第9章 フラグ、現る
大殿の前を一周してみると、本当に二本の変な水晶柱が見つかった。
すごく離れていたのに、意外なほど対称的だ。
傾き方が変なだけでなく、柱の表面にはぐるぐると円形の模様がある。水晶が層になって伸びていった痕みたいだ。
近づいてよく見ると——模様の間に細いひび割れが挟まっていて、底が見えない。
【中に何か隠れてないか?】
でもじっと見てても、何も見えない。
【光沢的に何かありそうなのに、どうやって解くのかさっぱりわからん……】
柱の表面に触ってみると、冷たくてちょっとチクチクする。
隣の烁殻虫が鼻を鳴らして、早く何とかしろと急かしてる。
【焦るなよ……考えさせてくれよ。】
ぶつかってみるか? もし割れたら中から出てくるかもしれない。
距離を取って、烁殻虫に思い切り体当たりさせる。
「ドン——」
柱はびくともしない。めちゃくちゃ固い。
そんな言い方も変だけど、本当に何のダメージもない——余震がもう地震みたいになってるのに。
【おかしいな……】
いや、もう一度見てよかった。
この柱、ちょっとだけ向きが変わってる気がする。
すぐに向かいの傾いた柱と見比べる。
【ああ、そういうことか。ぶつかっても動かないんじゃなくて、先端の向きが合ってないだけなんじゃないか?】
烁殻虫のクールタイムが終わるのを待って、もう一本の柱にぶつける。
そっちも少しだけ向きが変わった。
【つまり、両方とも向きが間違ってるんだ。正しい向きに合わせたら、何かヒントがあるはずだ。】
だから同じ柱にぶつかり続ける。クールタイムが終わるたびにぶつける。
すると、向きが合った瞬間——「カチッ」って音がして、何かがはまったような感触。
【よし。じゃあもう一本は右に五回ぶつければいいな。】
両方の柱が回らなくなった後、突然、柱の間から一筋の光が現れた——柱の中から放たれてる光だ。
二つの光の先端が一点に集まり、そこからアイテムが落ちてきた。どうやらまた安定した晶核の欠片らしい。
【システム通知:安定した晶核の欠片・その二を獲得しました。】
また記憶だ。
「呪われ……永遠に去れ……死を受け入れろ……」
映像はなく、ただ途切れ途切れの言葉だけ。直感で、これは前の欠片の後に起きたことだと思う。でも誰が誰に言ったのか、さっぱりわからない。
記憶が終わると、自分がもう大殿の前にいないことに気づいた。
光が突然暗くなり、さっきまであった砕けた水晶柱はまるで色を奪われたように、ただ灰色の影だけが残っている。空気も重くて、烁殻虫は不安そうに地面を掘り始めた。
【俺、動いてないのに……なんで急にボス部屋に入ってるんだ?!】
大殿の奥で、一人の影がゆっくりと振り返った。
フラグだ。
テストサーバーの時とは全然違う。
昔は水晶の鎧を着て、水晶節杖を持って、せめて人間の形をしてた。
でも今はもう、あの水晶騎士のイメージじゃない。
体中にひび割れが走ってるのに、それでも何か……肉や血がつながってる。
肉と肉の間には大小さまざまな水晶が浮かんでいて、飾りみたいだ。砕けてかすかな光しか残ってないのもある。その光は呼吸みたいに、明るくなったり暗くなったりしてる。
彼女は俺の存在を感じ取ったのか、水晶節杖を手に取り、ゆっくりと向き直る。
節杖の外側は確かに水晶。でも中には——明らかにすごく長い、長管状の骨が入っている。
絶対に何かの巨大な生物から抜き取ったものだ。
この様子を見てると、ちょっと怖くなってきた。
それに、目の前に実在するフラグを見て、胸が痛む。呪いでこんな姿になったんだろうけど、全身がずっと砕け続けるって——骨も肉も——想像しただけでつらい。
【ダメダメ、もう幻痛が始まった。この体、痛くないはずなのに……】
「あなたが……私に挑むの? めんどくさい……」
彼女が水晶節杖を軽く振っただけで、すごく強い波動が走る。
俺の烁殻虫が本能的に後ずさる。
大殿の中の水晶がカラカラと音を立て、天井から落ちたものもあり、地面に当たって粉々になった。
【大丈夫大丈夫、緊張するな。俺は痛くないし、死んだって朔のところに戻るだけだ。】
【でも心臓の鼓動がすごく速いし、手も震えてる……やめにできないかな、ううう。】




