったから。」


 烁殻虫シャクカクチュウをポンポンと叩く。


 そいつは俺に褒められた水晶の欠片を食べているところで、食べながらこくこく頷いている。まるで褒め言葉を理解したみたいだ。


「どちらも無事でよかった。簡単にフラグ様を説明しますね。」


 フラグ……様?


 朔、彼女と知り合いなのか?


「驚くかもしれないけど、彼女は畏敬の念を込めて『様』と呼ぶべき存在なんです。これから出会う彼女たちも同じです。」


 朔は真面目に説明する。


「彼女たちは皆、それぞれが属していた世界を救った英雄だった。でも本当の脅威が去った後、人々は英雄たちを脅威と見なすようになった。彼らは英雄たちの救世の偉業を忘れてしまったんだ。だから英雄たちはこの輪廻世界に留まるしかなかった——ここだけが彼女たちを許容できる場所だから。」


【朔が真面目に話してる姿もすごく美しいな。でもこれ、新バージョンの世界観なのか?】


 英雄なのに、この世界では敵役のボスにされている。皮肉な話だ。


「リリィ、万全の準備をしてフラグ様に立ち向かってください。気をつけて。彼女は何でもやりかねませんから。」


【「何でもやりかねない」ってどういう意味? 技がずる賢いってことか?】


 そうだ、あの復活の祝福……


 もう一度もらえないか聞いてみよう。


「朔、注意してくれてありがとう。あの祝福……もう一度もらえたりしない?」


「私の祝福はずっとあなたに寄り添っていますよ。」


「スタミナ回復速度を上げるやつじゃなくて、一度復活するってやつ。」


「あなたの言ってるのは……再生の祝福のことですか?」


「そう。」


「ごめんなさい、この祝福にはちょっと厳しい条件があるんです。なぜなら、それは私の生命の炎を消耗するからです。だから世界を移動するまでは、一度しか使えません。」


 朔はちょっと躊躇した。きっと俺に心配かけまいとしているんだ。


【生命の炎を消耗するって?! 寿命を削る祝福なのか? じゃあもう要らない! 朔に傷ついてほしくない!】


「そういうことか……じゃあその祝福は永久的に俺に残るの?」


【そうじゃないといいな。こんな状態、いらないから。】


「そうです。次の世界に行けば、私の祝福はまたあなたを助けられますよ。」


【いやだ! こんな祝福必要ない!】


「や、やっぱり要らないってことはできないかな? だって俺……」


「リリィ、私のこと心配してくれてるんですか?」


【え?! そんなにバレバレか?】


「違う違う、そうじゃなくて!」


 朔の表情がちょっと曇った。


「違う違う、そうでもあり、そうでもなくて!」


【ああ、俺は何をやってるんだ!】


「ゆっくりでいいですから。」


 慌てふためく俺、かなりわかりやすいみたいだ。


「ただ……この祝福は、俺には必要ないと思うんだ。だって俺、死なないし、痛みも感じないだろ? それなのに朔が生命力を消耗する必要はないじゃん。」


「やっぱり心配してくれてたんですね、リリィ。その気持ちはありがたく受け取ります。でも、この祝福を取り消すことはお許しいただけませんか。」


【「できない」じゃなくて「したくない」んだろ……】


【したくないから取り消せない。そこが大事なんだよな。】


 朔の表情はもっと真剣になり、目つきが強くなった。


「セレス様は現れなかったけど、リリィは私にとって同じくらい大切なんです。不死でも、無痛でも、あなたがほつれや傷を気にしなくても、私がそれを見ると胸が痛むんです……それは万の矢が胸を貫くような痛みです。」


【同じくらい大切……胸が痛む……あああああ! 彼女、告白してるんじゃないか?!】


【幸せで気絶しそう!】


「どうかこの微力であなたを助けさせてください。そうしてこそ、私はあなたと肩を並べて戦っていると思えるんです。」


【これが告白だろ?! 絶対に考えすぎじゃない! 今すぐ抱きしめたい!】


 俺は思い切りジャンプした——朔の腰の高さまでしか届かなかったけど——それでも抱きついた。


 情けない俺は、この真心に感動して涙を流してしまった。


 綿みたいに柔らかい涙が、目からこぼれ出る。


 こんなに感動してるのに、なんで泣き顔が笑いたくなるんだろう。


「朔は最高だよ! 現実世界じゃ、こんなこと言ってくれた人なんていなかった。」


【しまった、うっかり現実世界の話を口に出しちゃった。何か影響しないといいけど。】


「もしリリィがこの確かな選択を必要としてくれるなら、私はずっとそうし続けますよ。聞きたいなら、永遠に言い続けてあげます。」


 朔も手を回して抱き寄せてくれた。


 俺がぬいぐるみでよかった。そうじゃなきゃ涙で朔の服を濡らしてたところだ。


「朔、青い蛍のこと知ってる?」


「教会に現れましたから、もちろん知ってますよ。」


「じゃあ、なんであれが大殿の前で消えたのかわかる? モンスターも箱も何もないのに。」


「たぶん……あなた自身が頭を働かせる必要があるんじゃないでしょうか?」


【謎解き? こんなのがあるとは思わなかった。朔はやっぱり全知全能の守護者だな。知能はMAXってわけだ。】


「わかったよ。ありがとう、朔。」


「どういたしまして。何かあったらまた来てくださいね。私はいつでもここにいますから。」


 それで朔の時間が来て、彼女は消えた。


 よし、謎解きか。


 これは俺の……得意じゃない分野だ。


 でもきっとヒントがあるはずだろ?

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